買い方のポイントは少量買い

前回は、ご飯のまとめ炊きについて紹介しました。まとめ炊きして、小分け冷凍保存したご飯をレンジでチンすれば、主食はOK。次はおかずの出番です。

まずは、買っておくと、何かとおかずに使える食材を紹介しましょう。食材選びのポイントは(1)1回使い切りではなく、複数のおかずに使いまわしができるもの、(2)ある程度は日持ちするものの2点。もちろん「安い」ことが大前提です。

「1回使い切りではなく、複数のおかずに使いまわしができる」は、食費節約のいろはの「い」。おうちごはん初心者のころは、スーパーのお惣菜を買って、それをおかずに1食分をまかなってもよしとしますが、本格的に節約をめざすなら、お惣菜のような1回食べ切りのものは不経済。使いまわしができる食材とは、食べなじみのあるもの、調理しやすいものが基本です。

食材の一例

  • 肉 : 豚こま切れ肉、薄切りロース肉、ひき肉、鶏むね肉、鶏もも肉など。
  • 魚 : 1匹まるごとよりも、切り身がお薦め。鮭、めかじき、さばなどの切り身など。
  • 野菜 : じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどの根菜類。根菜類は常温で保存すると日持ちする。
  • 葉物野菜 : レタス、キャベツ、小松菜など。キャベツは1個丸ごと買った方が割安。ひとり暮らしの場合は使いきれない場合があるので、1/2カットを買う方が無難。

おうちごはんの節約ポイントの1つが、この少量買いにあります。大根、白菜も同様です。目先の安さに惑わされずに、食べきれる分量を買う方が、結果的にお得になるというわけです。葉物野菜というと、ほうれん草が代表的ですが、ほうれん草はアクを抜くために下ゆでする必要があります。一方、小松菜は下ゆでの手間要らず。さらに、カルシウムはほうれん草の3倍以上、カロチン、ビタミンCも豊富に含有し、栄養価的にも優秀な食材といえます。このほか、この時期の旬のものとしては、しいたけ、しめじ、舞たけ、エリンギなどのきのこ類があります。国産しいたけは値段が多少高めですが、それ以外ならお手ごろ価格。きのこ類は、低カロリーで食物繊維が豊富なヘルシー食材です。

コツは肉&魚と野菜のコンビネーション--調理は「炒める」「焼く」から

おかず作りのコツは、肉・魚などの動物性たんぱく質と野菜を組み合わせること。動物性たんぱく質は体力作りの素になると同時に"だし"の素にもなります。たとえば、短時間で簡単にできるレシピの定番「野菜炒め」にも、少量、あるいはひき肉でもいいので肉を入れると、味にコクが加わります。また、野菜炒めを作る場合、料理に不慣れなうちは玉ねぎ、にんじん、キャベツなどを切ったら、フライパンで炒める前に、電子レンジで約2~3分加熱するのがお薦め。炒める時間が短縮でき、野菜から余分な水分がでるのを防げます。野菜を洗ったり、切ったりするのが面倒なら、もやしを1袋そのまま入れてもOKです。もやしには栄養があまりないようイメージがありますが、実はビタミンCたっぷりの美容食材なのです。しかも、低カロリーでダイエット効果も期待できます。

おうちごはんスタート時は「炒める」「焼く」の調理法が、簡単ですし、失敗が少なくお薦めです。魚の切り身を焼くときには、レンジ台についている魚焼きグリルを使うと、洗うのが面倒なので、フライパンで焼いてもいいですし、オーブントースターにアルミホイルを敷いて焼いても、切り身や干物なら十分火を通すことができます。

肉や魚を焼いて、付け合せに野菜を添える場合、生野菜のサラダに飽きたら、温野菜はいかがでしょうか? じゃがいも、にんじん、きゃべつ、小松菜(ときにはブロッコリー、カリフラワー、おくら、白菜、いんげんなど)をレンジでチンして、マヨネーズやお好みのドレッシングをかけるだけで温野菜サラダが完成。電子レンジを使えば、鍋を洗う手間が要りませんし、ゆでるよりもはるかに短時間ででき、ガス代の節約にもなります。ただし、電子レンジはわずかな加熱時間の違いで、加熱しすぎることがあるので、コツがつかめるまでは、最初は2分、その後、火の通り具合を見ながら1分ずつ加熱するのが無難です。

醤油味に飽きたら、プチリッチな調味料を投入

肉や魚を焼いて醤油をかけるだけのワンパターンな味に飽きたら、プチリッチな調味料にトライしてみましょう。多少、値段の張るものもありますが、いくつか揃えておくと、味付けのバリエーションがグ~ンと広がります。

お薦めなのが、たとえばハーブ入り岩塩。安い肉でも焼いて、これをパラリとかけるだけで味がグレードアップします。ハーブ調味料をいろいろ買い揃えるより経済的です。粒マスタードは普通のマスタードよりも辛さが控えめで酸味があるので、焼いた肉やソーセージ、温野菜に添えるのがおすすめ。オイスターソースとコチュジャンで炒め物を味付けすれば、たちまち本格派中華の味になります。肉、野菜はもちろんチャーハンの味付けに使っても、なかなかのおいしさです。

パルメザンチーズはドレッシングと一緒にサラダにかけると、いつもサラダのコクが増します。ナンプラー(ヌックマム)はタイ料理やベトナム料理には欠かせない調味料。エスニック料理好きの人は、1つ持っていると重宝します。使い方は本格エスニック料理にこだわらず、生野菜でも温野菜でもドレッシング代わりにかけてもいいですし、炒めた肉の味付けにしても味に変化が出ます。

このほか、スイートチリソース、柚子胡椒、ガーリックパウダー、キムチの素などもおうちごはんのマンネリ化対策に便利です。特に、キムチの素は豚キムチ、キムチ鍋、キムチチャーハン、野菜の即席キムチ漬けと大活躍します。いっぺんにたくさん揃える必要はありません。2~3品からスタートするだけでも、おうちごはんが楽しくなるはずです。

あるとおうちごはんがワンランクアップする調味料。左からナンプラー、粒マスタード、ハーブ入り岩塩、オイスターソース、パルメザンチーズ、コチジャン

村越克子(むらこしかつこ)

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店