WOWOWで毎週金曜深夜24:00から放送されている『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース』。全6話のうちの第5話『征地球論』(11月28日放送)の収録が7日、都内のスタジオで行なわれ、宇宙人の議長の声役のテリー伊藤氏と、同作の監督である青池良輔氏に収録後の心境などを語ってもらった。

『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース』に声優として出演したテリー伊藤

藤子・F・不二雄氏の原作を読んだことがあるというテリー氏は、この物語が映像化されると聞き、しかも声で参加するということで、期待と緊張が入り混じっていたらしい。

テリー伊藤(以下、テリー) : 「藤子さんのその当時の感性はすごいなと。このマンガを映像化することって、どこまでできるのかなって思いましたね。期待感もありました。で、出来あがりを見てすごくよかったので、僕にとって初挑戦の声優の仕事で、足をひっぱちゃったらまずいなと。だから緊張しましたね」

この『征地球論』は、ある惑星Xの宇宙人議会が、新たに征服する星の候補となった「地球」という星をめぐり議論が続けられるシーンがある。テリー氏はそのあたりの見どころを独自の着眼点を持ちながらこう語る。

テリー : 「宇宙人から見た地球人の感覚はすごく鋭いし、こういう見方は皆さんもすべきだと思いますね。今の世代の人って、自分の身の回り半径5メートルの距離で考える。5メートル以外のことは興味ないじゃないですか。ファッションにしろ、音楽にしろ、ブログにしろ、5メートル以内でおさまる。それに対して、この物語の宇宙人は地球というところを俯瞰で見ている。こういう客観的なものの見方っていうのは、人生にとって大切ですよね。人生のなかで苦しいという場面もあるかもしれないけど、客観的に見れば滑稽なことかもしれない……」

「改めて『そうなんだ』と思わせる部分が多い。21世紀を予言しているというか、これが作品と出たときに、今の人にも充分に感じ取ってら得そうな作品だと思う」とテリー

また、仮にテリー氏が宇宙人だったら、地球などは征服しないかもしれないとも語る。「腐った地球なんて美味しくない」という。

テリー : 「地球温暖化でCO2も多いでしょ。何も好き好んで、地球に来たくないな。宇宙飛行士が地球に戻ってくるときさ、宇宙のばい菌を持ってきてるかもしれないということで飛行士を隔離されるじゃない。でも、宇宙人から見れば『おまえたち地球のほうがよっぽど汚いよ』って思うかもしれない。藤子さんはまさにそれを言おうとしていたんじゃないのかな。『オレたち宇宙人は一度地球から離れるけど、もっと地球をよくしてくれよ。オレたちは征服する旨みがない』って。美味しい食べごろのころに地球を征服したいじゃない? そんなメッセージ性のある物語だから、すごい作品だと思いますね」

青池良輔監督。代表作に『CATMAN』などがある

一方、同作の監督を務めた青池良輔氏は「きょうのアフレコに関してはイメージ以上ですね。びっくりしました。みなさんあまりにも芸達者で。テリーさんはものすごい勘が鋭い方というか、人間としての経験値の高い人だなと思いましたね」という感想から入り、この作品へのこだわりや撮影を経ての印象などを語った。

青池良輔監督 : 「宇宙人がどこまで人間を理解しているか、その線引きをどのへんにしようかというところに悩みました。例えば宇宙人は人間界のお金については知らないけど、紙は知っているというところとか。紙を知らないようにすると、見ている地球人もわからなくなってくるでしょう。原作の藤子作品については『めちゃめちゃデカイ』と思いました。この作品が与えられたとき、『ちょっとネタが大きいすぎますよ!』って。見どころは、細かいことでいうと、ギャルメイクをした主演・谷村美月さんの笑顔と、テリーさんの毒なのか、個性の強い人たちのアクでコーティングされたドラマって感じの部分ですね」と語った。

WOWOW『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース』シリーズ第5話『征地球論』は、11月28日(金)深夜24:00からの放送となる。