――役作りでされていることはあるのでしょうか。
かなり自分に近い役柄なんで、「自分ならこうするかな」というのを考えて、一回やり過ぎと思われるくらいまでやってみます。「いけませんなあ」ってオタク言葉を使ってみたら、それが監督に「ちょっとキャラと違うかもしんないけどなんか面白いね」と採用される時もあれば、「今は違うんじゃない?」と言われることもありますね。
――アドリブも結構入れたりされるのですか?
最初に皆さんから「アドリブめっちゃやっていいよ!」ってはやし立てられたので、めっちゃやってみたら全部カットされました(笑)。恥ずかしかったですね。アドリブって全部カットされるんだと思って。
――でも、それは決して意味のないことではなく、現場のいい雰囲気作りにつながっているのではないでしょうか。
そうだと思いたいです。
ソニンは「目覚めさせてくれた恩人」
――ドラマの活動が、本業の芸人さんの活動にプラスに作用していることはありますか?
僕らはコントをやっているので、セリフの覚え方から、声の出し方とか、役へのストイックさとかを見て学ばせてもらって、演技力みたいなものは格段に上がった気がしますね。他のドラマにも出させてもらって分かったんですが、『占拠』シリーズのセリフは相当難しいんです。量も多いし、「何時何分にマル対が国道何号線を通過」とか、情報をワーッと言わなきゃいけないんですけど、どうやったら覚えられるんだろうと思ってたら、ソニンさんが台本で自分のセリフを抜いた状態で音声を吹き込んで、それを聴きながら自分のターンでしゃべるというのをやったらすぐ覚えられると教えてくれて。実際にやってみたら本当にすぐ覚えられるようになりました。
――ネタ作りにも、いい影響はありますか?
ありますね。僕は最初『太鼓の達人』みたいな感じで、来たタイミングでセリフを言えばいいと思ってたんですけど、ソニンさんに「なんであなたはこのセリフを言ってるの?」と言われたんです。「台本に書いてありますからね」って答えたら、「あんたねぇ、もっと考えなきゃ!」と言われまして。それで考えてやってみると、コントのキャラクターであっても、「ここでこんなことは言わないよな」というのが分かってきて、台本を変えることがめっちゃ増えました。そうするとウケもちゃんと増えて、賞レースの結果も上がってきたんです。
――ソニンさんすごいですね。ちょっと舐めてかかった自分の背中をパチンと叩かれて、背筋が伸びたみたいな感じでしょうか。
そうですね。「ドラマ初心者だから、しょうがないっしょ!」みたいな自分を、目覚めさせてくれたソニンさんは恩人です。僕が食事制限してて、ちょっと空腹で飢えていたら、あんまり太らないパンみたいなのを買ってくれたりとかもしてくれて。
――厳しさと優しさを併せ持っているんですね。
このパンの話は絶対書いてくださいね。前のインタビューで「ソニンさんの指導がピリピリしてる」って話したら、その記事を見たソニンさんに「(私のこと)言ったでしょ!!」って怒られたんで(笑)
――承知しました(笑)。芸人として、そして俳優業の今後の活動は、どのようにイメージされていますか?
俳優をこんなにやるとは思わなかったんですけど、やっててどんどん深いなあと思って。演技もいろんな人が教えてくれるので、本当に楽しいんですよ。だから、これからも俳優業はやっていきたいですし、もちろんちゃんとネタでも笑ってもらいたいですし、テレビでも頑張りたいし、全部マルチにやりたいですね。
――改めて、この『占拠』シリーズは、ぐんぴぃさんにとってどんな存在でしょうか。
恩人ですよね。だから、面白い作品になるように頑張りたいと思います。
●ぐんぴぃ
1990年生まれ、福岡県出身。青山学院大学在学中、落語研究会で出会った土岡哲朗とコンビを結成(現在の「春とヒコーキ」)。19年、「性交渉経験率」について『ABEMA NEWS』の街頭インタビューを受け、「バキバキ童貞ですね」と回答したのをきっかけに「バキ童」の呼び名が定着。YouTubeチャンネル『バキ童チャンネル』を立ち上げ、登録者数は192万人にのぼる(※7月18日現在)。春とヒコーキとしては、『キングオブコント2024』で準決勝進出。ドラマは『大病院占拠』『新空港占拠』『放送局占拠』のほか、『婚活1000本ノック』『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』『ノロイヲアゲル』、映画は『怪獣ヤロウ!』『お嬢と番犬くん』『松島トモ子 サメ遊戯』に出演する。