多くの才能を育んできたニコ動が、その集大成を見せる!

2009年11月14日からスタートし、約3ヶ月をかけて全国を駆け巡った『ニコニコ大会議』が、ついに2月19日・20日のファイナル公演(in 東京)をもって終了となった。本レポートでは1日目の様子をお伝えしよう。

ツアー最終会場に選ばれたのは、ニコニコ大会議ではお馴染みの東京・JCBホール。入り口には開場前からすでに長蛇の列ができており、その様子をノートPCを用いて生配信するユーザーの姿も目立っていた。

ホール周辺は人だかりになっており、事情を知らない通行人が不思議そうに見ながら通り抜けていた

前説はお笑い芸人のデスペラード

そして19時を迎え、レニー・ハートの力強い口上でいよいよニコニコ大会議ファイナル2Daysが幕を開けた。まずは今回のツアーの主役とも言えるニコニコ動画管理人の西村博之(ひろゆき)氏とドワンゴ取締役 夏野剛氏、そして同社代表取締役社長 小林宏氏、ニワンゴ代表取締役社長 杉本誠司氏の計4名が登壇し、挨拶と謝辞を述べた。

左より杉本氏・夏野氏・ひろゆき氏・小林氏。ひろゆき氏は珍しくスーツを着用しており、夏野氏は飲み過ぎにより声がガラガラに枯れてしまっていた

毎回、新しい機能やサービスの記者発表が行われてきたニコニコ大会議。この日発表されたのは『ニコニコ遊園地』の生放送対応と『ニコニコアプリ』の2本だった。

ニコニコ遊園地は以前からプレミアム会員向けに公開されていたサービスだが、3月からは生放送中にも遊べるようバージョンアップされるとのこと。加えて"生主"(配信者)ともゲームで遊ぶことができるようになり、生放送の楽しみ方の幅がさらに広がりそうだ。なお、今回はデモンストレーションとして実際にひろゆき氏が運営チームと麻雀を行ったが、会場およびユーザーの反応は今ひとつといったところだった。

麻雀好きなら試してみたい

お絵描きアプリを使うとマウスで動画上に落書きができる。描いた落書きは同じアプリを入れている他のユーザーと共有となる

そしてもう一つの新サービス、ニコニコアプリだが、こちらはニコニコ動画上で動くアプリケーションをユーザー自身が作成し公開することができるというもの。詳細はまだ不明だが、今回は例としてお絵描きアプリの実演が行われた。しかし、同サービスはまだ開発段階であり、公開時期など詳細については不明な点も多い。「2010年X月リリース予定」とのことだが、さらなる続報を待ちたいところだ。

このほかにも、「二次創作オンラインワークショップ」の開催情報や、イラストレーターの天野喜孝氏による「動かしてみた」コンテスト情報などが発表されるなど、ツアー最終地にふさわしい盛りだくさんな記者発表となった。

ユーザーからMIDI作品を募集し、生放送でプロが評価する。さらにプロによるMIDIデータがニコニ・コモンズで無償提供される。協力はあの「JASRAC」

天野喜孝氏の手形、通称「神の手」は、会場やモニターコメントでも「欲しい!」の声が上がっていた

ツアー序盤から販売されているニコニコカレンダーはもう2月ということで、衝撃の90%オフで叩き売り

新機能や新企画についてのちょっとお固めな話はここまで。

新たな"歌い手"の登竜門になるか? 生うたオーディション!

