WOWOWは、テニスグランドスラム4大会(英・仏・米・豪)すべての衛星放映権を獲得したことを記念してこのほど、記者会見を行った。会見では、WOWOWの"テニス・アンバサダー"に就任した元プロテニスプレーヤーのモニカ・セレスと、"スペシャル・ナビゲーター"を務める俳優の石黒賢、WOWOWテニスのナビゲーターとしておなじみのフローラン・ダバディーが登場。テニス4大会の魅力のほか、今テニス界が注目する錦織圭について語った。

引退表明後、初来日となるモニカ・セレス

"元"テニスプレーヤーのセレスは先月2月14日に引退を表明した、90年代の女子テニス界の女王だ。1989年、15歳でプロ入りし、全豪4回、全仏3回、全米2回と、グランドスラムで幾度にわたる優勝の実績を持つ。その彼女が、選手としてではなく親善大使として来日できた喜びを語り、日本のテニス界で脚光を浴びる錦織圭について触れると、「18歳であれほどのプレーをする彼は非常に素晴らしい。とてもエキサイティングなこと。彼の将来と日本のテニス界の向上に期待している」とメッセージを残した。

セレス「日本のファンはいつも応援してくれて、私にいろいろなプレゼントをいただいた。引退後にこのような機会をいただき、日本のみなさんにやっと恩返しができるのではないかと思うと、非常にうれしい」

WOWOWとセレスには共通する「あとひとつ」があった。それは全英オープンテニス「ウィンブルドン」だ。WOWOWは、唯一ウィンブルドンだけ放送権を持っていなかった。一方、セレスは4大会のうちウィンブルドンだけは優勝することができなかった。そこへ今回のタッグが実ったというわけだ。

そんなセレスは「全豪は、まず日差しが厳しく、すごく暑い。4大会のなかで唯一屋根付きのコートで行われるゲームでもある。全仏は、クレイコート(赤土)での試合なので、テクニックや応用力が必要。精神力の強い選手が有利だ。全米は、一番大きい大会。2万人も入る会場で、観客の声がダイレクトに伝わってくるので非常にプレッシャーがかかる」とそれぞれの違いを述べ、さらにWOWOWとセレスが"欲しかった"ウィンブルドンについては、「雨の量、湿度によって、芝の長さ、ボールのスピードなどが変わる、非常に繊細なゲームになるでしょう。雨による中断も多い。私も1試合で6回もの中断を経験し、集中力を維持するのも難しい」と語った。

ダバディー「アート的な表現が好きなフランス人たちの全仏、サーブ・アンド・ボレーなどのネットプレーを楽しめるウィンブルドンなど、国民性や好みの違いから角度を変えて観戦してみても面白いはず」

石黒「今回、ウィンブルドンに初めて行くことに。今年は、フェデラーの6連覇がかかっているし、2009年からセンターコートに屋根が付いてしまうので、今年のウィンブルドンは特別な思いが強い」

また、同会見では3月10日の24時より「デルレイビーチ国際選手権決勝 錦織圭VSジェームズ・ブレイク」の試合をフルマッチで緊急オンエアすることも発表した。弱冠18歳、日本テニス界に突如現れた錦織の存在が、今後のテニスブームのけん引役となるか。セレス、石黒らがエスコートするWOWOWテニスグランドスラム4大会放送とともに、日本のテニス人口の裾野が広がりそうな気配だ。

最後にセレスは司会者の進行を遮り、こう述べた。「4大会を通して、ゲームの裏側まで伝えられたらいい。また、4大会を1つのチャンネルで見られるのは貴重だということを理解してもらえるように、頑張りたい」。

左から、フローラン・ダバディー、モニカ・セレス、石黒賢、和崎信哉(WOWOW代表取締役社長)

WOWOWでのグランドスラム4大会の放送は以下のようになっている。

WOWOWテニスグランドスラム全大会放送日程

大会名 日時
全仏オープンテニス 2008年5月25~6月8日
ウィンブルドンテニス 2008年6月23日~7月6日
全米オープンテニス 2008年8月25日~9月7日
全豪オープンテニス 2009年1月19日~2月1日(予定)