情報には偏りがあると認識せよ

松村 次に情報収集術についてですが。

本田 インターネットが普及したことで、情報収集が早くなり、昔は一しかできなかったことが十できるようになったと思うんですよ。その点はよかったなと思います。

ただし、すべての情報には偏りがあることを前提にしてキャッチしなければいけないと思います。たとえば、本を読んで「ここに投資したほうがいい」といった意見を真に受けて失敗してしまう人がいると思うんですね。このことは一例に過ぎませんが、情報には偏りがあることを認識して、自分なりに情報を使うことを意識しなければいけないと思っています。情報にコントロールされるのではなく、そこにある情報を自分で役立てて行くのが必要な時代になっているのではないでしょうか。

もう一つ必要なのは、情報を検索する能力です。欲しい情報にたどりつけない検索の仕方をしている人が多いんですね。

松村 グーグルの検索結果画面の左端には、時間を区切って検索結果を表示できる機能が備わりましたね。それでグーグルの情報収集術が楽になった。これはiPhoneでもできるんですよ。iPhoneはいつも手元にあるので、パソコンよりも便利な存在になっています。それでは次にアウトプット術についてですが。

本田 本を書くとき、講演をするとき、アウトプットをするときにやっている方法なんですが、僕の場合はアイデアのタネは、手を動かさないと出てこない。手で書くことで頭を活性化させているんです。

タネがある程度の量になったら、デジタルに移すんですね。タネを骨格にして、骨組みを作りながら、今度はそれを移動させたり、組み合わせたりしています。

ビジネス書の執筆で、とりあえず書いていくというタイプの人がいるんですが、全体像から作らないと、ロジックがなかったりとか、読んでも読みづらいものになってしまうんですね。仕事をするときも同じだと思うんですが、全体を俯瞰してイメージを作り上げてからのほうが、簡単にできてしまったりもするんですよ。

松村 最初に紹介いただいたプレゼンテーション術で何か補足は?

本田 keynoteはスティーブ・ジョブズのために作られたといわれているほどで、ぜひ試してみてほしいですね。アップルのホームページにもチュートリアルのビデオがあります。意外に簡単に使えるようになってしますよ。

なぜアップル製品同士の連携が必要か?

松村 これで本書を構成する要素が揃ったわけですが、そもそも、なぜアップルなのかという点については、元トリンプインターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎氏との対談でお話されていますよね。

本田 人がデバイスを使う際に、僕がアドバイスしているのは「マニュアルを見ろ」ということなんです。そのほうが効率的に全機能を使えるようになりますので。

しかし、Macにはそもそも(一般的なPCのような)マニュアルがあるわけではないし、マニュアルがなくても全体の機能の8割くらいは使えてしまう。吉越さんは今、60歳を超えているんですけど、アップル製品は年配の方でも簡単に使える。これはすごいことだと思いますね。

それとあと一つ。WindowsでもiPhoneと問題なく連携できるじゃないかという意見がありました。もちろん、Windowsでも連携できるんですが、何が違うかというと、皆さんにも覚えがあると思うのですが、パソコンを使っているときに、数秒でも余計な時間がかかったりすると、集中力が切れたりイラっとしたりすることがありますよね。私自身、楽しく仕事をしていく上で、デバイスからストレスを受けたくないんですね。

僕のイメージでは、Windowsはデータ処理的な発想で発展してきたように思います。iPhoneとWindowsの連携を否定するつもりはありませんが、ワークスタイルを変えたり、デバイスから受けるストレスを少なくしたり、もっとクリエイティビティを発揮したいという人には、Macを使ったり、iPhoneをMacと連携させるほうがいいと思っています。

松村 ここまでで一通り本書の概要を紹介してきました。ところで、この本のプロモーションにも、本の中で紹介したハウ・ツーを活用しています。本書のTwitterアカウント@happyws10を作ったり、私のブログでも紹介するなどして、そのエッセンスを活用しているわけです。

次はこの本を読んで、みなさんがどういった「ハッピー・ワークスタイル」を手に入れるのかが重要になります。Twitterの#happywsでコミュニケーションをとり続けていきますので、みなさんが獲得したハッピー・ワークスタイルを紹介していただければと思います。