バリスタ日本一は誰だ!? - 1杯のコーヒーに思いをこめる"職人"たちのアツい戦い

皆さんは、カフェやレストランでエスプレッソを淹れている人たちのことを、"バリスタ"と呼ぶということをご存知だろうか。もし"バリスタ"という名称を知っていたとしても、バリスタの日本大会、世界大会の存在を知っている人は数少ないだろう。ここでは、16日に東京・有明のビッグサイトにて開催された日本一のバリスタを決める大会「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ'08 - '09 兼 ワールド バリスタ チャンピオンシップ 2009 日本代表選考会」(主催: 日本スペシャルティコーヒー協会)の模様をお届けしていく。……あなたがいつも通っているカフェのバリスタも登場しているかもしれない。

「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」(以下、JBC)は、簡単にいえばバリスタの技術を競う大会である。エスプレッソ、カプチーノ、シグネチャービバレッジ(自由テーマのエスプレッソドリンク。ただし、アルコールの利用は不可)を4杯ずつ15分以内につくり、その味、技術などが審査される。詳しい競技ルールに関しては以前にも紹介をしているので、そちらを見ていただきたい。

今回のJBCには153人が参加。予選、準決勝を勝ち抜いた8人が決勝に進出した。そして、この大会の優勝者には、バリスタの世界大会「ワールド バリスタ チャンピオンシップ 2009」(2009年4月アメリカにて開催)への出場資格が与えられる。この大会での日本人最高順位は、2005年大会の門脇洋之さん(島根「CAFE ROSSO」)による2位。今年は誰が"バリスタ日本一"になり、世界へと羽ばたいていくのだろうか。

決勝進出者リストを見ると、8人のうち3名が決勝初進出で、うち2名がJBC初出場。他の5名は決勝進出経験があるバリスタだった。しかし、経験者であれば緊張をしないのかといえばそういうわけではない。また、初出場者の中にも堂々たる姿で決勝に臨んでいるバリスタもいた。

平成生れのバリスタ、決勝初進出

その1人が決勝戦で1番目に登場した井崎英典さん(福岡「ハニー珈琲」)。井崎さんはJBC初出場の18歳。平成生れのバリスタの決勝進出は初めてだという。初出場、しかも決勝戦では最初の競技者。緊張しても仕方がない様々な要素があったにもかかわらず、落ち着いた様子でエスプレッソ、カプチーノ、シグネチャービバレッジをつくっていく。「ハニー珈琲」は、井崎さんの父・克英さんが経営するコーヒー豆専門店。克英さんは、Speciality Coffee Association of Europe(SCAE)主催の2008年カッピングコンテストに日本代表として出場し、8位となった人物。英典さんは、コーヒー界のサラブレッドともいえる人物なのだ。今回の成績に関わらず、今後注目していきたいと思わせる内容だった。

そして、井崎さんの次に登場したのは鹿児島「ヴォアラ珈琲」の中摩麗さん。「ヴォアラ珈琲」といえば、前回のJBCのチャンピオンである竹元俊一さんを輩出した店だ。同店は、大々的に展開しているチェーン店ではなく、鹿児島県内で2店舗を展開する自家焙煎のコーヒー豆専門店である。「優秀な人材がいる店にはどんどん才能のある人が集まってくるのだなぁ。また、人を育てる環境もあるのだな」と感じずにはいられない。

そして、「丸山珈琲」も近年複数名のファイナリストを送り出している店だ。「丸山珈琲」は、長野・軽井沢に本店を構える自家焙煎のコーヒーショップで、山梨・小淵沢にも支店を出している。今回のJBCでは軽井沢店勤務の関口学さん、小淵沢店勤務の中原見英さんが決勝進出。そしてなんと関口さんは、バリスタ経験はあるものの、現在は営業担当というから驚きだ。丸山珈琲は、前回のJBCでは3人が決勝進出しており、近年、めきめきと力をつけてきている。

そんなイベント全体を通しての感想を先にお伝えしたが、いよいよ結果発表に移る。