「ホストクラブ」と「キャバクラ」、比較対象としては微妙!?

マイナビの既婚者向けのアンケートでおもしろい結果がでました。

夫は妻がホストクラブにいくのを許せない人が76.2%。しかし妻が夫のキャバクラ通いを許すと答えた割合は42.1%も。

男性は心が狭い? それとも女性が寛大にすぎるのでしょうか?

おもしろい調査です。しかし、ホストクラブとキャバクラ、比較対象としてはちょっと微妙なところでではないでしょうか?

なんというか、両者はどうも本質にあるものが違うような気がします。

キャバクラは疑似恋愛で、男性たちを「ひょっとしら本当に店外デートしたり、リアルにつきあったり、できるかも…」という妄想のもとにお金を使ってもらいます。

ところがホストクラブは、疑似恋愛というよりも「応援」に近い感じ。

「俺がナンバーワンになるために、応援してくれ」という主旨なのです。中村うさぎさんがホストクラブ通いを赤裸々に綴った名作があるのですが、それを読むと、ホストクラブの実態がわかります。

うさぎさんの本にホストのバースデーイベントや月末の売り上げ合戦の様子がよく出てきます。自分のお気に入りのホストの成績を上げるため、女性たちが競って何十万円もするシャンパンやブランデーをオーダーし、湯水のように消費されていく。うさぎさんのような「太客」(売り上げに貢献してくれる高額消費をする客)ともなれば、一回の支払いが軽自動車一台分を超えることもあるわけです。

ちなみに日本は世界で一番シャンパンを消費する国だとか。毎夜ホストクラブでポンポン抜かれるドンペリなどの数を考えれば当たり前かもしれませんね。

ホストクラブにあるのは"男たちの競争"、はまれば高額に

「好きなら会いに来て」というキャバ嬢の疑似恋愛に比べ、「僕が好きならお金をつかって、男にしてくれ」というのがホストクラブ。そこにあるのは、恋愛ではなく男たちの競争なのです。

女性のほうが誰かを応援したい、必要とされたいという願望を抱えているので、この手法が通用するのでしょう。

疑似恋愛よりも、はまってしまったら高額を使いそうなホストクラブのほうが夫婦にとっては、より危険ではないでしょうか?

夫たちが妻のホストクラブ通いに過剰反応するのは、もっともなことだと思います。恋愛の成就というゴールよりも、ホストの成績をあげるというゴールのほうが、金額が上がりやすいので危険です。高額であることに加え、さらに本来なら自分を応援し、男にしてくれるはずの妻が、違う男に忠誠を誓ってしまうわけです。

そして結婚してからもキャバクラ通いをしている夫は182名中の22%。ホストクラブにいったことがある妻は192名中2名しかいませんでした。

しかし、この調査を見て夫たちが安心するのは、ちょっと待った!

「バーチャルホストクラブ=男性アイドル」!?

実はあなたの奥さんもはまっているかもしれないバーチャルホストクラブがあります。それが男性アイドルなのです。

たかがアイドルと笑うなかれ。男性アイドル市場は実は女性アイドル市場よりも強いのです。なぜなら男は自分の稼いだお金しか使えませんが、女性たちは自分の稼いだお金もつかうし、夫の稼いだお金も使えるから。

夫は知らなくても、アイドルはすでに家族のように家の中に入り込んでいます。夫の誕生日は祝わなくても、アイドルの誕生日はお祝いされています。

アメリカ人男性の友人がこう言っていました。

「それは浮気より悪い」と。

え、浮気にくらべたら、可愛いもんじゃないか?

そう思いますか?

いえいえ、浮気は隠れてやるけれど、アイドルの応援なら堂々とできるからです。違う男性に関心がいってしまっている点は、全く同じです。

アメリカ人の友人は「え、考えられないよ。僕が夫なら許せない。だって、それは奥さんがもうほかの男性を見ているということでしょう? もうあんたには関心がないのよと言っているのと一緒だよ」と言っていましたっけ。

妻がアイドルの応援を始めたら、夫はホストクラブ通いより重大な事態として、妻の心を繋ぎ止めるべくがんばったほうがいいのでしょう。

夫の浮気に世界で一番寛大なのは、日本女性ですが、夫婦のリスク管理に脇が甘いのも日本人男性かもしれませんね。

著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)

少子化ジャーナリスト、作家。一般社団法人「オサン・デ・ファム」アンバサダーとして、「女の子を幸せにする心とカラダの授業」プロデュース、「全国結婚支援セミナー」主宰。大妻女子大学就業力GP「ライフコース講座」講師および企画。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。近著は、国立成育医療センター母性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和先生との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。