「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは、「Web3(暗号資産、NFT、ブロックチェーン技術、メタバース)の基礎知識と投資意義」。連載内シリーズとして、何度かに分けてご紹介します。

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暗号資産への投資はまだ遅くないのか

よくいただく質問に、「今さらビットコインを買ってもしょうがないのでは?」という内容があります。個人的には、まだまだ遅くないと感じています。数多ある暗号資産(アルトコイン)に関しては懐疑的な部分もありますが、特にビットコインに関しては過小評価されていると考えているからです。

まだまだ遅くないと感じる理由は、

・今の暗号資産ホルダーは20~30代の若年層が中心で、いわゆる既存の富裕層(50~60代以上)のホルダーは少ない
・株式が不動産など、他の投資未経験者が多い
・海外ではETF、先物など金融商品化が進んでおり、やがて日本でも実現する可能性がある
・総合課税から分離課税になる可能性がある

などがあります。

そもそも、周りに日常生活でビットコインを使っている人はいるでしょうか?ほとんどの人は使っていないでしょう。私も使っていません。「使う価値がないからだ」と批判的に捉える人もいますが、私は「それだけ余地がある」とポジティブに捉えています。

改めて知りたい「暗号資産の機能と使い道」

他に多い質問に、「暗号資産は、なにに使えるのか?」という内容があります。答えは、「お金と一緒」です。

ビットコインなどの暗号資産は、法定通貨と同様に「価値尺度」「交換・流通手段」「価値貯蔵手段」という通貨・貨幣の機能を有しています。決済(支払い)に使えますし、海外送金代わりや振込にも使え、利殖、価値の保存にも使えます。

法定通貨と同様の機能を有しているわけですから、「1BTC=●●ドル」「1BTC=●●円」などのように、法定通貨で裏付ける必要も本来はありません。

暗号資産決済ができる店舗はまだ多くありませんが、実際にビットコインなどで商品を買ったりサービスを買ったりすることもできます。オンラインショップや実店舗、ビザカードにチャージして使う…など、暗号資産で決済できるシーンは広がっています。

ビットコイン決済できる店舗検索は、「コインマップ」というサイトですることもできます。実店舗はアメリカとヨーロッパに多く、レストラン、ピザ屋、スターバックスなどの大手チェーン、ホテルなどさまざまです。個人店から大型チェーン店まであります。もともとは個人店から決済端末や決済アプリの導入が始まりました。

アメリカではアマゾンや楽天、マイクロソフト、エクスペディアなどのオンラインでもビットコイン決済ができ、日本ではビックカメラやガリバーなどでも可能です。

また、ビザプリペイドカード(200以上の国や地域に約4000万店舗以上が加盟)、アマゾンギフト券、ナナコギフト、エディギフトなどの購入やチャージをビットコインで行うこともできます。直接ビットコインで決済できるわけではありませんが、ギフトカードの購入やチャージで使えるということは、ほとんど世界中で決済手段として利用できると言っても良いでしょう。

暗号資産の入手方法

では、暗号資産に興味を持ち、少額でも持ってみたいと思ったら、どこで入手するのが良いのでしょうか。暗号資産の入手方法には、

・暗号資産取引所
・暗号資産販売所
・暗号資産ATM
・直接送金
・マイニング

などの方法があります。

取引所や販売所で購入する方法は、もっともメジャーな入手方法です。取引所で購入する方が、一般的には販売所で購入するよりもコストは抑えられます。販売所はスプレッド(売価と買価の差)が広いため、「手数料無料」と謳っていてもスプレッドで実質的には手数料を取っています。余程の巨額を購入しない限り、大量購入をして自分で価格を上げてしまう(スライドさせてしまう)こともありませんので、取引所での購入をオススメします。

ビットコインATMなどの暗号資産ATMは世界各国で増えていますが、日本にはまだまだ少ないのが現状です。わざわざATMまで足を運ぶのも面倒ですから、オンラインで取引できる取引所で十分でしょう。

直接送金という方法もありますが、余程信頼できる相手でない限りリスクが高いので注意してください。また、「ビットコインと現金を交換すること」は、金融庁・財務省に暗号資産交換業者として登録している企業しか行うことはできません。意図せず金商法などの法律に違反してしまうことになりますので、SNSなどで営業・勧誘された際は注意してください。

マイニングマシンを購入し、マイニングの報酬として暗号資産を受け取るという入手方法もあります。マシンの性能や耐久性、マシンを置くために土地や建物を借りる場合はその賃貸料、電気代、マイニング対象とする暗号資産銘柄(銘柄の価格とマイニングのディフィカルティ)によっては収支が合わず赤字になるケースもありますので、安易にマイニングマシンを買うのではなく、事業として成り立つかをしっかりと検討した方が良いでしょう。

また、マイニングによって得た暗号資産は課税対象になりますので、税理士の先生に相談のうえ納税することをオススメします。

暗号資産取引所は信頼できるのか

暗号資産取引所は、シンプルに言えばマッチングサイトのことです。現時点では、証券取引所ほど社会的信用は高くはないでしょう。暗号資産取引所(暗号資産交換業者)は、日本では金融庁管轄となっていますが、海外では国によっては無許可でも運営できてしまいます。

「海外の取引所で上場した暗号資産を、今なら特別に直接購入できます」などと言われると安易に投資してしまう人がまだまだ多いのが実状ですが、手数料を支払えばどんな暗号資産でも上場(取り扱いを開始させてくれる)させてしまう海外取引所もありますので、注意が必要です。

では、暗号資産取引所はどのように選べば良いのでしょうか?

・取扱銘柄数
・取引量
・セキュリティ
・手数料

の4つの観点で選ぶと良いでしょう。

取扱銘柄数は、日本の取引所は少なめですが、年々増えています。どうしても投資したい暗号資産銘柄があり、その銘柄がひとつの取引所でしか扱われていないのであれば、その取引所を選ぶしかありません。

取引量は、大量に売買する場合は取引量が多いとマッチングしやすいため、重要になってきます。アクティブユーザー数によって、マッチング度合いは変わります。

セキュリティレベルはもっとも重要です。どんなに銘柄数や取引量が多くても、ハッキングされて資産を根こそぎ持って行かれては意味がありません。

また、頻繁に売買するのであれば、手数料も考慮する必要があります。

日本であれば、大手の暗号資産取引所を選ぶのが安心でしょう。もしもハッキングされても保証される可能性が高いからです。ただし、預金保護(ペイオフ)のような制度はまだありませんので、あくまでも「可能性が高い」というだけです。

日本の暗号資産取引所・販売所には、例えばビットバンク、ビットフライヤー、 DMMビットコイン、GMOコイン、SBI VCトレード、楽天ウォレット、LINE BITMAXなどがあります。

特にビットバンクは、三井住友トラスト・ホールディングスとともにデジタルアセットに特化した信託会社の設立に向けて準備を進めています(日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社 ※略称 “JADAT”(Japan Digital Asset Trust Preparatory Company, inc.)。これまで、暗号資産の保管・管理(カストディ)は各暗号資産交換業者に委ねられていましたが、JADATが業界全体のステータスを引き上げるかもしれません。

カストディ事業者が整備されれば、機関投資家や運用会社は暗号資産を組み込んだ運用商品を組成したり、投資したりといった動きがしやすくなるでしょう。暗号資産投資信託大手となったグレースケールの運用資産残高は、一時ゴールドの最大手ETF「SPDRゴールド・シェア」の額を超えるなど、他の投資商品と比較しても遜色ない規模になっています。個人的には、JADATの可能性を強く感じています。