眠っている昔の映像素材をMacへ簡単に取り込もう
【2009年2月号掲載】



スペック

[発売元] デンノー [価格] オープンプライス [実勢価格] 8,000円前後 [OS] Mac OS 10.3以降 [メモリ] 512MB以上 [インターフェイス] USB2.0、Sビデオ、コンポジットビデオ、オーディオL/R [サイズ/重量] W30×H22×D73mm/67g [備考] Power Mac G4 733MHz以降、1GB以上の空きのあるHDDが必要 [掲載号] 「Mac Fan」2009年2月号

OVERVIEW

今どき珍しい、しかし今だからこそあり難いのかもしれない、アナログビデオキャプチャユニットとビデオ編集ソフトのセット。昔撮った8ミリビデオやVHS、ベータ、レーザディスクといった映像素材をデジタル化するためのツールだ。

デジタルビデオカメラが普及する前までは、このようなツールは市場にたくさん存在していた。ただし、当時はまだMacのマシンパワーが低く、ビデオエンコーダを本体に内蔵していないタイプの製品では、どうしても取り込んだビデオの動きがカクカクしたり、音声と映像が合わなかったり、取り込みに時間がかかったりすることが多かった。

「Video cap Mac(ビデオキャップマック)」も本体にビデオエンコーダは搭載しておらず、Mac側で映像の取り込み処理を行う。ただし、インテル製CPU搭載のMacは高性能であり、640×480ピクセルの解像度でコマ落ちすることなくスムーズにキャプチャできた。また、1GHzのPowerBook G4でも同様に快適に取り込めたのは驚きだった。

(1) 電源要らずのコンパクトなキャプチャユニット
ソフトをインストールしておけば、あとはMacのUSB2.0ポートと、ビデオデッキなどにつなぐだけ。使用中、中央のひょうたん型の部分がやや熱を持つようだ

(2) キャプチャソフトは細かい設定が可能
付属のキャプチャソフト「EzCAP Capture」は、映像を取り込むかスナップショットを撮るかだけのシンプルなソフト。ただし、映像の明るさや色合いの設定などは細かく行える

FOCUS ON

映像を取り込む際は、QuickTimeにインストールされた圧縮形式が使える。通常ならばMPEG-1やMPEG-2と比べてそこまで画質は劣らず、ファイルサイズを小さくできる「DivX」か「H.264」がおすすめだ。

(3) 圧縮はQuickTimeに準拠
映像を取り込む際には、QuickTimeにインストールされた圧縮フォーマットから選べる

MPEG-2で取り込めないのはやや残念だが、非圧縮のDV形式で取り込めばiMovieやiDVDなどで編集が行える。最近はハードディスクドライブの価格が安くなったとはいえ、非圧縮のDV形式で取り込むとファイルサイズは1分で1GB程度のファイル容量となる(DivXならば1分40MB程度)。

付属する編集ソフトは基本的な編集機能を搭載しているものの、どちらかというと古い映像をデジタル化するための機能が充実している。古い映像素材を整理する場合、不要な部分のカット、見えにくい部分の明るさやコントラストの補正が重要なので、そうした機能に特化している点では使いやすい。

(4) 付属のビデオ編集ソフトからもキャプチャ可能
付属する編集ソフト「video impression2」は、シンプルながらキャプチャから出力まで、ビデオ編集のひととおりが行える。キャプチャ時の設定や、トリミングや明るさ補正などが簡単に行える

高度な映像編集は行えないが、とりあえずアナログ映像をデジタル化したいだけなら必要十分。iPodへの書き出し機能もある。眠っている映像素材と、場所塞ぎな古いビデオデッキをどうしても捨てられない人は即買って、どんどんキャプチャしよう。

(5) 書き出せるフォーマットは7つ
編集した映像は、iPod用、アップルTV用、iPhone用、QuickTimeムービー、AVIファイル、DVストリーム、iPhone(セルラー)用に書き出せる

AFTER REVIEW

ニーズは以前よりも少なくなったとはいえ、まだまだアナログからデジタル化したい素材をもっている人は多いだろう。ウィンドウズ用にも似たような製品が出ていて、実際、筆者も8ミリビデオとVHSは大量に抱えている。また、地上デジタル放送などそのままでは録画しにくい映像も、本製品を介してアナログ画質でならば録画できるので、1つ持っていて損はないと思う。昔のイメージがあるので期待していなかったのだけど、思った以上にきれいな画像でキャプチャできた。