記者発表の後は、本日の目玉イベントである『ニコ生☆生うたオーディション』のファイナル審査がスタートした。これはニコニコ動画と247Musicが共同で開催していたオーディション企画で、今回の最終審査で合格すれば晴れてCDデビューとなる。

審査員は3名。左から沖田純之介氏、川村ゆみ氏、都倉俊一氏

多数の応募者の中から厳しい審査を勝ち抜いてきたのは、ぱーらー、高田虎太郎、でにろう、菜遊、やまだん、キャシャの6名だ。ここからは写真を中心にできるだけ当時の雰囲気を伝えていこうと思う。

一番手の「ぱーらー」は、力強く芯のある歌声を持つ歌い手。選曲は渋く狩人の「あずさ2号」で、トップバッターのプレッシャーを感じさせない見事な歌いっぷりを見せた。

二番手の「高田虎太郎」は応援に駆けつけた家族に見守られながら、絢香の「三日月」を優しい声でしっとりと歌い上げた。女性ボーカルの曲を難なく歌いこなす歌唱力は驚異的だ。

三番手の「でにろう」は若干15歳というフレッシュさが魅力の歌い手。……と思ったら選曲は中森明菜の「少女A」という凄いセンス! さらに付け加えるなら入場曲は五月みどりの「熟女B」だった。

四番手の「菜遊」はやや緊張気味で登場。ひろゆき氏とのトークもあまりかみ合っていない(?)様子だったが、歌の方は平野綾の「Lost my music」を堂々と歌いきってみせた。

五番手の「やまだん」はアニメ『ワンピース』の主題歌「ウィーアー(きただにひろし)」を熱唱。緊張はまったくないようで、歌詞に合わせてポケットに仕込んでおいたコインを観客席に投げ込んだり、舞台を左右に駆け回ったり……このときの会場の雰囲気はオーディションではなく完全に彼のライブと化していた。余談だが、この後楽屋に戻った彼は「ああ、マジで良い"ライブ"だった!」と満足げだったという。

最後は「キャシャ」によるアンジェラ・アキの「This Love」。ひとつ前の「ライブ」で会場が異様な盛り上がりを見せていたことから、「やりづらいですよね(笑)」とひろゆき氏に言われて苦笑い。しかし、歌い始めると一気に会場の空気を変えて観客を自分の世界に引き込んだ。その実力はまさに本物の証だった。

──以上、6名が歌い終わった後、ユーザー投票と審査員による審査が行われたが、実力伯仲のため作業が難航。その間は、ニコニコ生放送の帯番組「とりあえず生中」に出演中の政治ジャーナリスト・角谷浩一、タレントの大島麻衣、お笑い芸人の陣内智則が軽妙なトークでつないでいた。

もはや恒例となった「陣内土下座」弾幕の話も飛び出した

そしていよいよ審査結果の発表──。

まずユーザー大賞に選ばれたのは、僅差で1位となった「キャシャ」だった。

ここで、驚きのゲストがプレゼンターとして登場。

このために会場に駆けつけた

まさかの小室哲哉!

ユーザー審査員代表として登場した小室哲哉は、「歌一本でがんばっている人がいて嬉しい」とコメントし、6人のファイナリストたちにエールを送った。

続いてはCDデビューが懸かった「生うた大賞」の発表だが……該当者は残念ながら"なし"という結果に。

その理由は、「全員すばらしいが、プロのレベルには達していないと判断した」というものだった。代わりに審査員特別賞を「でにろう」「高田虎太郎」の二人が受賞。さらに第二回オーディションの開催も決定したことが発表された。

都倉氏から手渡されてちょっと緊張?

偶然にもこの二人は衣装が被っていた! ニコニコユーザーはこういうのを見つける能力が非情に高い

今度こそ、ニコニコ動画からCDデビューを勝ち取る歌い手が誕生するよう願ってやまない。

ニコニコ動画でも大人気!

最後はピアノのお姉さんこと「妃田智」のライブでエンディングを迎えたニコニコ大会議ファイナル2Daysの1日目。

3ヶ月にも及ぶ長い全国ツアーの締めくくりにふさわしい"特濃"な3時間となった。

後半のオーディションのインパクトが凄すぎて前半の新機能発表がややかすんでしまったかも?

ファイナル1日目が無事終了。おなじみのFooさん(手のみ)の笛も流れてお別れ!