かなり速いオートフォーカス

通常の位相差式でのオートフォーカス速度を調べてみた。EV5の明るさで平均1.2秒、EV1の明るさ(ずいぶん暗い)でも平気1.8秒と、かなり高速である。E-420もほぼ同じ成績を残している。ちなみにテストはAFポイントを中央固定としている。

ファインダー画角は実測で約19.1度(対角)だった。現在のレベルとしては狭いといわざるを得ない。E-420と共通のユニットとしてコストを抑えているのだとは思うが、E-3ですばらしく快適なファインダーを可能にしたのだから、このクラスもぜひ改良してほしいと思う。

ターゲットを変えながら、オートフォーカスの速さを測定した。AFポイントは中央固定(位相差式)
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 42mm(84mm相当) / L+F(JPEG) / マニュアル(F5.6、1/60秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

左の撮影の結果をまとめたもの。EV5では平均約1.2秒、EV1(かなり暗い)では平均1.8秒となった。このクラスとしては十分に速いといえる。また、これはレリーズタイムラグなども含めた時間なので、オートフォーカスだけならもっと速いはず

オートフォーカス方式。通常のシングルAFなどからそのままマニュアルに移行するモードも備えている

ファインダー内の像。撮影情報は右側に表示される。ファインダー視野角は対角で約19.1度だった

追従はいまひとつだが悪くはない

オートフォーカスを中央固定、コンティニュアス(C-AF)としてブランコを撮影した。フォーカスは速いのだが、ブランコのような速度の定まらない被写体の場合、往々にして行きすぎることが多く、結果として外すことが多いようだ。といっても、プロ機を別にすると、ブランコはカメラが苦手とする被写体のひとつで、コンパクトカメラではまったく追えないことが多い。そういったなかではE-520はがんばっている。

コンティニュアスAF(C-AF)、中央固定でブランコを追いかけた。左から連写1、連写2、連写3
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 32mm(64mm相当) / L+SF(JPEG) / プログラムAE(1/160秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

連写4

連写5

連写6

連写7

連写8

連写9

フラットに描写するフォーサーズ

解像力はセットレンズの「ED 14-42mm F3.5-5.6」を使用し、開放(テレ端=F5.6)とF8の両方でチェックした。開放でもそれほど明るくないということもあり、解像力としては大きな差はない。中央付近で開放では約1600TV本、F8では約1700TV本あたりだろうか。シャープさも少しF8のほうがいい。もっとも大きな違いは周辺での色収差だろう。開放では輪郭部分に赤や青の色が見えるが、F8まで絞るとほとんど気にならなくなる。ただ、どちらも全体としては非常にフラットで、均一な描写といえる。フォーサーズのメリットが生きている。

また、平坦なブロック塀を撮影し、歪曲もチェックしてみた。ワイド端での樽型収差はもちろん、テレ端では若干の糸巻き収差が現れるようだ。チャートと同じように開放とF8で撮影したが、傾向もチャートと変わらない。開放ではワイド端、テレ端とも少し像がゆるくなり、周辺での光量落ちも発生するが、それほど大きな劣化ではない。

ちなみにE-520の取扱説明書を見ると、「17.5-45mm」という表記がある(140ページなど)。これは「E-500」とセット販売されていた「17.5-45mm F3.5-5.6」のこと。単品では販売されておらず、入手もほとんどできない。取扱説明書での表記は"このレンズもE-520で使えます"という意味らしい。E-500からの買い替えユーザーのためだろう。

絞り開放(F5.6)で解像力チャートを撮影。約1600TV本の解像力
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 42mm(84mm相当) / L+F(JPEG) / マニュアル(F5.6、1/6秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

少し絞り込んで(F8)で解像力チャートを撮影。約1700TV本の解像力だった
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 42mm(84mm相当) / L+F(JPEG) / マニュアル(F8、1/3秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

ED 14-42mmのワイド端で撮影。樽型の歪曲差が発生している
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 14mm(28mm相当) / L+SF(JPEG) / 絞り優先AE(F8、1/200秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

ED 14-42mmのテレ端で撮影。わずかに糸巻き型の曲差が発生した
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 42mm(84mm相当) / L+SF(JPEG) / 絞り優先AE(F8、1/250秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

ワイド端での周辺画質を比べてみた。左の開放(F3.5)では若干像がゆるくなるが、右のF8ではシャープに描画した
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 14mm(28mm相当) / L+SF(JPEG) / 絞り優先AE / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

テレ端での周辺画質の比較。左が開放(F5.6)、右がF8だが、絞り値が1段しか違わないこともあり、その差は少ない
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 42mm(84mm相当) / L+SF(JPEG) / 絞り優先AE / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

ISO 800まではほとんど気にならないノイズ

高感度撮影時のノイズについても、基本的にE-420とほとんど変わらない。初期状態である「高感度ノイズ低減」機能が「標準」で見てみると、ISO 400まではノイズらしいノイズは見えず、ISO 800で若干のざらつきが発生、ISO 1600では色ノイズやざらつきも強くなる。といってもそれほど強くはない。ISO 800までは問題なく常用できるはずで、神経質にならなければISO 1600でも大丈夫だろう。

「高感度ノイズ低減」は「OFF」「弱」「標準」「強」の4段階だが、やはり「標準」がうまく設定されている。「OFF」や「弱」では明らかにノイズが目立ってくるし、「強」ではずいぶん像が緩くなってしまう。「標準」のまま変更する必要はないだろう。

ISO感度は最高でISO 1600まで。「AUTO」は上限値を設定できる。以下は、感度を変えて撮影し、ノイズをチェックしたもの。「高感度ノイズ低減」も変更しているが、特に指示のないものは「標準」で撮影している
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 14mm(28mm相当) / L+SF(JPEG) / プログラムAE / WB:オート / 仕上がり:NATURAL

トリミング位置

ISO 100

ISO 200

ISO 400

ISO 800

ISO 1600

ノイズ低減=オフ、ISO 800

ノイズ低減=オフ、ISO 1600

ノイズ低減=弱、ISO 800

ノイズ低減=弱、ISO 1600

ノイズ低減=強、ISO 800

ノイズ低減=強、ISO 1600