2022年となったが、今年はどのようなグローバルリスクが存在し、日本企業は具体的にどのような影響を受けるのだろうか。

グローバルリスクといっても、米国と中国を巡る対立、今年になって発生したカザフスタンでの反政府デモ、感染拡大が続くオミクロン株、世界各地で表面化する異常気象など多岐に亘るが、ここではより身近な問題を紹介しよう。

観光業界の展望

まず、今日日本でも世界でもオミクロン株が猛威を振るっているが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響がある。コロナ禍に突入して既に2年となるが、それによって人々の国境を越えた移動は激減した。

近年、観光大国を目指す日本には中国や台湾、欧米諸国などから多くの外国人観光客がやってきていたが、それは新型コロナというグローバルリスクによって事実上ストップした。今年もそれによって日本の観光業界は大きな影響を受けそうな状況だ。

特に、オミクロン株は米国や欧州、中国など日本を訪問する外国人が多い国々で拡大しており、外国人観光客を歓迎してきた地域の温泉地や避暑地への経済的打撃は今年も続くことになりそうだ。

半導体獲得競争

また、国内企業でも海外に生産拠点や調達先を多く持っている企業は、よりグローバルリスクを意識する必要がありそうだ。

例えば、今日世界では半導体不足が深刻化している。半導体は自動車や洗濯機、ノートパソコンやスマートフォンなど我々の生活必需品にとって欠かせないものだが、コロナ禍による電子機器製品への需要拡大、米国による中国半導体メーカーへの経済制裁などによって、半導体を必要とする業界では喫緊の課題となっている。

筆者は最近、ヤマダ電機やケーズデンキを訪れたが、スタッフの人たちから、「半導体不足で冷蔵庫や洗濯機が品薄になっている」、「生産が追いついていない」などと心配する声を何回も聞いた。それだけ半導体不足という問題が我々の日常生活に影響を及ぼしているのだ。

今年も米中対立は続くが、バイデン大統領は半導体などの脱中国化を目指すサプライチェーンの強化に努めており、今年は去年以上に世界的な半導体獲得競争が主要国間で激しくなりそうだ。

北京五輪の影響

さらに、株価や為替への影響も懸念される。大国間の軍事的緊張が高まると株価や為替が一気に変動することは過去からのケースで明らかだが、上述した米中対立に代表されるように今年は大国間の緊張関係が悪化する恐れがある。

例えば、最近になってロシアが2014年以来ウクライナに侵攻する仕草を見せた。ロシアは軍10万人規模をウクライナ国境近くに展開し、米国は仮に侵攻すればロシアに大規模な経済制裁を発動する可能性を示唆している。

また、2月には北京五輪が開催されるが、米国や英国、オーストラリアやカナダなどは閣僚を派遣しない外交的ボイコットを既に宣言しており、これを巡って北京五輪後にも中国がどう対抗してくるかに懸念の声が強まっている。

習政権も北京五輪は大々的に成功させたいことから、その後に欧米と中国との間で経済的な摩擦が激しくなり、それによって株価や為替に大きな影響が出てくる可能性がある。

企業への影響を予測することは簡単ではないが、今年は以上のようなグローバルリスクに国内企業は直面する可能性が高いと言えよう。