郊外から都市部へ向かう高速バスの弱点のひとつは、上り方面のバスが都心側の都市高速道路上で渋滞に巻き込まれ「遅着」することだ。そんな弱さを沿線鉄道と連携することで克服しようとする試み「高速バスからつくばエクスプレスへの乗り継ぎ実証実験 - 首都高八潮PAを活用し、バス運賃+100円で、都心までスイスイ - 」が3月末で終了する。自治体・道路会社・バス会社で構成された「八潮パーキングエリアを活用したレール&高速バスライド検討委員会」は、同実験のこれまでの実績データやユーザーの声をまとめた検討会を重ね、4月以降は「実験」の枠を超えて本格的に始動する方向で進めていることを明らかにした。

茨城エリアから東京方面へ向かう高速バスの乗客が、つくばエクスプレス八潮駅に近接する首都高速道路八潮パーキングエリア(埼玉県八潮市)の降車用バス停を経由してつくばエクスプレスへと乗り継ぎできる実証実験は3月末で終了する

同実験の概要は、地域沿線などに配布されたパンフレットや、国土交通省関東陸運局の資料で公開されている。首都高速道路によると、2008年6月16日の実験開始から2009年1月10日までの延べ利用者数は21,702人。実験に該当するバスは1日あたり87便。平均で1日およそ100人が利用していることになる。該当するバスの利用者で、つくばエクスプレスへの乗り継ぎを希望する人は、八潮PAにて降車するさいに「高速バス・TX乗継乗車券」の紙製切符を100円で購入し、TX八潮 - TX秋葉原間(通常運賃450円)に乗車することができる。

八潮パーキングエリアを活用したレール&高速バスライド検討委員会の資料より。実験に該当する高速バス運転手は、常磐自動車道上の守屋サービスエリア周辺と、三郷ジャンクション周辺にある首都高速渋滞情報案内板を見て、その先のルートで渋滞が見込まれると、アナウンスし、乗り継ぎをすすめることになる

紙製切符のため、ユーザーはつくばエクスプレスの駅構内の有人改札を利用する。残念ながら各バス会社とも、「PASMO」や「Suica」といった電子マネーが高速バスに利用できるようになるにはまだ時間がかかるという。ちなみに乗継乗車券100円は「すべてつくばエクスプレスに渡り、差額の350円はバス会社とTXとの協議で決まっている」(首都高速)という