もはや定着? ハイボール人気

忘年会、新年会で最初の1杯がハイボールだった人、実は結構多いのではないだろうか。もう単なる"ブーム"ではなく、1つの"酒"として確立された感があるのだが、それは居酒屋などの外食業界に限った話ではない。缶入りハイボールも各社から発売され、家庭の食卓にもハイボールが頻繁に登場しているのだ。

こうなれば時間の問題だとは思っていたが、やはりきた。担当編集H譲からの「飲み比べせよ! 」との指令が! 早速、サントリー、アサヒビール、キリンビールで販売されている5種類の缶入りハイボールを飲み比べてみた。

試飲する人

小山田貴子
フリーライター・日本ソムリエ協会認定ソムリエ・「日本ワインを愛する会」編集長

イタリア留学中(遊学? )にワインに開眼し、帰国後ソムリエの資格を取得。2003年よりCSフーディーズTV(食の専門チャンネル)番組スタッフになり、現職に。ワインが専門ながらビールにも食指が動き、ベルギー(ブリュッセル・アントワープ)、ドイツ(デュッセルドルフ)、イギリス(ロンドン・エジンバラ・ブライトン)、アメリカ(サンフランシスコ・ポートランド・デンバー・ボウルダー・ハワイ)などのビール処を飲み歩いている。

飲み比べした商品

「サントリー角ハイボール」(写真左)と「トリスハイボール缶」(写真右)

サントリー酒類「サントリー角ハイボール」
2009年10月6日発売
アルコール度数: 7%
原材料: ウイスキー、レモンスピリッツ、糖類、酸味料

サントリー酒類「トリスハイボール缶」
2010年9月21日
アルコール度数: 7%
原材料: ウイスキー、レモンスピリッツ、レモン、糖類、香料、酸味料


「ブラックニッカ クリア ハイボール」

アサヒビール「ブラックニッカ クリア ハイボール」
2010年5月11日発売
アルコール度数: 7%
原材料: ウイスキー、食物繊維、レモン果汁(0.1%)、香料、酸味料、カラメル色素


「フォアローゼス ハイボール」(写真左)と「I.W.ハーパー ハイボール」(写真右)

キリンビール「I.W.ハーパー ハイボール」
2010年11月17日
アルコール度数: 7%
原材料: ウイスキー、スピリッツ、糖類、香料、酸味料

キリンビール「フォアローゼス ハイボール」
2010年11月17日
アルコール度数: 7%
原材料: ウイスキー、スピリッツ、糖類、香料、酸味料

いずれもテイスティング用のワイングラスを使用し、氷は入れず、温度は6~8℃でテイスティングした。共通点は350ml缶でアルコール度数7%、炭酸の具合は強くもなく弱くもなく、ちょうどよい塩梅である(商品によっては500ml缶も発売されている)。

サントリーからは個性の異なる2種

「サントリー角ハイボール」の色は、薄いジャスミンティーのよう。ウイスキーの香りが前面に出ている。飲んでみるとレモンの酸味が口の奥のほうに広がるがスッとキレるので、どんな食事とも好相性。特に和食に向いている。

「トリスハイボール缶」は薄いレモンイエロー、レモンとピート(正露丸の様な)の香りが入り混じる。グレープフルーツの皮のような苦さ、酸味と甘さのバランスは一番よい気がする。ただ、ピートの香りが強いので、すべての料理に合わせるのは難しい。キムチなどの発酵食品とかなり合いそうだ。

グビグビいけちゃう「ブラックニッカ クリア ハイボール」

「ブラックニッカ クリア ハイボール」は薄いレモンイエロー、レモンの香りが強い。レモンの酸っぱさの余韻が長く、苦味もあり、糖類Oの商品だがふんわりと甘味も感じる。原材料に食物繊維が入っているのが面白いが、味わいにどう作用しているかは不明。全体的に軽い印象で、単体でグビグビやるのにはいいが、料理に合わせるには少し軽すぎるかもしれない。

樽由来の香りが特徴的な2種

「I.W.ハーパー ハイボール」は今回の5種類のうち一番色が強く、「サントリー角ハイボール」よりも濃いジャスミンティー色。バーボンソーダらしく樽の香り、特にバニラ香が強い。余韻の長いしっかりした酸味が特徴だ。和食よりも少し油で調理した洋食のほうがしっくりくる。

「フォアローゼス ハイボール」はクリアなレモンイエローで、こちらも「I.W.ハーパー ハイボール」同様、樽の香りが前面に出ている。しかしこちらはバニラではなく、どちらかというと燻製の香りが強い。酸味よりも、ふんわりとした甘さと追ってくる苦さのバランスがいい。スモークしたサーモンやチーズにはピッタリ。

「I.W.ハーパー ハイボール」と「フォアローゼス ハイボール」は、その樽由来の香りと酸味で、白ワイン同様の使い方が出来る。多少温度が上がったものをチビチビやるほうがいいかもしれない。

最後に1つだけ警告しておく。最初にも述べたが、今回の商品は全てアルコール度数7%だ。ビールより2%ほど高い。たかが2%と侮るなかれ。テイスティングしていて結構グッタリきた。口当たりよくグビグビいってしまうが、くれぐれも飲みすぎにはご注意を!