日本でのF1といえば、これまでそのほとんどが鈴鹿サーキットで開催されていた。しかし、今年はついに富士スピードウェイでF1が開催される。関東圏に住んでいるならずいぶん近くになったわけで、今年はF1を観戦に行くというF1ファンも多いだろう。そこで、今回は開催直前のF1日本GP観戦ガイドをお送りする。

2006年Toyota Motorsports Festivalのレースシーン(写真提供:富士スピードウェイ)

まず最初に富士スピードウェイについておさらいしておこう。富士スピードウェイは、富士スピードウェイ株式会社が1966年にオープンさせたサーキット。30度バンクコーナーでも有名だったが、このコーナーで死亡事故が発生したこともあり、1974年には30度バンクは使用されなくなった。現在では「30度バンクメモリアルパーク」として保存されている。実はせっかく取材に行ったのに、30度バンクを見ずに帰ってきてしまった。本コースとは少し離れているが、せっかく富士スピードウェイに行くのなら、30度バンクも忘れずに見ておこう。

古くからレースファンならご存じと思うが、富士スピードウェイでのF1開催はこれが初めてではない。1976年と1977年の2年間にF1が開催されたことがある。しかしクラッシュにより観客が死亡するという事故が発生。1987年に鈴鹿サーキットで再開されるまで、日本でのF1グランプリは中断されることとなった。2000年には、2002年からF1参戦を予定していたトヨタが富士スピードウェイを買収。約200億円を投じてコースに改修を施した。2006年には鈴鹿サーキットのF1開催の契約が終了したこともあり、富士スピードウェイへのF1誘致を成功させ、1977年以来30年ぶりの開催となった。

なお、2007年、2008年は富士スピードウェイで開催されるが、鈴鹿サーキットでF1開催継続を要望する声も多く、F1を開催するFOA(Formula One Administration)は、2009年以降は鈴鹿サーキットと富士スピードウェイを隔年開催することを決定した。

現在の富士スピードウェイの正面ゲート

トヨタによる改修前の旧富士スピードウェイ。右に大きく膨らんだ部分が30度バンク(提供:富士スピードウェイ/1990年11月 Photo by T.wakamatsu)

会場付近への自家用車乗り入れを禁止したチケット&ライド

富士スピードウェイは周辺道路が少なく、F1開催時の混雑が早くから懸念されていた。それに対する開催者側の対応が「チケット&ライド」と呼ばれる、会場周辺への一般車両の乗り入れを禁止し、全ての来場者を最終的に専用シャトルバスを使って場内に入場させるという方式だ。サーキットから離れた場所に駐車場を設営することで、サーキット周辺の混雑を回避するわけだ。もちろん電車など公共交通機関を使用した場合も、場内へは専用シャトルバスを使わないと入れないようになっている。

今回は、開催直前のガイドということで、自由席券を買った人や、これからチケットを購入するという人を対象としている。なお指定席はグランドスタンドや仮設スタンドからの観戦になるため、見晴らしは良くなるがコースを走るマシンからはやや遠い位置になってしまう。逆に自由席はコースには近いが、安全のために張り巡らされたフェンスが目の前に立ちはだかるというデメリットがある。

9月19日現在、富士スピードウェイの公式サイトでの抽選および先着チケット販売は全て完了している。しかし旅行代理店のチケットはまだ残っているかもしれないので、チケットを入手していない人は確認してみよう。取り扱いのある旅行代理店は、JTB、富士急トラベル、小田急トラベル、伊豆箱根トラベル、近畿日本ツーリスト、日本旅行の6社だ。また、車いす専用席も別途設けられている。

場内には、3つの飲食・物販用大型ブースなどが用意される。1つがホームストレートの「F1ビレッジ」、もうひとつが80R裏東ゲート寄りの「Speedway Plaza」、3カ所目がダンロップコーナーから13オーナー裏に設置された「Drink・Foods&Shop」だ。なお、パドックエリアを除き、コース内外には通路が設けられているが、外周側の通路からはコースを見ることはできない。

F1日本GPガイドマップ。飲食、物販などの大型特設ブースはA、B、Cの3カ所に用意される。赤い線が通路となる。外側の通路からはコースが見えないので注意(提供:富士スピードウェイ)

富士スピードウェイサーキットガイド