時々、「恋愛の傾向って、昔と今とでは変わりましたか」と聞かれることがあります。10年ひと昔と言いますので、とりあえず10年くらい前と今を比べてみましょう。具体的な年齢をいうと、今、10~20代の男性の恋愛と30~40代の人の恋愛に違いがあるのか。そんなことをちょっと考えてみました。

もちろん、人を好きになる気持ち、ためらい、戸惑い、ドキドキ感のような本質的なものは変わってはいません。では何が変わったのかというと、連絡手段、告白の仕方、「付き合う」の概念、デートの仕方が挙げられると思います。

例えば昔は男性が女性に直接告白をする。女性が男性に手紙を書いて告白することなどが多かったはずです。しかも、告白するのは男子9割、女子1割ぐらいだったような感覚があります。しかし、最近ではハッキリとした告白(「好き」や「付き合って」)がないまま交際しているカップルが多いこと。また、告白する場合もメールで告白。断る場合もメールで……といった傾向があります。

アプローチも男性からではなく、女性から好きな男子に連絡をするケースがほとんどというあたりにも変化が見受けられます。明確な告白がない場合、付き合いだしてから3カ月~半年ほどすると、女の子のほうが不安な気持ちになり、「私たち、付き合ってるんだよね? 」とか「この間、友だちの○○ちゃんに、『△△くんって彼氏? 』と聞かれたから、『うん』って言っちゃった。彼氏でいいんだよね? 」とかいうメールを送ることが多いものです。すると、男性が「うん」「彼氏、でお願いします」といった返信をして、お互いにホッとするようです。

こんな話をすると、40代後半以降の方は「なんだよ、それ。だらしないな」「ハッキリしろよ」と思ったりするようですが、恋愛の本質は今も昔もそんなに変わってはいません。告白手法や連絡手段が、通信手段や男女の距離感の違いと共に変わってきているのです。これはいつの時代もそういいえます。ですから、「いい」「悪い」でなく、こんな風に変わっていくんだなと受け止めたり、受け入れたりしていきたいものです。

さて、こんな風に目上の方からは「ハッキリしない」と言われてしまいがちな現代の若者(男子)の恋愛への取り組み方ですが、私はそこにおいては、イマドキ男子のほうがすぐれている点がたくさんあると思っています。例えば……

  • かわいいふりをしているだけの女の子(ブリッ子……)を見抜く眼力

  • 男も女も対等と考えている。女の子の優れている面を理解できる素直さ

  • ワリカンが当たり前。お金の面で見栄を張らない

などなどです。もちろん、40代後半以降の男性の中にもかわいこぶっている女性を見抜く眼力がある男性は少数ながらいたかと思います。しかし、実際にはその眼力があまりない男性が多かったと思われますので、かわいく見せるための要領はいいけれど実は意地悪な女子に、いい男がコロッとだまされて、カゲでは性格のよい女の子が何人も泣いていたりしたものです。

ところが、現在、恋愛適齢期にある男子のほとんどが、かわいいふりをしているだけの女子を即座に見抜くこの能力を持ち合わせています。おかげで、女性としては面倒(トラブル)が減る上に気持ちもスッキリできて、非常に助かっている次第です。それから、女の子の優秀さ、よい面を素直に「今は、女の子のほうが強いし、しっかりしてるよな」と認めている男子が多いのも特徴です。認めているので、大事な事柄や重要な仕事を女子に任せ、自分はサポートする側に回ることもできる。女の子が困っていたら、サッと何でもやってしまう。そんなやさしさを持っている男性が増えているような気がします。女性にとっては、本当にありがたい限りです。そういった「よさ」が男子も女子も対等だから、お金の面でもワリカンというカタチにあらわれてくるのだと思います。

とはいえ、その「よさ」も裏を返すと、ハッキリしない、告白しない、女の子のほうから何か言ってくれるのを待つ、アクションに受け身ということにつながっているようでもあります。だからといって、恋愛においてはキチンと「告白しなさい! 」「女の子にハッキリ、自分の気持ちを言ってあげなさい」とは言いません。言ってほしい人もいるかもしれませんが、言わずにユルユルときて、何となく仲良くなっているという関係、私はけっこう好きです。

ただ、自分たちの「よさ」やそれによって生ずるちょっと弱い部分を自覚して女の子に接してあげると、ますますいい男になっていくのではないかと思います。というか、そんな期待をしています。新生活にも少し慣れて、新しい出会いにも落ち着いてくる頃合ですので、自分の「よさ」に気づき、認めて、受け入れて、女の子とよりよい関係を築いていってほしいものです。

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酒井冬雪です。イベント、外出と張り切るより、家デートをする人が多いのも、最近の恋愛傾向です。インドア派な私にはとても納得がいくというか、いい付き合い方だと思ってしまいます。