夏野氏は「仕事のできるえらい人」


――では、今度は逆の質問をひろゆきさんに。夏野さんが来られて半年経ちましたけど、その働きぶりをどのようにご覧になっていますか。

ひろゆき 夏野さん、少しくらい休むかと思ったんですけど休まないんですよ。以前からワーカホリックなんじゃないかという疑惑はありましたが、今はそれが確信に変わりましたね。直属の部下として働く人はほんと大変だろうな(笑)。夏野さんの話を聞いてると勉強になりますね。ドコモとはいってもNTTという公務員的な性質のある会社で、いかにうまく人を動かすかということをずっとやってこられたわけですから、人の動かし方とか仕事の進め方とかが的確で、速いですね。

――一般の人は、iモードの立役者である夏野さんの考えるビジネスモデルとか、儲けるための秘策に興味があるかと思いますが、ひろゆきさんはむしろマネージャーとしての夏野さんに注目している。

ひろゆき というか、仕事のできるえらい人というのはみんな、やっぱりそこがすごいんだと思います。

――夏野さんには新たに「エバンジェリスト」という肩書きもつきましたが。

夏野 エバンジェリスト、かっこわるいからやっぱりやめようか(笑)。いや、エバンジェリストとしての特別な活動はなんにもないですよ。仕事は黒字化だけ。単なる「取締役」というのもなんだなーと。

ひろゆき 単なる取締役よりわかりにくくなってますよ(笑)。

夏野 イメージは、Googleの「インターネットエバンジェリスト」ですよ。インターネットの父ことVint Cerfさん。かっこいいねえ。あれっ、でもVint CerfさんはGoogleで今何やってんだろう……まぁそんな感じです。

夏野氏「100億稼いだら引退」


――夏野さんは去年の今ごろ「僕の給料が上がらない」ということをよくおっしゃっていましたが、注目企業のドワンゴとはいえ、超大企業のドコモの役員からの転職となると、ドカンとお給料が上がるとは思えないんですが……。

夏野 ドワンゴ以外にもいっぱいやってますからね。8社も役員やってる人あんまりいないでしょう。それはまぁ合わせれば……ドコモ時代よりは……よろしいかと(笑)。でもまぁベンチャー企業の社長さんみたいに、株式公開して1日にして現金何百億円ゲット、みたいなのに比べればスズメの涙ですよ。相変わらず貧乏です。

ひろゆき 夏野さんの貧乏の基準ってわからない(笑)。どれくらいあったら貧乏じゃなくなったと思えるんですか。

夏野 そうねえ、やっぱり100億。

ひろゆき 100億あったら何するんですか。

夏野 もう思いっきり引退。

ひろゆき いやいやいや(笑)。引退したらそんなにお金使うことないじゃないですか。

夏野 あるある。家建てたり、年間180日くらいは旅行。俺はまだ人生先長いし。30年以上ある。

ひろゆき マイル貯まってるんだから旅行はマイル使いましょうよ。夏野さん何百万マイルって単位でマイル持ってるんですよ。

――もしも家を建てるならどんな家を建てたいとかあるんですか?

夏野 いや、別にないです(笑)。こう言うとなんか情けない夢ですねえ。でも元々(最初に勤めた会社の東京ガス時代に)僕は建築系の仕事をやってて、デザインコンペで賞をいただいたようなこともあったので、そっち方面は興味あるということです。別荘建てたいな。2億くらいは使うかなあ。

ひろゆき 100億のうち2億って、まだ全然残ってるじゃないですか!

夏野 え、2億使っちゃうんだよ? (笑)


100億円を稼いで、あとは理想の家造りと旅行に没頭したいと話す夏野氏だが、それにも興味はありそうなものの、絶対に実現したい夢を語っているようにはとても見えなかった。少なくとも今は、ニコニコ動画の黒字化といった課題に挑戦することのほうがずっと面白いということなのだろう。インタビュー後編(2009年1月3日掲載)では、おとそ気分は控えめにして、ニコニコ動画の今後の事業展開について、少しだけ真面目に聞いてみた。

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