UVカットガラスを搭載したクルマに乗っていても、駐車場までの道のりや観光中は紫外線を浴びてしまいます。紫外線対策に、日焼け止めクリームは欠かせません。日焼け止めはUVAとUVBを防ぐ効果がありますが、その効果の目安として「PA」や「SPF」が使われます。UVAを防ぐ効果の目安を「PA(Protection Grade of UV-A)」、UVBを防ぐ効果の目安を「SPF(Sun Protection Factor)」で表示することが多いようです。

PAは、「PA+=防止効果がある」、「PA++=防止効果がかなりある」、「PA+++=防止効果が非常にある」という、3段階に分類されています。

SPF値は日焼け止めを塗らない状態と比較して、日焼け効果を数値化したものです。何も塗らない状態で日光を浴びると、一般的に肌は20分程度で赤くなりはじめます。1SPF=20分として、2SPFならその2倍の時間、日焼けを遅らせる効果があるということです。SPF値の最大値はSPF50ですが、数値が大きくなればなるほど、肌にかかる負担も大きくなります。SPF値はSPF30以下を選んだほうががいいでしょう。また、日焼け止めは汗などで落ちてしまうので、3時間くらいを目安にこまめに塗り直すのがいいようです。

お化粧をしてから日焼け止めを塗るのに抵抗があるかもしれませんが、あぶらとり紙で余計な皮脂を取って、化粧水で水分を補給してから塗り直せば、肌の負担は少なくなります。ミストタイプの日焼け止めを使い、パウダリーファンデーションを薄く塗ると厚塗りになりません。ミストタイプ+パウダーファンデーションの代わりに、リキッドファンデーションに日焼け止めを混ぜたものを使用するのもいいようです。

日焼け止めは、紫外線吸収剤が入っているものがあります。紫外線吸収剤を使うとSPF値は高くなりますが、肌の負担が大きくなり、肌の弱い人はかぶれることもあります。また、環境ホルモンや発がん性の疑いのある、オキシベンゾン、フェノールを含むものもあるので、紫外線吸収剤が入っていないものを選んだほうがよいでしょう。

UVカットガラスと熱遮断ガラスの効果

紫外線は、シミ・そばかすの原因だけでなく、クルマの室内の色あせなどの原因にもなります。最近の乗用車のほとんどは、UVカットガラスが標準装備されているか、オプションで装着できるようになっています。UVカットガラスは通常のガラスに比べてコストは上がりますが、安価な軽自動車でもUVカットガラスの採用率は高くなっています。これは小さなクルマほど女性が運転する率か高い、つまりUVカットガラスの要望が高いためです。

最近はUVカットだけでなく、赤外線をカットする「熱遮断ガラス」を搭載するクルマも増えてきました。赤外線は車内の温度を上げ、エアコンの効きが悪くなり、肌のジリジリ感の原因になります。クルマを買い換えるときは、ガラスの種類もチェックすると良いでしょう。

現在、乗っている車がUVカットガラスではないからといって、すぐにクルマを買い替えることは難しいでしょう。そんなときは市販されている「UVカットフィルム」や窓に塗るケミカル剤を使うことをオススメします。これらのアイテムを使えば、日焼けを抑えることもできます。

市販のUVカットフィルムについて、「本当に効果があるのだろうか?」といぶかしむかもしれません。気をつけたいのは、着色フィルムとUVカットフィルムは別物だということです。クルマのUVカットガラスを見ても分かりますが、ほとんど無色になっています。逆に、色が付いていても紫外線を通すフィルムもあります。フィルムの仕様書などを読んで、紫外線を遮断するのかどうかを確認して購入してください。また、フロントガラス、および運転席と助手席側面のガラスは、着色フィルムの使用は禁止されています。可視光線透過率70以上のクリアなUVフィルムを選びましょう。

UVカットフィルムは、自動車用品店へ行けば数千円で購入できます。しかし問題は、きれいに貼るのがとても難しいことです。前や横の視界は安全にかかわるものなので、気泡などを入れてはいけません。そこで大手の自動車用品店ではフィルムを貼る作業を請負っています。プロが行なうので、とてもきれいに仕上がります。ただし料金もそれなりに必要で、フロントとサイド2枚で4万円近く、サイドガラス1枚で1万円ほどかかるようです(フロントはやっていないショップも多い)。そこまでお金をかけたくないのなら、ガラスに塗るタイプのUVカット用品を試してみるのがいいでしょう。

UVカットガラスやフィルムを装備したクルマに乗っていても、窓側の腕だけ焼けてしまったという経験はありませんか? UVカットガラスは、紫外線を遮る効果がありますが完璧ではありません。UVカットガラスに「紫外線を99.9%カット」と書いてあるカタログなどがよくありますが、よく見ると「波長:350nm(ナノメートル)時」などと書かれています。つまり、紫外線全部をカットしているわけではないのです。

下の太陽光の波長の図を見てもわかるように、紫外線と可視光線の波長は完全に分けられません。紫外線の波長は「~400nm」、可視光線の波長は380~780nmで、380~400nmの波長には紫外線と可視光線が両方含まれています。紫外線をすべてカットすると、可視光線まで遮ることになってしまいます。UVカットガラスやフィルムに頼り切らず、日焼け止めクリームやグッズも併用したいものです。

太陽光の波長。紫外線と可視光線の領域は重なりながらつながっている。そのため可視光線を遮らず、紫外線のみカットするのは非常に難しい

窓に塗るタイプのUVカットグッズ「カーメイト ウインドゥガード UV+SUN」。380nmまでの波長を99.5%遮断し、熱抑制効果もがある。フロントガラスや運転手助手席側の窓にも使用可能

貼り付けタイプのサンカットフィルム「クレトム GA-35サンカットシルバー」。これはサイド・リヤ用。カーフィルムは使用できる箇所を確認してから使用のこと