――『DX』の長い歴史の中で、今のスタイルが一番長くなりましたよね。これが一番フィットしているということなのでしょうか。

そうですね。でも、まだまだあるかもしれません。ダウンタウンって、本人たちが「そんなもんできるかー」って言っても、結局全部やれる人たちなんです。だから、なるたけやりたくないことをやってもらう方が良いと思っているんですよ。「ええやんけそれー」って言われるものは、前にどこかで触れてる可能性があるから、「なんや二郎、しょうもないこと考えて!」って言われて、そこから形にしてもらった企画の方が、過去を振り返ると、当たってる感じがありますね。

――具体的にはどんな部分がそのタイプでしたか?

「視聴者は見た!」もそうでした。あと、お客さんの前でゲストのみんなとトークするというときも、「なんでみんなとしゃべらなあかんねん」っていう感じは相当ありましたね。

――『笑っていいとも!』を降りた後ですもんね。

トークと言っても、たくさんの人間としゃべったらライブショーになるから、それを成立させるにあたって、見えないところが多すぎるということがあったと思うんですよ。でも、浜田さんとかとだいぶやり取りさせていただいて、最後は「自分はディレクターだから、そういう画が見たい!」って言って、「画なんてどうでもいいんじゃー!」って言われながら、OKをもらいました。

――最終的には、納得されるんですね。

納得というよりも、折れるという感じ(笑)。「どうせやってもアカンから、二度とやらへんからなー」くらいの感じで受けてくれはるんですけど、実際にやるとプロですから大丈夫なんですよ。そこは信じてますね。で、「もう最高でした―!」って言うと「何言ってんねん!」って言われながら、また次もやってくれる。そうしていくうちに、2人のやり取りが円熟味を増していったんです。

――そういう相談は、浜田さんにされることが多かったんですか?

そうですね。松本さんとは、ワイズビジョン(※2)に出向してる時に『ビジュアルバム』(※3)でご一緒させてもらったんですけど、ダウンタウンが大阪時代に『4時ですよ~だ』(MBS)でブレイクした時に、あまりにみんなが「ダウンタウンがすごい!」って言うから、僕ちょっとヘソ曲げちゃって、当時のダウンタウンをちゃんと見てなかったんですよ。その後の『ごっつええ感じ』もそんな感じだったので、『ビジュアルバム』をやるときに「コント撮れ」って言われても、「無理でしょ…」って(笑)。だから、新しいことをやる中で、僕が見たい松本さんはこうなんだと思うことを、徹底的にやっていったという感じ。その後、小松さんと『ごっつ』のスペシャルをやった時も、分からないなりになんとかやりました(笑)

(※2)…読売テレビと吉本興業が出資していた制作会社。
(※3)…『ダウンタウンのごっつええ感じ』終了後に発売された3部作のコントビデオ。

――フジの竹内さんは、西田さんの『DX』の前説がすごいんだと絶賛していました。

ずーっとやってましたからね(笑)。観覧の人は、番組を見ていただきながら、その笑い声も番組構成の一部として表現していくわけですから、僕の後ろにはすごく頑張って汗かいて、ネタとかを選んだり考えてくれたスタッフがいるよっていうのを、スタッフ代表として顔を出して伝えたいというのがあったんです。でも、そんなことを真面目に講演しても緊張感が走るだけやから、おもろいかおもろないか分かんないけど、僕が一生懸命「みんなリラックスして笑ってやー」ということを伝えていることが重要。だから、それでお客さんが「なんか知らんけど頑張って受け止めよう」と思ってくれればいいんですけど、「楽しませてもらおう」って受け身で来られるのを一番拒絶するんです。僕、「帰れ―!」とか言うて、ようキレてましたもん(笑)

――いい意味で客席に緊張感が走りますね。

そうですよね。物事の理解って理屈じゃないんですよ。怒られてただ腹立つんじゃなくて、なんか知らんけど、必死やなって分かってくれれば。そういう底辺のところって、どこにいってもすごく重要なんかなって思います。まぁ、そうは言いながら、前説やってたのはしゃべりが好きということも、ベースとしてはあります。会社入った頃に前説をしてる先輩を見て「へったくそやなー」って、ADの時から思ってましたもん(笑)

――ダウンタウンさんは、その前説について何か言っていましたか?

松本さんには「おまえの笑いは分からん」って、ずっと言われましたね。でも、松本さんに笑いという軸で分かるか分からないかを判断してもらうなんて、ありがたいこっちゃって思ってましたよ(笑)

――そんな名物の前説が無くなって、寂しがってるんじゃないですかね。

浜田さんには「異動します」って言ったら、「全然かめへんけど、前説だけは毎回やれよ」って言われましたね(笑)

――(笑)。あらためてですが、長年見てきたダウンタウンさんの魅力というのは、何でしょうか?

『ダウンタウンDX』1,000回記念記者会見=2016年9月8日

2人ともすごく笑いに対して厳しかったりするんですけど、なんかね、"愛"があるんですよ。それは単に人が好きとか、そういうことじゃないんです。だから、僕がダウンタウンに、正解を出そうと思うより、間違ってもいいからこれを提案しようという行為ができたのは、彼らの愛があったからだと思うんですよね。それはもうテクニックとか、ダウンタウンの持ってるクリエイティビティとか、タレント性を超えてて。

「ダウンタウン」と「愛」って、あんまりくっつかないじゃないですか。けど、まなざしとか、言葉のやり取りであったときも、今、現場から離れてあらためて思うと、すべてのことが、"愛"を持って接したんやなと思うところがあります。ダウンタウンは、単に面白い人やからみんなが付いてくるんじゃないと思うんですよ。作るものとか表現を伝えていくっていうところに、"愛"があるからだと思うんです。

――なかなか画面を通じては分からない面かもしれません。

でも、これから、ダウンタウンが画面に愛を出して売り物にしていくんじゃないですかね(笑)。彼らの中にある愛っていうものは、今までは「そんなもん出すかー」みたいな感じで、わりとフタしてたと思うんですけど、僕は最近よくみんなに言ってることがあって、「老化ってめっちゃええで」って。老いていく中で、いろんなセンサーが弱くなってセンシティブになっていくこともええかってなって思ってるので、ダウンタウンもそのタイミングが来ると思うんですよ。愛をダダ流しするタイミング(笑)

――それは見てみたいです(笑)

やっぱり、笑いをやる人って、泣きたくなるときも「絶対泣いたらあかん、泣いたら笑いになれへん」みたいなことがあると思うんですけど、もういいじゃないですか。どんだけ分の笑いを作ってきました?(笑)。他にお付き合いのある方も言わへんけど、分かってるとこやと思いますよ。でも、いま一緒にやってる人からは、なかなか言いにくいですよね。離れたから言えるのかもしれません。いやぁ、ダウンタウンが涙あふれるようになったら、現場戻ってきたいですねぇ。2人に「分かってましたよ~僕予言してましたよ~」「とうとう恥ずかしげもなく涙流すようになりましたね~」って言ったら、「何言うてんねん!」って言われるだろうだけど(笑)