D51形式蒸気機関車シュミレータ。運転室の狭さに時代を感じる

鉄道博物館は体験型を謳うだけあって、シュミレータやミニ運転列車といった体験展示も多くある。まずは話題のD51シュミレータを紹介しよう。"鉄子"としてはいち早く体験してみたかったが、今回は取材なのでぐっと我慢。いつか自分が運転する時の参考になればと思いつつ、小学校低学年の男の子が体験する様子を見学してみた。

係員の説明にしたがって、まずは石炭をくべる。といっても本格的な「給炭」(勢いよく均一に、カマに石炭を投げ入れる)ではなく、スコップで静かに石炭を数杯入れる感じ。その後運転席につき、係員の説明に従って操作。運転室は床ごと小刻みに動いていた。なお、機関助士(石炭をくべる専門の係)が体験できるモードは現在行っておらず、当面1人での運転体験になるとのことだ。体験は1回500円で、予約が必要。

211系電車シュミレータ。順番待ちの間も、真剣に前の人のプレイを見学する鉄ちゃんたち

D51以外にもシュミレータはあり、211系電車(東海道線)、209系電車(京浜東北線)、205系電車(山手線)、200系新幹線電車といった具合。これらは交通博物館から移設されたもので、映像などのソフトの内容は同じだが、再生方式を交通博物館時代のビデオCDからハードディスクに変えたことで、動きがぐんとなめらかになったとのこと。そして205系には動揺制御装置が付けられ、よりリアルな運転士気分を体感できる。これらは無料で、予約も不要となっている。

双眼鏡でじっくり見たい模型鉄道ジオラマ

館内中央部の2階には、模型鉄道ジオラマが。風景や建物なども精密な模型で再現されており、見学席は約200席。映画館のように雛壇状になっている。照明がとてもきれいで、ジオラマ自体もかなりあか抜けた印象だ。

ここでは、館内スタッフによる車両解説やエピソード紹介をするライブ運転を1日数回実施している。私が見学した回は、まず朝の通勤列車であるE231系山手線と湘南新宿ライン、205系埼京線の運転から始まり、新幹線700系、はやて・こまち号と続いていった。昼は特急成田エクスプレス号、スーパービュー踊り子号、JR北海道ディーゼル特急のキハ283系スーパーおおぞら号。夕方になると寝台特急カシオペア号、北斗星号が発車し、翌朝になって終了というベーシックなものだった。ナレーションは車両の説明に終始し、一番後ろから見ていた私は、ジオラマの全体像をつかみきれないまま約15分のプログラムが終了してしまった。1回見学しただけではうっかり感想も言えない、そのくらいのボリュームがある凝ったジオラマだった。次回は双眼鏡を持って行こうと思っている。

ジオラマのスペース。一番前は小さい子ども用のベンチ、奥の窓は隣のキッズルーム(就学前の子どもとその保護者のみ入場可能)からののぞき窓である

長さ約2.4m、幅約1.2mの3人乗りミニ車両で1周約230mの軌道を運転できるミニ運転列車は、1回200円で予約が必要。これが車両、線路とも本物さながらに芸が細かく、見ているだけでもおもしろい。運転の操作は簡単そうだが、外回りにはATS-P(自動列車停止装置・トランスポンダー型)、内回りにはATC(自動列車制御装置)が設置されており、実際の鉄道と同じ安全な秩序で走る。よって、運転者が好き勝手に運転できるわけではなく、列車の安全システムを実感できる内容となっている。

ミニ列車運転の駅は「万世橋」「両国橋」「飯田町」「汐留」。いずれもかつて存在した東京のターミナル駅(汐留は現在のゆりかもめの駅とは別のもの)

ミニ列車の撮影は意外に面白かった。超低速のミニ列車は、信号や標識を上手によけてシャッターチャンスを見極める練習にもってこい

細かいワザに鉄ちゃん大喜び!?

画面左上の建物が「汐留総合車両センター」、その右下には転車台があるなど芸が細かい