料理教室の様子

最近、ベトナム旅行リピーターたちの間で、料理教室が流行っているという。日本でも人気のベトナム料理だが、現地の味を習得したいという人が多い。日本の魚醤にも似たヌクマムを使った味は米によく合い、フォーなど米粉を使った麺も親しみやすい。何より、野菜をたっぷりと使う点がベトナム料理の大きな魅力だ。料理教室は街中のレストランでも行われているが、おすすめは近郊の農村で行われているもの。現地の野菜づくりや、農村の様子、人々の生活が垣間見える。半日ツアーも組まれているので参加しやすい。今回は農村で開かれている料理教室に参加し、ベトナム家庭料理を教わった。

畑の中に建つ民家でベトナム家庭料理のレッスン。オープンスペースなので、畑の農作業を眺めながら調理をする。文字通りの地産地消だ

ホイアン郊外の野菜とハーブの村

自転車で通り過ぎる女子高生たち。ベトナムの道路は排気ガスと埃が多いため、マスクが欠かせない

向かったのは、世界遺産の街ホイアン郊外のチャークエ村。ホイアン市街地から車で約20分。途中、道を自転車に乗った女子高生たちがにぎやかに通り過ぎていく。強い日差しの中、制服の白いアオザイがさわやかだ。幹線道路から細い道を入って歩いていくと、農村の光景が広がっている。

チャークエ村は、機械や農薬を使わない昔ながらのオーガニック農法を今も守っている。農作物への水まきも、貯水した井戸からくみ上げ、大きなジョウロを両肩にかけて歩きながらまいていく。この農園は葉物野菜とハーブを主に栽培している。

種まき・水まきとも、機械なしの手作業で行っている。ジョウロを軽々と肩にかけているが、実はものすごく重い。ちなみに、水道は通っておらず、生活用水を含め、水は中世期にひかれたダー井戸からの水を貯めて使っている

ベトナム農村の様子。農産物はハーブ類などが多いため、1種類の畑はそれほど広くはないが、実に多くの種類がオーガニック農法で育てられている

ウェルカムドリンク。ドラゴンフルーツとライムを搾り、生姜で風味付け。生姜がアクセントとなり、暑さの中ピリッと気が引き締まる

農園内を案内してもらった後、教室会場となる民家に行く。様々な野菜やハーブの畑に囲まれた民家で、まずウェルカムドリンクが供される。ドラゴンフルーツとライムをしぼったさわやかなジュースが喉をうるおす。

テーブルの上には調理道具と材料が用意されている。エプロンとコック帽が気分を盛り上げる。今日のメニューは「トムフー」「揚げ春巻き」「バインセオ」の3種類だ。材料となるのは、エビ、豚肉、グリーンオニオン、ミント、バジル、唐辛子、にんにく、ライスペーパー、ヌクマムなどで、私たち日本人にとっても身近なものばかり。これなら、日本でもつくることができるだろう。

ホイアン式春巻き「トムフー」

トマトの皮の飾り切りを添えると、華やかになる。彩り美しいトムフーはオリジナルのつけダレでさっぱりといただこう。タレは、揚げ春巻きやバインセオにも

まずは、皮を使わないホイアン式の春巻き、トムフー。こちらではお供え物にされることも多いという。茹でたエビと豚肉、ミントの葉を、軽く茹でて柔らかくしたグリーンオニオンというベトナム特有のネギで巻いていく。このグリーンオニオンはベトナム特有のネギで、日本のネギよりもやわらかい風味。日本の家庭でつくるなら、柔らかく茹でた三つ葉や水菜で代用するといいだろう。つけダレには、市販のヌクマムをベースにしたものをつくる。赤唐辛子1/2本とニンニク一片をみじん切りにして、ライム果汁1個分、ヌクマム・砂糖各大さじ1、水大さじ1/2と合わせる。辛さ、甘さ、酸味が絶妙に一体となったさわやかなつけダレは、春巻き以外に今回紹介する揚げ春巻きやバインセオにも活用できる。

エビや豚肉を具材に使うホイアン式の春巻き、トムフー

盛り付けを華やかにしたい場合は、トマトを活用しよう。トマトの皮を途中で切れないように剥き、クルクルと丸めると、バラの花のような飾りができる。たくさんのトムフーとこのトマトでできたバラを盛り付けると、簡単にベトナム風の豪華な一品ができあがる。

材料
エビ / 豚肉 / ミントの葉 / グリーンオニオン(三つ葉や水菜で代用可能) 各適量
つけダレ(ヌクマム 大さじ1 / 砂糖 大さじ1 / 赤唐辛子 1/2本分 / ニンニク 1片 / ライム汁 ライム1個分 / 水 大さじ1/2)