五カ国語翻訳機能を搭載した、低価格な翻訳ソフト
【2009年1月号掲載】



スペック

[発売元] クロスランゲージ [価格] 通常版:1万4,800円、優待版:1万3,300円、アカデミック版:1万1,800円 [OS] Mac OS X 10.4.11以上 [メモリ] 256MB以上(512MB以上推奨) [HD] 1.1GB以上 [備考] PowerPCまたはインテルCPU搭載のMac。ブラウザ翻訳は Safari 3.1.3 以降に対応。欧州翻訳機能の利用にはインターネット環境が必要 [掲載号] 「Mac Fan」2009年1月号

OVERVIEW

本製品の特徴は3つある。高価な翻訳ソフトが多い中、比較的安価な製品であること。そして、低価格でありながらも466万語を収録した巨大な辞書を搭載していること。次にMac用翻訳ソフト(国内製品)では唯一となる仏・独・西・葡・伊の五カ国語と日本語の双方向翻訳を可能にした多言語翻訳機能を搭載していることだ。なお、多言語翻訳はサーバ翻訳となるためインターネットに接続されていることが前提となる。

(1) 使い勝手の良いパレット
「翻訳パレット」は翻訳ピカイチの機能を呼び出すためのツール。左端の国旗のアイコンをクリックするとSafariで表示されているページの翻訳を開始する

英和には「エディタEJ」、和英には「エディタJE」と別々のエディタを利用する。またSafariのみの対応となるが、WEBブラウザに表示されたWEBページを直接翻訳することも可能だ。

(2) レイアウトの維持が課題
ブラウザ翻訳は、エディタへのコピー&ペーストを行うことなく海外のWEBサイトを翻訳できる点で便利だが、レイアウトが崩れてしまうケースが多々あったのが残念。図はアップルのWEBサイトを翻訳した結果

エディタを起動するまでもなく、ちょっとだけ意味を知りたいとか、参考程度にわかればよいといった短い文章の翻訳場面では、コンパクトなウインドウで翻訳文を表示する「ワンポイント翻訳」が便利だろう。

FOCUS ON

(3) スピーチを利用できる
「エディタEJ」のメニューの[英文読み上げ]は、エディタへ入力した英文を音声で読み上げる機能だ。これは Mac OS Xの環境設定にあるスピーチを呼び出すもの。音声の変更やスピードの変更も可能

基本的な操作は簡単だ。翻訳させたい原文をエディタ上で入力し、翻訳ボタンをクリックするのみだ。スラスラと翻訳されストレスを感じない。

しかし、本製品に限らず、翻訳ソフトを使いこなすうえで難しいのは外国語の文章作成だろう。いうまでもなく、日本語と英語では文法の構造が違っている。例えば日本語では主語を暗黙に省略することが多いが、そういった文章は、そのままではどうしても不自然な英語に翻訳されがちだ。また「検討します」といったような、日本語独自のニュアンスを含む翻訳もやはり難しい。そこで本製品には別途「リファレンス」が付属し日本語作文のコツが解説されているほどだ。そういった意味では使い方が難しいソフトといえるだろう。

そこで使いこなしたいのが本製品の「三面翻訳エディタ」だ。例えば和英では、入力した日本語、その英訳結果、さらにその結果を日本語訳した結果を並べて表示する。それぞれを見比べることで、英訳が正しいかどうかを確認できるのだ。

(4) 翻訳の比較がしやすいインターフェイス
「三面翻訳エディタ」は本製品の売りの1つだ。原文、翻訳、翻訳結果をさらに翻訳と3段階を踏むことで、文章の正確さを比較して検討できる

また、英日/日英翻訳のみの対応となるが、単語や熟語を自動解析し、原文の上に訳語ルビを付加する「訳振り機能」も面白い機能の1つ。このようにさまざまな方法で文章のチェックを行えるようになっており、納得できる文章が作成するまでいくらでも訂正しながら作業を進めることができるように工夫されている。

(5) 単語や熟語の解析能力は高い
「訳振り」はエディタへ入力された文章を単語や熟語に解析するもの。対応する箇所を四角で囲み、さらにルビを振ってくれるので、特に慣れない英熟語に接した場合に便利だ

AFTER REVIEW

「三面翻訳エディタ」は、翻訳の正誤を判断できる、評価に値するインターフェイスだ。特に欧州語の翻訳では、原文/英語訳/日本語訳が同時に表示され、比較しながら確認できるので安心感が高まる。インターネット翻訳サービスにはない、ソフトならではのアドバンテージだろう。ただし、ブラウザ翻訳は、似たようなWEB翻訳サービスと比べて時間がかかる場合が多い。これはぜひ改善を期待したい。