米Intelは7月23日(現地時間)、かねてから「Tolapai」という名前で知られていたNetwork向けSoC(System on a Chip)について、公式に「Intel EP80579」という名称で発表を行った(Photo01)。

Photo01:これはIDF Shanghai 2008のプレゼンテーションより。Intel Quick Assist Technologyの代表例として示されたもの。

今回発表された製品は2種類8品目となる。「EP80579」と「EP80579 with Intel QuickAssist Technology」で、それぞれについて600MHz/1066MHz/1.2GHzの動作周波数の製品が用意される。また一部モデルには民生用(0℃~70℃)と、産業用(-40℃~85℃)の2種類の動作保障温度のものがあり、トータルで2品目という具合だ。

製品のポジションとしては、従来のCore 2ベースのCPUが汎用、Atomがローパワー向けとなり、今回のEP80579は特定用途向けの省パッケージ・省電力モデルとなる(Photo02)。

Photo02:「何と比べて」省パッケージ・省電力かが問題。

具体的な特徴としては、従来4チップ構成だったものを1チップ化し、またEmbedded向けに7年の製品保障とか産業用温度環境のサポートを追加、またネットワーク向けにTDM/アナログ向けI/Fを追加し、さらにNetwork Acceleratorをサポートするといったものになる(Photo03)。

Photo03:TDM/Analog Voiceというのは、VoIPのサポートには必須のI/Fとなる。つまりRegidential G/WやVoIP G/Wが主な用途の一つになることを示している。

内部構造としては、これは従来から発表のあったようにPentium MをベースとしたものにMCHとICHを統合、さらにネットワーク関連のアクセラレータを追加したものがワンパッケージとなる(Photo04)。ちなみに製造プロセスは90nmとなっているが、これについては「現時点ではこれ以上微細化する必要がない」(同社)との事。ただし次の製品は45nmに移行するとの話であった。

Photo04:なぜ90nmなのか、には2つの考え方がある。一つはPentium Mコアの微細化を見送ったという話。65nm/45nmにPentium Mをそのまま移行する位ならCore SoloなりAtomを統合するほうがマシだっただろうが、そうなるとさらに登場時期が遅れただろうと想像される。もう一つは、MCHやICH、それにAcceleratorの65nm/45nm化が間に合ってないという可能性。MCHはともかくICHを65nm/45nmに移行するのはまだ大変だろうし、後述するようにAcceleratorはIXP460シリーズからだいぶ持ってきたのではないかと想像されるが、これらは何れも90nmで製造されているもの。なので、これらを含めての微細化が間に合わない事は十分に考えられる。

これにより占有する基板面積は大幅に縮小するのは当然として、消費電力そのものもだいぶ節約可能になった。もちろん、たとえばPentium Mコアそのものの消費電力は同一周波数ならば変わらないのは当然だが、これまで(CPU内部の信号に比べて)はるかに大電力を要していた外部バス(FSB、HubLink、etc)を、CPU内部と殆ど変わらない信号レベルで駆動できるようになっている。これにより10W程度の消費電力削減が可能になった、と考えるのが正しいだろう(Photo05)。

Photo05: