英国の調査会社スカイトラックスが毎年発表するエアライン・ランキングで「エアライン・オブ・ザ・イヤー」を最多の過去3度受賞している航空会社のひとつ、キャセイパシフィック航空。「Service Straight From the Heart(心からのおもてなし)」をサービススローガンに掲げ、機上・地上を問わず全スタッフがその思いを共有している同社でキャビンクルーとして働く、有元華絵さんにお話を伺った。

香港に来て5年。「いつお客様に観光スポットを聞かれてもいいように、休日はガイドブック片手に香港の街を歩くこともあるんです」

――キャビンクルーになったきっかけは?

「コンビニエンスストアのレジだとか巫女さんだとか……学生時代のアルバイトを通して、絶対に接客業につきたいと思っていました。元々、ちょっと人見知りでしたが接客業というフィルターを通すとすごく自然に人と話せるので、楽しいと思って。

航空会社というのは、他と比べられたり常に切磋琢磨しているような業界なので、やるならばそういった世界でやりたいなと、目指していました」

――キャビンクルーになって何年目ですか?

「今年で5年目。2006年の3月にキャセイに入社しましたので、香港も同じく5年になりますね。実は、2000年の採用のときに受けていたんですが、ダメだったんですよ。それで5年かかってやっと。

やっぱり自分でも英語力が足りないと思っていましたので、仕事をしながらちょっとずつ勉強して……2000年から社会人になったんですが、はじめは新幹線のパーサーという仕事を3年間、次は関西国際空港でJALのグランドスタッフを3年間、そのあとキャセイに来ましたので、道のりは結構遠かったですね」

キャセイパシフィック航空の長距離路線用機材「ボーイング 777-300ER型機」

――なぜキャセイパシフィック航空を選んだのでしょうか?

「キャセイに関しては、国籍関係なく『キャセイが飛んでいる路線に全て飛べる』ということが、航空業界を目指す人間のなかではすごく有名でした。あとはプロモーション(昇進)の機会も平等にあるということで、やはりキャセイだと。

昨日は、台北(台湾)に日帰りをしてきたんですが、キャセイは割とステイ(フライト先の都市で滞在し、体を回復させ乗務に備えること)があるほうなんです。日本の航空界社に比べるとこのステイ期間が長いのでみんなで現地で旅行に行ったり、とても充実していますね。そういったところでも恵まれていると思います」

――香港人デザイナーEddie Lau(エディー・ラウ)氏デザインの制服が鮮やかですね。

「もうすぐマイナーチェンジするそうですが、最初は上下ともに赤。赤いジャケットと赤いスカートでブラウスは白。ひとつ立場があがるとジャケットは赤、ブラウスも赤で、スカートが紺色になります。お客様からみてもすぐにわかるようになっていて、全部で4色あるんです。カテゴリーごとに役割分担、仕事もきっちり分かれています」

Eddie Lau(エディー・ラウ)氏が手がけたユニフォーム

――香港に来て5年ですが、最初から海外で働こうと考えていましたか?

「実はあまり視野には入っていませんでした。自分の中で、ずっと英語で生活できるかというと、あまり留学経験がなかったので考えていなかったんですが、キャセイの場合は本当にご縁があってこうして仕事をいただけたので"できる/できない"ではなく"やろう"と決めて。

最初は(寮のような形で)住む場所は決まっているのですが、何年か経つと自分で引っ越しをして好きなところに住んでいいので、空港近くに住んでいる人もいれば街中の人も。私は街中でルームシェアをしており、通勤に1時間くらいかかりますが、香港を楽しみたければ街の方がいいのかもしれません。それに、香港はすごく日本と近いので、休日のたびに実家に戻ったり、わりと日本に帰るという先輩クルーも多いですね」……キャセイならではの"バースデープレゼント"とは?