神山監督「想像のつかない形で終われれば」 - 劇場版『東のエデン』初日舞台挨拶

11月28日、劇場版『東のエデン』第一弾となる『東のエデン 劇場版I The King of Eden』公開初日の11月28日、都内の劇場で神山健治監督らが登壇しての舞台挨拶が行われた。

『東のエデン』は2009年4月よりTVシリーズ全11話が放送され、羽海野チカ原案による柔らかいタッチのキャラクターに、神山健治監督の描き出すハードで謎めいたストーリーという異色の組み合わせが注目を集めた。TVシリーズではある部分で一応の結着へとこぎ着けたが、数多くの謎とセレソンたちの"義務"の行方を劇場版2作品に残す形となった。

■『東のエデン 劇場版I The King of Eden』ストーリー概要
日本が60発のミサイル攻撃を受けた事件から半年、咲は忽然と姿を消した滝沢を探し続けるが、どこにもその存在を示す記録は残っていない。咲の手に残されたノブレス携帯には、滝沢の声でメッセージが……。一方、他のセレソンたちはそれぞれに"義務"の遂行を続けていた。国家権力を動かし計画を進めるNo.1物部、2万人のニートをプロデュースするNo.2辻、追い詰められ思わぬ行動をとるNo.10結城。そして、「この国の王様になる」……再び記憶を消す前に滝沢が行った申請が、本人の知らないまま実現に向けて進行していた。

滝沢に出会った人たちは皆その影響を受け、何かが変化していく。ニートの楽園から会社組織へと変わった"東のエデン"メンバーたちがとる行動とは、そして思惑の読めないセレソンたちの攻防の行方は……。また、新たに登場するセレソンNo.6の直元、"ジュイスたち"の成長(?)など、見どころ多数だ。

初日に行われた舞台挨拶には、神山健治監督、滝沢朗役の木村良平、森美咲役の早見沙織、辻仁太郎役の遊佐浩二が登場した。

初の劇場版作品監督として舞台挨拶に立つ神山監督は「初日は断頭台に上がる気分です」と言いながら、上映終了後に会場からわき上がった拍手にほっとした様子。木村は2回目の記憶喪失となった滝沢を演じたが、今回の登場シーンについては「服を着ていてよかった(笑)」との感想。また、早見も滝沢との再会シーンについて「(滝沢が)服を着ていてよかった」と話し、会場の笑いを誘った。遊佐はこれに「バスローブは着ません(笑)」と対抗した。

■神山健治監督
「TVシリーズで残した謎に答えつつ、また最終回を作らなくてはならない。監督には酷なシリーズです(笑)。初の劇場版監督作品となりましたが、TVシリーズを通じて付き合ってきて、キャラクターに愛着も湧いています。大勢のファンの方が応援してくれているので、皆さんが納得する形で、かつ、想像のつかない形で終われればいいかなと思っています」

■木村良平(滝沢朗役)
「(来場者の)興奮が伝わってきてうれしいです。圧倒されます。2回目の記憶喪失でしたが、あまり考えず、テレビシリーズのままの滝沢をやらせていただければいいのかなと思いました。記憶を無くしても滝沢は滝沢でしたよね!」

■早見沙織(森美咲役)
「なんていうか、もう、すごい、ですね……! 立ち見の方、立ちっぱなしで脚が棒のようになってないですか? どうぞリラックスして……ていうか、私がリラックスしろって話ですよね! 自分自身も咲の目線で風景を眺めたりして想像しながら、(咲と自分の)通じる部分があると思いました」

■遊佐浩二(辻仁太郎役)
「TVシリーズでは最後のほうでちらっと出て、意味深なセリフだけを残して去っていきましたけど、ちゃんと劇場版に出演できてよかったです。辻は言葉少なですが、見ただけでキレモノだと感じ取れる部分はあるし、底の知れないところもあるので、そういったことを大事にして演じました」

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続編となる『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』は、当初2010年1月の公開予定だったが、先日その延期が発表された。「スタッフ一同、鋭意制作中です」と言う神山監督は、最後まで温かい拍手に包まれた会場に対し、「スタッフも勇気づけられると思いますので、今の拍手をスタジオへ持って帰りたいと思います」と感謝の言葉で締めくくった。

■『東のエデン 劇場版I The King of Eden』
テアトル新宿、テアトルダイヤ、ユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて公開中
原作・脚本・監督 / 神山健治◆キャラクター原案 / 羽海野チカ
配給 / アスミック・エース

(C)東のエデン製作委員会