カゴメのトマト鍋、ヒットの鍵は「子ども」

「甘熟トマト鍋」

鍋料理の新しい味として大人気のトマト鍋。大ヒットしたカレー鍋の次なるフレーバーとして数多くの飲食店でも販売されているが、食品メーカーからも様々な鍋用スープ製品が登場している。しかし、やはりトマトといえばカゴメ。同社が販売しているのが「甘熟トマト鍋」(315円・3~4人分)だ。子どもが好む味わいに仕上げて大ヒットの商品となった。

同社は2009年7月末、家庭で簡単にトマト鍋をつくることができる鍋用スープとして「甘熟トマト鍋 鍋用スープ」を7カ月の期間限定商品として発売。「子どもが喜ぶ味」「野菜がたくさん摂れる」「普段冷蔵庫にある食材で簡単にできる」など、子どもを持つ主婦の間で高く評価され、累計売上金額約11億円を記録した。

南欧産完熟トマト5個分に、トマトと相性のいいチキンブイヨン、パルメザンチーズを加え、コクとまろやかな甘みのある味わいに仕上げている。ウインナーやチーズ、きのこなどを使った子ども好みの洋風鍋に仕上げたり、大根やキムチなどを加えて大人向けのトマトおでんやトマトキムチ鍋にとアレンジも自由自在。また、鍋のシメに雑炊をつくり溶き卵を流して少しおくと、オムライス風にもなる。

「甘熟トマト鍋」調理例。たっぷりの野菜にウインナーもプラスして、子ども好みの仕上がり。鍋にウインナー。意外に思うかもしれないがこれが合う!

開発のきっかけは、カレー鍋をはじめとしたファミリー向けの鍋がブームになったこと。同社はこれまでにも鍋用商品を展開してきたが、それらはほとんどが大人をターゲットにした薄味のものだった。それに対して、人気の鍋は子どもが好むハッキリとした味が特徴。今回のヒットの鍵は「子ども」とし、ターゲットを子どもに設定した鍋商品の開発が始まった。

しかしトマトは独特の酸味が特徴で、それを苦手とする人も多い。特に子どもがそうだ。そこで同社は、甘みの強い南欧産完熟トマトを採用。酸味を抑えると同時にまろやかな甘みも出した。また、野菜がたっぷり使えることや、ウインナーなど子どもが好きな具材にマッチすることをパッケージデザインから訴求し、ファミリー向け鍋商品としての地位を確立していった。

トマト味のすき焼きも登場

「トマトすき焼き鍋」

2010年は、「甘熟トマト鍋 鍋用スープ」のパッケージデザインを一部リニューアルした「甘熟トマト鍋」と、特製トマト割下を使った「トマトすき焼き鍋」の2商品を7月に発売。両商品ともに売れ行きは順調で、特に「トマトすき焼き鍋」は、"ハレの日の料理"であるすき焼きを手軽に楽しむことができると主婦を中心に好評だという。

「トマトすき焼き鍋」(315円・3~4人分)は、醤油、みりん、砂糖の定番割下に完熟トマト6個分を加え、ウスターソースを隠し味に使った特製トマト割下を使用。豚肉やミニハンバーグなどの洋食素材と相性がよく、鍋のシメにはうどんだけではなく、ごはんを入れるのもオススメという。また、すき焼だが鍋つゆタイプなので土鍋で調理できるのもうれしい。

「トマトすき焼き鍋」調理例。すき焼きだが、ブロッコリーやハンバーグなどの洋風食材とも相性抜群! すき焼きの新しい世界が楽しめる

さらに、8月にはトマトを使ったポン酢「トマぽん」(252円・190ml)も発売。こちらはトマトの旨味とコクが効いたマイルドな味わいが特徴で、水炊きなどに合う。とろみがあるため具材にもしっかり絡む。柚子の風味もきいており、ドレッシングとしても活躍してくれる万能調味料だ。売り行き好調で、目標金額の2億円に向って順調に推移しているという。今後も「トマトを使った新しい和風料理の味を提供していきたい」(同社広報)と話している。トマト鍋に続くヒット商品の誕生に期待したい。

水炊きなどにオススメなのがトマトのポン酢「トマぽん」