11歳の少年・高嶺と、妖怪であるヨヨギが織り成す物語。アニメ専門チャンネル・アニマックスにて、7月5日(土)の21時より放映予定

都内スタジオにて24日、アニメ『タカネの自転車』のアフレコが行われた。主人公である少年の心の成長を、妖怪との自転車レースを通して描く『タカネの自転車』は、第6回アニマックス大賞受賞作。例年大賞受賞作をアニメ化しているアニマックス大賞は2002年からスタートし、今回で6回目となる。今回はアジア圏まで募集地域を拡大。10の国と地域から過去最高の3,056通の応募があり、そのなかからタカマガハヤト氏の本作が選び出された。

アニメ化にあたり監督を務めたのは『鎧伝サムライトルーパー』『新機動戦記ガンダムW』など手掛けた池田成。アニメーション制作は『おおきく振りかぶって』で野球青年たちの姿を見事に描写したA-1 Picturesが担当するという、豪華な布陣となっている。

<あらすじ>
高澄高嶺(たかみね・たかね)は、模試で100位以内に入れば新しい自転車を買ってもらえるはずだったが、結果は112位。母親には92位だと嘘をつくも、妹・珠貴のせいでバレてしまう有り様……。そんななか、高嶺の前に突然現れたヨヨギと名乗る青年。その手には92位と書かれた高嶺の答案用紙を持ち、いらないものと交換しようと言うのだった。高嶺がいらないものを珠貴だと答えた途端、ヨヨギは珠貴を飲み込んでしまった! 過ちに気付いた高嶺は珠貴を取り戻そうとするが、ヨヨギが突きつけたのは自転車レースでの勝負。はたして珠貴を助け出すことができるのか!?

高嶺はまだ小学5年生の少年。物語を通して、高嶺がどう成長していくのかご注目

ヨヨギとの自転車レースに挑む高嶺。このレースを通して、ヨヨギは高嶺になにを伝えようとしているのか?

現代の家族の形をリアルに描き出しながら、同時に妖怪も登場するという、リアリティとファンタジーのバランス加減が本作の魅力のひとつと言えそう。そんな作品への思いを、主役の高嶺を演じる坂本真綾がアフレコ後に存分に語ってくれた。

――収録を終えた感想はいかがですか

主役の高澄高嶺を演じた坂本真綾。声優や歌手として幅広く活躍し、現在放映中のアニメ『マクロスF』のOPテーマ「トライアングラー」でも、魅力的な歌声を披露している

今回は11歳で小学校5年生の男の子の役ということで、これまで完全な少年の役というのを演じた経験が少ないので、少し緊張しながらアフレコに挑みました。それでも、びっくりすぐらいスムーズに進み、ホッとしました。テンポ感のある作品で、すごく充実した気分で終えられました。

――小学校5年生のころの思い出などはありますか?

私は8歳から声優などの仕事をしていましたが、もちろん普通に学校に通っていました。やっぱり学校のテストで点数が悪いとお母さんに見せるのが嫌だなと思ったり、見せないようにしたりとかそういう経験があったので、高嶺の気持ちはよくわかります。私も兄がいるのですが、今回は自分がお兄ちゃん役をやって「確かに妹の私って、これぐらいウザかったかもしれない」と思ったり(笑)、そんなことを振り返りながら演じました。

――ほかのキャラクターたちの印象は

ヨヨギはかっこいい妖怪という感じで、石田彰さんが素敵な声をあててらっしゃいます。例えとして監督から、なまはげ的な役割という説明がありましたが、決して悪い奴ではなく、戒めの意味を含めて出てくるキャラクターです。珠貴は無邪気な妹という感じですけど、やっぱり女の子ってどうしても幼いころからちょっとませています。「偉そうなことを言ってお兄ちゃんを怒らせたりするのは、確かに私自身そういう存在だったな」と思いながら見ていました(笑)。

――演じる上で苦労したポイントは?

自転車を漕ぐのが大変でした(笑)。高嶺の体には小さくなった自転車を、かなり長い時間、ゼーハーしながら漕ぐシーンがあったんですけど、最後のほうは高嶺とともにリアルに疲れ果てました。過呼吸のようにもなりながら演じたので、そんなところも注目してもらえればと思います。

――自分で小説やコミックのストーリーを考えたりしますか?

ストーリーを組み立てるのは本当に難しいことだと思います。こういった企画があるというなかで「すごく楽しそうだな」と思いましたが、私にストーリーを書く自信はいまのところありません(笑)。自分でなにかを書こうという発想は非常に難しいことだなと思うので、シナリオやストーリーが書ける人は本当にすごいなと思います。3千以上の応募があったというのにもビックリしました。

――アニマックス大賞受賞作のアニメに参加した感想は

監督や音響監督、そして私たち声優と、たくさんの人が原作者の人の夢に沿って力を合わせていくという作業で、それに参加できてとてもうれしいです。アニマックス大賞も続いていくと思うんですけれども、この作品を見た人たちが「自分も書いてみようかな?」と思って、夢を追いかけてくれるきっかけになればと思います。

――視聴者にメッセージをお願いします

いま日常生活にある兄弟の形、家族の形がリアルすぎるぐらいに描かれています。普通の男の子で、なるべくなにもしない素朴な演技を目指したつもりです。ジワッと心が温かくなるような作品で、子どもはもちろん、大人が見ても楽しめると思うので、ぜひご覧になってください。

(C)A-1 Pictures・アニマックス