東京都交通局は24日、東京・下町の観光スポットを巡る新たな観光路線バス「東京→夢の下町」の運行記念式典を開催した。東京・両国の江戸東京博物館・特設会場には、専用ノンステップバスが公開されたほか、運行開始を祝うために萩本欽一や浅香光代、デーモン小暮らが駆けつけた。

新たに導入されることになった車両のリアビュー。曲線を生かした柔らかいデザインだ

新路線となる「東京→夢の下町」S-1系統は、日本橋三越、秋葉原電気街入口、上野公園山下、かっぱ橋道具街入口、浅草雷門を経由し、東京駅と両国駅間を結ぶ。この観光路線バスは、「2016年東京オリンピック」も視野にいれ、外国人観光客を積極的に呼び込む狙いもあり、オリンピック招致と沿線地域活性化の2つを担う東京都の事業のひとつだという。

フロントビュー

車両は、産学連携によるオリジナルデザインを採用。首都大学東京・産業技術大学院大学教授で工業デザイナーの福田哲夫氏がデザインを担当した。同氏は、JR東海道新幹線「のぞみ」車両などのデザイン開発に携わったデザイナーとして知られる。今回は、「東京発、江戸再発見。未来ゆき」をテーマに、「過去と未来が共存するような東京を行き来するタイムマシン」というイメージを具現化。外観はステンレス・無塗装による低公害化を図り、インテリアには天井などを工夫することで広い空間を演出。座席配置も普通車よりもゆったりとした幅を持たせたという。

一際目立つ丸窓が新しい

また、車両は新造ではなく、同局が所有する既存の「日野レインボー」を改造したもので、車体改造を東京特殊車体が担当した。1台の改造費は約2,000万円だという。同車は南千住自動車営業所に所属し、先頭の車両コード札には、同所の日野レインボー車両であることを意味するK・LのLが与えられている。

観光路線バス「東京→夢の下町」路線に充当されるバスのベースとなった車両は東京都交通局で現役で活躍する日野レインボー。写真が同型の車両だ

インテリアは、新調したブルーのシートと、わかりやすいイエローのポール類でまとめられ、日本語・英語・韓国語・中国語の順に表示される2画面液晶ディスプレイが天井の前後に設置されている点が特徴。ディスプレイには、例えば「かっぱ橋道具街の紹介」など、観光名所の詳細情報も流れ、外国人観光客にも喜ばれるサービスが提供される。

地理に疎い観光客向けの配慮がうれしい

運行は9~18時台に30分間隔運転。所要は約1時間。東京駅丸の内北口と両国駅前を毎時00分・30分に出発するダイヤ構成となる。運賃は通常の都営バスと同じく大人200円、小児100円。この日、一日局長に任命された萩本欽一は、「局長の顔は相当やけくそのようです。東京都も赤字が増えてばっかり」とブラック・ジョークたっぷりに会場を笑わせたが、そこは地元にゆかりのあるスター。「浅草も寂しくなってね、なかなかいいことがなかった。でも、このバスの登場で、下町が賑やかになってくれればうれしい。浅草で育った人間としては非常にありがたい話」と意気込んだ。

痛快なボケとツッコミでイベントを大いに盛り上げた欽ちゃん。 ゆかりの地に新たな観光路線バスが誕生しニコニコだった

舎人ライナー開通に続いての都バス新路線開通。お祭り騒ぎの東京・城東エリアだが、萩本の「新銀行東京のようにならないでね。二度三度はあってはならないでしょ」というジョークには、『東京の観光路線バスを考える会』の座長を務める作家・はかま満緒氏が「だいじょうぶ。地下鉄で補いますから」とさらにブラックな"東京都ジョーク"で吹き飛ばした。

式典には、国・自治体の代表者たちが多く参加。国と自治体、それぞれが同バスへの期待をコメントした。国土交通省副大臣で両国出身の松島みどり氏は、「2010年までに、外国人観光客1000万人を目指して政府が整備していきたい。昨年は835万人。小泉政権発足時には500万人ほど。ぐんぐんと伸びている状況です。さらに、この観光路線バスをどんどんPRし、ついでにオリンピック東京招致ロゴを全面にラッピングして走ってもらいたい」と、東京五輪実現へ向けた期待を述べた。