"プロの料理人ならではの卵かけごはん"をコンセプトに、前回は茹で玉子と溶き卵を使った「兄弟丼」、エスニック料理にヒントを得た「ガパオ風卵かけごはん」を紹介した。今回は、さらにオリジナル色を強めた個性派卵かけごはん2品を紹介する。レシピ考案と調理指導は、今回も東京・広尾の「金のおでん 羽重本店」など3店の飲食店を展開するARSON DINING GROUPグループ統括料理長・羽重憲一さんである。

教えていただく料理人

ARSON DINING GROUP・グループ統括料理長 羽重憲一さん
東京都出身。23歳で和食の道にすすみ、30歳でバーテンダーだった現オーナーと独立し、ARSON DINING GROUPを立ち上げ。1号店である「金のおでん 羽重本店」(東京・広尾)を2003年に開店。2号店の「おでんダイニング 羽重」(東京・恵比寿)は、テレビ番組『VVV6 東京Vシュラン2』における「30代OLが選ぶおでんランキング」(2006年)で第1位を獲得する人気店に。3店舗目の「京都 まろまろ」(東京・恵比寿)は、京野菜を使ったおでんや創作料理が好評。

「冷やし卵かけ雑炊」

雑炊といえば冬のイメージ。それを"冷やし"にし、夏向けに仕上げたのがこの丼だ。だしで具を煮て冷やしておき、冷やしておいたごはんにかける。冷たいと味が感じにくくなるので、だしは温かい雑炊の場合より強めの味をつけておこう。溶き卵は食べる直前にかけていただく。味は雑炊そのものながら、生卵のなめらかさでサラサラといただけ、夏こそおいしい新感覚の"卵かけごはん"だ。

材料(2人前)
めんつゆ(市販のもの) 適量 / 水 適量 / エノキ茸 1/2パック分 / 三つ葉1/8束 / ごはん 2膳分 / 刻み海苔 適量 / 白ゴマ 適量 / ワサビ 適量

つくり方

1.めんつゆに水を加え、かけうどん用の濃さに調整する。全体の分量は2人分で200ccほどが目安。
つゆを鍋に入れて加熱し、沸いたら石づきを取り除いて手でさいたエノキ茸、適当な大きさにカットした三つ葉を加える。ひと煮立ちさせたら火を止め、あら熱がとれたら冷蔵庫で冷やしておく。さらに、ごはんも冷やしておく。
だしとごはんが冷えたら、ごはんを器に盛り、だしをかける。刻み海苔と白ゴマをふって、好みでわさびを添える。食べる直前に溶き卵を流し入れる。

「卵かけごはん風オムライス」

卵かけごはんの定義の1つとして、「生卵を使うこと」が入るとすれば、このメニューは卵かけごはんからは外れてしまう。なぜなら、ほんの少しだけ火を入れた玉子を使っているからだ。

とはいえ、ごく短時間なので玉子はとろとろの超半熟状態。火を入れることで生卵特有のにおいも消え、食べやすくなっている。味付けにはエスニック調味料のスイートチリソースとコンデンスミルク。スイートチリソースの甘酸っぱさや辛さに、コクのあるコンデンスミルクの甘みがバランスよく、卵に火を通す際に使用しているバターの香りもしてなんともリッチな味わいに仕上がっている。

材料(2人前)
卵 2個 / ごはん 2膳分
調味料(塩 少々 / 旨み調味料 少々 / 砂糖 少々 / 黒胡椒 少々 / 濃口醤油 少々 / バター 5g / スイートチリソース 小さじ2 / コンデンスミルク 小さじ2)

つくり方

1.卵を溶き、塩、旨み調味料、砂糖、黒胡椒、濃口醤油で味付けする。後で味の濃い調味料を加えるので、ここでの味付けは控えめに。
2.テフロン加工のフライパンを温め、バターを溶かす。1の卵液を入れ、火を止めて余熱で半熟状態に加熱する。
3.ごはんを器に盛り、2をのせる。スイートチリソースとコンデンスミルクをかける。

前編、後編あわせて、和風、エスニック、洋風と様々な卵かけごはんを紹介してきた。お好みの1品は見つかっただろうか。今回は料理性の高いメニューを紹介したが、フツーの卵かけごはんに飽きた人は、ぜひチャレンジしてほしい。