今週は開発者向けの定例カンファレンスとなるBuild 2024を控えていることから、Web上の動きは少ない。だが、もう一つの理由はBuild 2024前日の20日(現地時間)に発表会を控えているからだ。

Microsoftによるライブストリーミングは予定されていないが、おおかたの予想どおりSnapdragon Xの新モデルを搭載したSurface Pro X(仮)や、既存モデルを強化した消費者向けのSurface Pro 10、Surface Laptop 6の登場が見込まれている。

だが、筆者が注目しているのは「AI Explorer」である。バックグラウンドで動作し、使用したアプリやメール、閲覧したWebページなどの情報を収集して機械学習にかけ、生成AIを通じてユーザー支援を行うアプリだという。

機能だけ見ると現在の検索インデックスや、使用頻度に応じてアプリの起動を高速化するSuperfetch(現SysMain)に類似している。いずれの機能も有用だが、「使うときだけ起動する」ノートPCのような使い方では、情報収集や最適化も難しい。筆者がノートPCをメインの環境に置き換えられない理由の一つだ。

ただ、利用するにはNPU(Neural network Processing Unit)対応のCPUが必要になり、既存環境で使用できるか否かは不明。Snapdragon X搭載のSurface Pro Xのみ提供される機能ともいわれている。

話は変わるが、昨今のWeb検索は低品質なWebサイトが上位に並び、目的の情報にたどり着くのが難しくなった。その点Microsoft CopilotによるWeb検索は内容の是非はありつつも、ソースを提示しながら情報を要約して提示する機能は実に便利だ。

万人に 必要な機能になるか断言できないものの、AI Explorerによる自然言語検索はファイルやアプリなど内容を区別せずに検索することで、有用性が高まる可能性は大きい。WindowsのUI体験を大幅に変えるはずだ。

  • Windows 11のMicrosoft Copilot

筆者は確認していないが、Canary版Windows 11 Insider Previewには、「設定」の「Windows Update/更新の履歴」にAIコンポーネント専用のカテゴリーが加わり、「システム」にも同様の設定項目が加わっているという。

Windows 11側の準備は着々と進んでいるが、問題は我々だ。Windows 11 バージョン24H2の特徴的な機能はAI PC専用となり、Surface Pro 10/Surface Laptop 6が対応するのか不明である。少なくともAI ExplorerはSurface Pro X(仮)専用の機能になりそうだ。発表会の結果を踏まえてSurfaceシリーズやLenovo、HP、Dellなど各PCメーカーのAI PCに乗り換えなければならないだろう。

ただ、筆者の持論としては日本の経済環境や為替相場を踏まえて、「今は買い換え時ではない」と考えている。五十路(いそじ)に入って物欲が大きく低下していることもあるが、日本マイクロソフトが2023年9月に発表した価格改定(値上げ)は今回も適用されるだろう。

円高時代に20万円程度で購入していたSurface Proも30万円弱となり、購入も二の足を踏んでしまう。読者諸氏は今のPC環境を踏まえながら、20日の発表会情報をチェックしてほしい。本レポートでも内容をご報告する予定だ。