まだまだ続く風邪のシーズン。なにより予防が大切である。うがい、手洗いが効果的なのはご存知の通り。十分な睡眠やバランスのとれた食生活も重要だと聞いたことがある。「うがい」「手洗い」などは予防の定番だが、風邪の予防グッズの中には意外なものもある。

「こんなもので風邪の予防ができるんだ!」などと、驚かしてくれる商品。それは時計である。生活環境お知らせクロック「IDL-200NJ」。メーカーはカシオ計算機だ。この時計に搭載されるのは、ウイルスを殺傷するといったような機能ではない。温度、湿度が一定の条件になると、「風邪引き注意」のマークを表示してくれるのである。風邪引き注意マークが出たら、加湿器をセットするなど対策が可能なのである。

生活環境お知らせクロック「IDL-200NJ」

しかもこの時計、表示するのは風邪引き注意だけではない。梅雨の季節は湿度が上がる。そのときは「カビ・ダニ注意」。真夏の暑いときは「熱中症注意」が表示される。女性の中には、多少暑くても冷房は入れないという人は少なくない。私もそうだ。そのほうが、電気代の節約にもなるし、環境への配慮にもなる。だからといって、なにごとも度が過ぎるのはよろしくない。自分が今、適切な環境にいるのか、それともエアコンが必要なのか。この時計が近くにあるだけで、なんだか安心できるのである。

生活環境をマークでお知らせ

生活環境を知らせることができるのは、この時計には温度計と湿度計が付いているからだ。4つのアイコンが室内の生活環境を知らせてくれる。この便利な機能はカシオが日本気象協会と共同開発したものだという。風邪引き注意は気温が約5℃の環境下、湿度が約40%以下になると点灯。さらに25%よりも湿度が下がると点滅する。チカチカ、風邪引き注意のお知らせマークが点いたり消えたりし始めたら、加湿器のスイッチを入れたほうがいい。

生活環境の状態を教えてくれる4種類のマーク

カビ・ダニ注意は室温約25℃、湿度約65%で点灯、湿度が75%になると点滅。熱中症注意は気温約32℃、湿度約50%で点灯。さらに湿度が約80%になると点滅する。今、この数字を書いているだけで不快指数が上昇してしまう。湿度80%なんて、想像しただけでも辛そうである。

快適マーク点灯中。温湿度の変化は矢印で知らせる

この生活環境お知らせクロックは前日の同時刻帯の計測データや温湿度差などを表示してくれて、「今日は昨日よりもずっと寒いね」というのが、数値で表されるのである。それだけではない。現在と30分前の温湿度を15分間隔で比べて、温度は0.5℃以上、湿度は2%以上の変化があると、温湿度の上下を矢印マークで示してくれるのだ。娘は部屋を出るとき、ドアを開けっ放しにする。室温が下がって寒いのである。そんなとき、娘を叱るより、
「あーっ、矢印が下がっている」
と言って、表示を見せたほうが穏やかに私の言いたいことが伝わるものである。ある意味、平和な親子関係に貢献してくれる時計だといえる。

プチ快感な時計

ところで、家電に求めるものは何かと言われれば、「機能」はもちろんのこと。でも、使っていて気持ちいい、なんだかちょっとだけうれしくなる瞬間がある家電って、より親近感が湧く。機能・性能重視の方からすると、「そんなことで評価が変わるなんてありえない」と思われるかもしれない。だが、機能以外のものに対する価値を重視するぐうたら主婦にとって、「プチ快感」は家電に重要な要素なんである。たとえば、デザインが良くって、リビングに置くと部屋がよりおしゃれに見える。これなどは、家電の「プチ快感」の最たるものである。

裏面。ボタンを押して、一時間毎に時報を鳴らすことも可能

夜間、常時点灯させることもできる

この時計の「プチ快感」は表示にある。温度、湿度が快適な状態にあるときは「快適」マークが表示される。にっこりな顔が表示されると、安心するのである。しかし、湿度が下がったりすると、快適マークが消えてしまう。そんなとき、「湿度が下がってしまったのか」と寂しい気持ちになるのだけれど、それを知ることができたことに対してはちょっとだけ、得した気分になる。ここに「プチ快感」があるのだ。まして、「風邪引き注意」が出たときは、オロオロした気分になるのだけれど、そういう危険な状態だっていうことを教えてもらったことが微妙に気分がいいのである。私はこの生活環境お知らせクロックを使ってみて、時計とのコミュニケーションにプチ快感があった。

そのほかにも、便利な機能もいくつかある。「時報」や夜中でも時間が確認しやすい「常時点灯ライト」など、使い勝手も工夫されている。価格は11,550円。マイコミジャーナル価格情報(2009年2月13日現在)では、6,400~11,550円。かなりユニークな商品である。風邪だけでなく、カビ・ダニや熱中症に使えるところがうれしい。自宅用に一つあれば楽しく、しかも気持ちよく使える。あるいは、いつまでも健康でいて欲しいという願いを込めて、両親に贈るのもいい。贈ったほうの思いはきっと親に通じるのではないだろうか。

イラスト:YO-CO