IE9の新しいユーザーインターフェース

次はInternet Explorer 9のインターフェース関連の新機能を確認しましょう。図20と図21はInternet Explorer 8および9で同じWebページを表示させたものですが、一目でわかるように、Internet Explorer 9はWebページの表示領域が広くなっています。これはお気に入りバーやステータスバーが初期状態で非表示となり、タブやコマンドバーがアドレスバー領域に移動。これらの変更により、Webページの閲覧効率が高まっています(図20~21)。

図20 Internet Explorer 8の画面。お気に入りバーやタブなどにより、Webページの表示領域が狭まっています

図21 Internet Explorer 9の画面。バー周りが簡略化され、Webページの表示領域が拡大しています

UI面の改良点はこれだけではありません。従来は独立していた検索ボックスですが、Internet Explorer 9ではアドレスバーと統合し、使用頻度の高い検索サイトへのアクセスを妨げることなく、同機能を使用することができます。アドレスバーに任意の文字列を入力しますと、URL入力履歴やアクセス履歴、お気に入りといった記録情報が列挙されますので、サイドバーを開く必要がありません(図22)。

図22 アドレスバーから履歴やお気に入りなどの検索が可能になりました

また、検索サイトに対するキーストロークの送信を許可することで、インスタント検索が可能になります。(図23~24)。

図23 キーストロークの送信を許可することで、検索サイトの候補も表示されます

図24 検索結果にある<追加>ボタンをクリックすると、「Internet ExplorerギャラリーAdd-ons」にアクセスします。ここから必要な検索プロバイダーを追加しましょう

タブの一番右側にある「新しいタブ」をクリックすると文字どおり新規タブが開きますが、そこには過去のアクセス履歴を元にした、使用頻度の高いWebサイトが列挙されます。ファビコン(Favicon)とWebサイト名、そして閲覧回数を視覚的に示すサイトインジケーターで構成され、お気に入りなどを用いなくても、毎日訪れるようなWebサイトへのアクセスが容易になりました。

複数のユーザーで同じコンピューター(とアカウント)を用いる場合は、プライバシー情報が気になるところですが、<サイトの表示(非表示)>をクリックすることで、表示を抑制することも可能です。また、同機能を抑制する場合は、<ツール>ボタン→<インターネットオプション>とクリックすると起動するダイアログの<全般>タブにある「タブ」セクションの<設定>ボタンをクリックしてください。タブブラウズの設定ダイアログにある「新しいタブを開いた時に表示するページ」のドロップダウンリストから<空白ページ>もしくは<最初のホームページ>を選択してください(図25~26)。

図25 <新しいタブ>をクリックするか[Ctrl]+[T]キーで開くページには、過去の履歴を元に使用頻度の高いWebサイトが並びます

図26 ドロップダウンリストから<新しいタブページ>以外を選択することで、簡易的ですが新しいタブページからプライバシー情報の流出を抑制できます

"ピン留め"はWindows 7から加わった新機能ですが、Internet Explorer 9では同機能を活用し、Webサイトの固定化が可能になりました。アドレスバーのファビコンをタスクバーにドラッグ&ドロップすることで固定化され、アクセスが容易になります。また、サイトによってはジャンプリストを拡充する機能を備えていますので、Webナビゲーションの手助けとなるでしょう。

実際に使ってみるとWebページ上での操作よりも簡単に、目的のページへアクセスできるため、本稿を掲載しているマイコミジャーナルにも対応を求めたいところです。ちなみに同機能を実現するため、従来のインターネットショートカットファイル(拡張子「.url」)ではなく、固定サイトショートカットファイル(拡張子「.website」)というファイルが生成されるようになりました。つまり、お気に入りなどは前者が用いられ、固定サイトの作成には後者が用いられるようになります(図27~29)。

図27 ファビコンをタスクバーにドラッグ&ドロップすることで、サイトの固定化が可能になりました。ジャンプリストには独自のタスクが並び、<進む><戻る>ボタンは独自色が用いられます

図28 従来はインターネットショートカットファイルが作成されました

図29 Internet Explorer 9では固定サイトショートカットファイルとなります

最後に通知バー(旧情報バー)を紹介しましょう。前バージョンでは情報バーと呼ばれ、ダウンロードやActiveXコントロールの導入時、ポップアップウィンドウの実行時などにユーザー操作をうながすために用いられていましたが、Internet Explorer 9では名称を通知バーに変更し、ウィンドウ下部に表示するようになりました。役割は旧情報バーと同じく、各場面でユーザー操作が必要な場合に現れますが、旧情報バーと大きく異なるのは、通知を無視してWebページの閲覧を続けられる点です。

ユーザーは必要な時に通知バーから求められた操作を行えばよくなりました。また、ファイルのダウンロードロジックも改良されており、リンクをクリックした時点でダウンロードがバックグラウンドで実行されます。この間、通知バーを通知しておくとダウンロードを終えた時点で同バーが点滅し、実行や保存といった操作を行うだけで済むようになりました(図30~31)。

図30 ダウンロードなどユーザー操作をうながす通知バー。ウィンドウ下部に表示されるようになりました

図31 ダウンロード完了や操作の完了はバー全体の点滅で通知されます

なお、ファイルのダウンロードに関しては進捗状況の確認やファイルに対する操作を一括管理するダウンロードマネージャーが加わりました。ダウンロード中にInternet Explorer 9を再起動した時でも自動的にレジュームダウンロードが行われるようになりましたので、従来のように別途ダウンロードツールを併用する必要性は低くなるでしょう。

また、ダウンロードするファイルには、フィッシング詐欺サイトや危険なマルウェアを含むファイルからの被害を未然に防ぐSmartScreenフィルターが適用されますので、ネットワーク上の様々なリスクをさほど意識せず、安全にファイルをダウンロードすることができます。もっとも、同フィルターはMicrosoftが管理するデータベースを元にしていますので、万全を期す場合は何らかのセキュリティツールを併用することをお勧めします(図32)。

図32 <ツール>メニュー→<ダウンロードの表示>とクリックするか、[Ctrl]+[J]キーで起動するダウンロードマネージャー。ここからファイルに対する操作も可能です