身近な「デュアルモニタ」環境と「Intuos4」の微妙な関係

グラフィックユーザでもノートPCをメインマシンにしている人は多い。昔はノートタイプは非力という印象が強かったが、現在ではグラフィック性能も処理速度も充分な性能となっているし、外部モニタを繋ぐことで、仕事場では大きなモニタで、出先ではノートタイプでと、使い分けられることも魅力だ。

また、モニタ2台の作業環境は非常に快適だ。サブのモニタにはアプリケーションのパネル類を配置したり、Webブラウザを置いて参照画像を表示させたりと、脇机感覚で使える。大型モニタが安価になっている現在、古いモニタを買い換えるのではなく、大型モニタを買い足すという人もいるだろう。

だが、そういった環境でIntuos4を使うとなると、ちょっと困ったことになる。Intuos4(Mサイズ)の有効領域は223.5×139.7cmで、比率にすると16:10。これはWXGA(1280×800)やWUXGA(1920×1200)、つまり現在一般的なワイドタイプのモニタの比率に合わせてある。ワイドモニタ1台なら盤面全体を使い切るので問題ないのだが、複数モニタとなると、2台分の横幅全体が盤面に対応するため、各モニタに対応する有効領域は非常に狭くなってしまう。また、超横長画面となるため、盤面の上半分だけを使うことになり、下半分が無駄になってしまう。

モニタ2台にIntuos4が1台。さてどう使う?

そんなマルチモニタ環境のために、Intuos4では「マッピング」という設定と、それを使いこなすいくつかの機能が用意されている。今回はそのマッピングの設定を紹介しよう。

マッピングをマスターしよう

マッピングとは、Intuos4の操作エリアと、マウスポインタが動くモニタでの範囲を関連づける機能。初期設定では前述のように、自動的にすべてのモニタを合体させた範囲に対応するよう設定されているのだが、これを自由にカスタマイズすることができるのだ。

マッピングの設定はIntuos4環境設定の「ペン」のところにある。初期状態では表示エリアが「全体」となり、横幅がすべて、Intuos4に納まるように設定される。これだと操作エリアの半分が無駄になっている状態でもったいない

まずは表示エリアの設定。通常は「最大」となっているが、ここで「モニタ1」、「モニタ2」を選ぶと、どちらか一方のみのモニタにIntuos4を対応させることができる。サブモニタはあまり操作しないからマウスやトラックパッドでOK、メインモニタのみIntuos4で操作したいという場合に最適の設定だ。この時、「縦横比を保持」にチェックを入れておかないと、タブレット上の移動の縦横比と画面上の軌跡の縦横比が変わってしまうので注意しよう。これを忘れると、「タブレット上で正円を描いても、画面上では楕円になってしまう」というようなことが起こる。

表示エリアをモニタ単体に切り替えると、盤面全体が指定したモニタのみに対応する。対応していない側のモニタはマウスやトラックパッドで操作するか、後述の「マッピング切り替え」を使う

サブモニタに置いたパネル類も頻繁に操作をするが、Intuos4も広く使いたいという場合は「一部領域」を選ぶ。これで、モニタの任意の範囲を自由に設定することができる

逆にIntuos4の操作エリアを一部領域に限定することもできる。これはIntuos4が大き過ぎると感じた場合に有効な設定だ。以前にも説明した通り、マンガなどペンで描くタッチの場合は手首を動かし、筆で描くタッチの場合は腕全体を動かすことになるので、適正な操作エリアのサイズは異なってくる。描くタッチにあわせて、エリアを小さくしてやると描きやすくなる場合があるので試してみよう。

操作エリアは通常、モニタの比率にあわせて自動調整されるが、好みにあわせて自由に設定することもできる

ペンのところでマッピングを指定するのを不思議に思う人もいるだろう。Intuos4はひとつのIntuos4で複数のペンを使い分けることができる。ポインタが複数出るわけではないがペンを複数用意することで、筆圧固めのペンと柔らかめのペンという風に使い分けられるのだ。マッピングもペンごとに設定されるので、ペンを持ち替えるだけで、画面1、画面2それぞれ操作することもできる。

マッピング切り替えでラクラク操作

複数モニタの両方をIntuos4で操作したい、でも操作エリアも大きくとりたい場合、「マッピング切り替え」機能が威力を発揮する。これはファンクションキーなどに割り付ける機能として用意されてるもので、キーを押すたびに操作範囲を「モニタ1」、「モニタ2」と瞬時に切り替えてくれるのだ(※マッピングを「全体」にしている場合は「全体」→「モニタ1」→「モニタ2」と順に変わる)。

メインモニタで絵を描いている最中に、サブモニタのブラウザを操作するには、「マッピング切り替え」を割り付けたファンクションキーを押せばいい。瞬時にマウスポインタがサブモニタに移動し、Intuos4でサブモニタを操作できるようになる。特にMacでは、メニューバーがメインモニタのみに固定表示されるため、サブモニタで作業している時にマッピングを切り替えることで、別ウィンドウのメニューもペンで容易に操作できるのだ。

設定はファンクションキーなどに「マッピング画面切り替え」を割り付けるだけ(※初期状態で上から4つめのキーに割り当てられている)

ユニークなことに、Intuos4のペンでウィンドウなどをプレス(クリック)している最中に切り替えると、瞬時にそのウィンドウが別モニタに移動するのだ。マッピング切り替えだとふたつのモニタ間でウィンドウやファイルを移動させることができないように思えるが、この「瞬間移動」を使うことで、マウスでのドラッグ以上に快適に移動させることができる。

マッピング切り替えを押すと、そのとき「掴んでいるウィンドウやファイル」を持ったまま、マウスポインタが別のウィンドウに瞬間移動する。これはドラッグで移動させているのと同じ結果になる

プレシジョンモードで体感サイズを拡大

複数モニタで操作エリアが小さくなっている時に使える便利な機能が「プレシジョンモード」だ。これは機能を割り当てたファンクションキー(※デフォルトでは上から3個目)を押している間だけ、一時的にマウスポインタの移動速度を落として、精密描写ができるようにするというモードだ。

ファンクションキーで「プレシジョンモード」を割り当てると、倍率の設定が可能。「精細」側で移動距離が1/2に、超精細側で移動距離が1/10になる

移動速度を落とすということは、同じ長さを描くために、大きくペンを移動させるということになる。細密な描写を行うための機能だが、これはサイズの大きなIntuos4で描くのと同じ感覚を一時的に得られることになる。いわば先に紹介した「操作エリアを縮小して使う」の逆の効果だ。

今回紹介したこれらの機能は、1台のIntuos4を何台分にも使いこなすことができる、いわば「秘技」。ぜひマスターして快適な作業環境を手に入れて欲しい。

llustration:まつむらまきお