本当のことを知りたいのである。恋愛のことももちろんだけど、女性のことをもっと知りたいのだ――。この連載では、松居大悟が、恋愛猛者の女性たちと熱き激論をかわしていきます。今回は、シンガーソングライターの大森靖子さんとの対談を振り返る反省コラムをお届けします(対談1回目2回目3回目)。

最近はだいぶチャラついてきた

最近はだいぶチャラついてきたと思うんですよね。内面的な話ですよ。この2、3カ月で考えていることが変わりまくっているのですが(この対談が原因だよコノヤロウ)、「モテそうですね?」って質問に対して、バラエティ番組に出たイケメンのように「モテないですよ!」なんて言い返してとくに盛り上がらずに自分の体裁だけ守るより、「まぁモテますねえ」と事実とかは抜きにしてとりあえず言ってみる方が、話が膨らむんですよね。

言うのには抵抗がすごくありますが、そういう会話のやりとりをすることによって、今までと違う会話を生むことから始めています。そうなると、今まで言わないのは、軽薄な言葉だったりするので、そういうのを無理して言っていると、自分の精神的体重が軽くなっている気がします。

みんなエロいくせにカッコつけてんじゃないよ! って思ったのですが、やっぱみんなプライベートはちゃんとエロいんですよね。そこは人に見せない部分なだけで、あの偉い発明家も凶悪な犯罪者もみんな昔からエロいんだってね(そうだよね吉井さん!)。

定型文のような会話からは何も生まれない……

この間母親が言っていたんですけど、「何食べたい?」って聞いて「なんでもいい」って答える人間は3流だと。こちらの問いかけに対して何も膨らまないんだと。相手に気を使っているだけで会話としては0点だと!

今ドキッとした方は熟読してくださいね。だからといって、具体的に、例えば「何食べたい?」「天ぷら」とか断定して答える。この場合、いいんですけど、母から言わせれば2流らしいです。1流の答えは「何食べたい?」「うーん、天ぷらとか?」っていう答え方らしいです(天ぷらっていうことではなく、ここにヒントをちりばめるということです)。

「とか?」を加えることで、天ぷらにこだわることなく、そこをヒントに揚げ物なのか、海鮮系なのか……って自分の食べたいものもすり合わせてお互いのちょうどいい所に着地することができる。これが会話であり、すなわち性行為だと!(これは別に母は言ってないです)。

定型文のような会話からは何も生まれないですよね。何も生まれないですよね、って言葉がそもそも定型文なのかな、そうだとしたら、もうなんて言えばいいかわかりませんね。

大森靖子さんに聞いた「自撮りの理由」

「自撮りの美学……」(イラスト: 松居大悟)

会話といえば、対談の反省ですよね(むりやりな流れ)。大森さんはやたらエロかったですね。撮影やライブの時はやはりスイッチはいってるし、緊張感もあるんですけど、この間の対談の時はずっと眠そうにいっぱい喋っていました。あの妙なエロさは不思議ですね。画面を通しても、変な意味じゃなくて、美しい時と美しくない時の差が激しすぎてウケます。

対談後になんで自撮りするかって聞いたら、ほかの人が撮ったブスな写真が画像検索でヒットするのが嫌だから、自分で撮ったいい写真が画像検索で上に来るために、って言っててすごく納得しました。男はごく一部しか自撮りしないですけど、女子が自撮りする理由って、自分を一番かわいく撮れるのは自分だってわかってるからそうするのかもしれませんね。

「自分かわいいって思って自撮りしてるんだろ?」って思ってましたが、逆なんですね。『自分かわいいって思われたいから』自撮りしてるんですよね! 本当は自分がかわいいとは思ってないかもしれないのに! だからいろいろさぐって神アングル見つけて! そう思うとアイドルのブログとか泣けるじゃないですか……。努力しかないじゃないか……。

でも映像では一概には言えませんよね。自分で撮っていると、やっぱヒロインの人が好きになって、この人をもっと魅力的に撮りたい! っていう感情には自然となるし、それによってかわいく撮れます。それは異性に関して言えることで、そうなると女性監督の視点で女性を撮ると、どう色っぽく撮るのでしょうか?自分と置き換えて、自分ならこうすれば色っぽく撮れるとわかって撮る? それとも仮想恋愛? しかも、それがエロだとなおさらですよね。色っぽさがひたすら求められるAV業界の女性監督の方から話を聞いてみたいです。ちょっと次のゲストへの流れ無理やりすぎますかね? でも意外とスムーズにこう、スッと入ってきてませんか?

次回のゲストはペヤンヌマキさん!

というわけで次回から、アダルト界のミーアキャット! ペヤンヌマキさんです。アダルトビデオの監督だけでなく、演劇やコラムなどもエグイ女性の目線で書かれていて、すごく面白いです。

ペヤンヌさんは演劇もやっていて、僕は初期の頃から好きで公演を見ていたので楽しみです。エロい話をいっぱいしようと思います。実家で読んでいる人は、親の視線に気をつけながら読んでくださいね。次回からお楽しみに!

(c)Nobuhiko Hikiji

<著者プロフィール>
松居大悟
1985年11月2日生、福岡県出身。劇作家、演出家、俳優。劇団"ゴジゲン"主宰、他プロデュース公演に東京グローブ座プロデュース「トラストいかねぇ」(作・演出)、青山円劇カウンシル#5「リリオム」(脚色・演出)がある。演劇のみならず映像作品も手がけ、主な作品としてNHK「ふたつのスピカ」脚本、映画監督作品「アフロ田中」、「男子高校生の日常」、「自分の事ばかりで情けなくなるよ」。近年はクリープハイプ、大森靖子らアーティストのミュージックビデオも手がける。次回監督作は映画「スイートプールサイド」2014年公開予定。

タイトルイラスト: 石原まこちん