お笑い以外にも、イラストや映像製作にマルチな才能を発揮している、お笑い芸人・アメリカザリガニの平井善之。その平井のクリエイションには、ワコムのペンタブレット「Intuos4」が欠かせないという。"ペンタブ芸人・平井"に話を聞いた。

お笑い芸人・アメリカザリガニの平井善之

――インタビュー前編で、"モノ作り"がしたいとお話していましたが、そういったクリエイション活動に興味をもったのはいつ頃からだったのですか。

平井善之(以下、平井)「幼稚園に通っていたときから、いかにキレイに巻きウンチを描けるかと、うんこの絵ばかり描いていたんですよ(笑)。本格的にイラストを描き始めたのは中学生のときですね。当時は、お絵かきソフトの『ダ・ビンチ』を使ってパソコン上にイラストを描いていました。で、絵を描いて、ネットワーク上に作品をアップロードして、それを仲間同士でダウンロードするといった形で共有していましたね」

――仲間というのは学校のクラスメイトなどですか。

平井「いや、全然知らない人たちです(笑)」

正月にあまりにも寒いので描いたという作品『はやく夏に…。』

――インターネット上で知り合った絵描き仲間ということですか。

平井「そうですね。中学生のときに、今でいうオフ会みたいなノリで焼肉屋で会ったのを覚えています。医者や大学院生など、色んな人がいましたよ。そこに、バンダナにボッサボサの髪の毛で、サングラスかけた"絵の神様"と呼ばれる人がいて、その人に『中間色をもっと使った方がいいよ』とアドバイスされたことを覚えています(笑)。中学生のときからそんなことをやっていたので、自然な流れで、イラストの専門学校に入学しましたね」

――なるほど。お笑い芸人になったことの方が意外だったわけですね。平井さんは、Twitterなどでもペンタブレット「Intuos4」を愛用していることを明言していますが、使用するきっかけはなんだったのですか。

平井「元々ずっとパソコン上にマウスを使って、絵を描いていたんです。で、大好きなイラストレーターである寺田克也さんが、Intuosシリーズを使っていると聞き、買ったのがきっかけですね」

――初めてペンタブレットを使ったときの印象を教えて下さい。

平井「いや、もうマウスとまったく違うんですよ。僕らがマウスを使ってパソコン上に絵を描いていたときは、まずサランラップに絵を描き、それをパソコンの画面に貼って、その線の上をマウスでクリックしていくんです。つまり、滑らかな線を引いていくのではなく、多角形をずっと書いているような感覚で線を繋いでいくんです。そういうやり方しかできなかったんですよ、マウスでは。でも、当然ですが、ペンタブレットは、普段我々が使っている鉛筆やペンなどの筆記用具と見た目も使い方もまったく変わらないじゃないですか。凄く作品製作がスムーズになりましたね」

――Intuos4の機能面で気に入っている部分はどこですか。

平井「画像を拡大するときやブラシの太さを変えるときの、タッチホイールの使い勝手がいいですね。これまで、作品を制作している際に意外とそういった作業が手間でしたから。また、仕事柄出張が多く、ペンタブレットを持ち運ぶことが多いんですが、Intuos4は本体とPCを繋ぐケーブルを取り外すことができるので便利ですね。これまで、何度もコードが根元から折れてダメになっていたので。また、今使っているMediumサイズは持ち運ぶ際も苦になりません」

――主にどのようなソフトで、ペンタブレットを使っているんですか。

平井「『Photoshop』や『Illustrator』だけでなく、パソコン操作もすべてペンタブレットを使って作業しています。基本的にパソコン操作にマウスはもう要らないですね。これがあれば、PCもスマートフォン感覚で操作できますから。ペンタブレットに出会ってから、パソコンの操作が全部変わってしまいましたね」

――普段、ひとつの作品の製作にどの程度の時間をかけているのですか。

平井「バラバラですね。2~3時間で終わるものもありますし、5日ほどかけて作る場合もあります。主に人物画を描くことが多く、今は、ネットで色々な方の絵を参考にしながら萌え系のイラストに挑戦しているんです(笑)。でも作っていて、僕は萌えより、セクシーな方がグッとくると分かりました(笑)」

――最後に、平井さんの思うIntuos4の魅力とはなんですか。

平井「すぐに直感的な表現ができること。つまり、ペンタブレットは"直感的なクリエイションを可能にするもの"なんですよ。ひとつ手間が増えるだけで、イメージすることが減っていくこともありますから。また、ペンタブレットにより、パソコンで絵を描くという作業が、紙に絵を描く作業と違いがなくなりましたね」

ダイエットによって、体に付いていた脂肪が飛んでいったことを表現した作品『さようなら豚』

撮影:波多野匠