旬とは?

その野菜の味が最もよい食べごろの時期を旬といい、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、手頃な価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。

旬には三つの段階があります。その野菜が出始める「走り」、収穫・出荷のピークを迎える「盛り」、時期が終わりにさしかかる「名残」です。「走り」の野菜はみずみずしくフレッシュ。可能であれば生のまま、あるいは水分を生かした調理方法が適しています。「盛り」はベストタイミング。栄養価が高く価格も安くなるので、いろいろな調理法でたっぷり楽しんで。「名残」は水分量が少なくなり味が凝縮されるので加熱調理がおすすめです。

4月が「走り」の野菜

“芽吹き野菜“のアスパラガス、旬を先取りしたサヤインゲン、新ショウガなどが出回ります。走りの野菜はシンプルな調理でみずみずしい春を味わいましょう。

アスパラガス(グリーン・ホワイト)

アスパラガスには春芽と夏芽があります。4月ごろから5、6月まで収穫される春芽は柔らかく甘みがあります。グリーンアスパラガスは、カロテン、ビタミンC、アミノ酸の一種で疲労回復に効果があるとされるアスパラギン酸が多く含まれています。ホワイトアスパラガスは土の中で遮光栽培したもので、柔らかな食感と香りで春の訪れを感じさせる野菜です。いずれも、ゆでる、蒸す、焼くなどシンプルな調理で風味を楽しんで。保存は新聞紙などで包み冷蔵庫に立てて入れ2~3日。

調理例:ホイル焼き(グリーン)、焼きアスパラの温泉卵のせ(グリーン)、ゆでアスパラのオランデーズソース(ホワイト)

サヤインゲン

インゲンマメの若いさやを食用とする独特の風味と食感のある野菜です。収穫期は主に夏ですが、沖縄など温暖な産地から一足早く出回ります。一年に3度収穫できることから「サンドマメ」とも呼ばれます。カロテン、ビタミンCのほか、アスパラギン酸やリジンが含まれ、疲労回復の効果も期待できます。走りは柔らかいので、調理は火を通しすぎず、長いまま使うのもいいでしょう。保存はラップで包んで冷蔵庫の野菜室で3~4日。

調理例:ごまあえ、インゲンとゆで卵のサラダ、インゲンとひき肉の甘辛炒め

新ショウガ

通常は初夏に出回るショウガですが、早い産地では春に出荷が始まります。みずみずしく、茎のつけ根が鮮やかな紅色をしているのが特徴で、これで甘酢漬け(ガリ)を作るとピンクに色づきます。辛み成分のジンゲロンとショウガオールは、殺菌作用、代謝促進、抗酸化作用などの効果が期待できます。

調理例:炊き込みご飯、甘酢漬け、ジンジャーシロップ、新ショウガとキュウリのサラダ

4月が「盛り」の野菜

春の代名詞ともいえる生タケノコは旬の真っ盛り。やわらかい春キャベツ、香味野菜のシャンツァイ(パクチー)や沖縄の島ラッキョウなど、バラエティ豊かな盛りの野菜はいろいろな食べ方を試してみてはいかがでしょう。

タケノコ(筍)

竹の地下茎から出る若い芽を食用とします。掘りたては生食できますが、時間がたつとえぐみが生じるため、通常はヌカを入れたお湯で下ゆでしてアク抜きして使います。先端部分の姫川は酢の物やあえ物に、穂先は炊き込みご飯に、中央部分は煮物や炒め物などに向いています。野菜のなかではタンパク質が多く、カリウムも含んでいます。保存は購入後すぐに下ゆでして水に浸して冷蔵庫で1週間。

調理例:タケノコのグリル、オリーブオイル漬け、タケノコとアスパラガスのペペロンチーノ

春キャベツ

通年で出回っているキャベツにも季節ごとに特徴があります。春キャベツは巻きが緩く葉が柔らかいので生食に向いています。3月~5月がおいしい時期です。キャベツから発見されたビタミンUは、キャベジンとも呼ばれている水溶性ビタミン様物質で、胃炎や潰瘍に効果があるとされています。ビタミンC、アミノ酸、カルシウムのほか、緑の外葉にはカロテンが含まれています。保存は丸のままの場合はポリ袋に入れ、カットしたものはラップで包んで冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:コールスローサラダ、豚バラ蒸し、コンビーフ炒め

トウミョウ(豆苗)

エンドウの新芽とつる先の若芽を食用とする中国野菜。専用品種を軟化栽培したもので水耕栽培したものが通年出回っていますが、露地ものは3月~5月が旬。水耕もおいしい時期。食感は葉物野菜に似ていますが、エンドウの風味があります。カロテン、ビタミンC・E・B群、ミネラルを豊富に含んでいます。栄養やシャキシャキとした食感が損なわれないように、調理は火を通しすぎないことがポイント。保存はポリ袋に入れ冷蔵庫に立てて1~2日。水耕栽培ものは使った後に根を水に浸しておくと再収穫できます。

調理例:ナムル、ニンニク炒め、トウミョウと卵の中華スープ

シャンツァイ(香菜)

パクチー、コリアンダーとも呼ばれるセリ科の野菜。生葉には独特の強い香りがあり、好き嫌いが分かれますが、タイ、ベトナム、インド、中国、メキシコなどではよく使われるハーブです。カリウム、カルシウム、鉄、カロテン、ビタミンCを比較的多く含み、精油成分が消化促進に効果があるとされています。生の葉を香草あるいは葉菜として使うほか、茎や根を煮込み料理に使用します。保存は根の部分を湿らせたキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:シャンツァイとオニオンスライスのサラダ、シャンツァイソースのエスニック冷ややっこ、エビとシャンツァイの春巻き

島ラッキョウ

沖縄県で栽培され、出回り時期は1月~6月。本土のラッキョウよりも一足早く3月~5月に出荷のピークを迎えます。一般的なラッキョウよりも小ぶりで、強い香りと辛みがあり、シャキシャキとした歯ざわりが特徴です。茎つきで出回るので、その青い部分と根を切り落とし、天ぷらや塩漬けにするのが一般的な食べ方です。茎の青い部分は薬味しょうゆにするのもいいでしょう。

調理例:天ぷら、塩漬け(浅漬け)、島ラッキョウとキャベツのサラダ

4月が「名残り」の野菜

みずみずしい春ダイコン、シャキシャキした花ワサビなど、爽やかな辛みも春野菜の特徴です。スタミナ野菜のニラも根元までやわらかく、春ならではの味わいです。

春ダイコン

一年中出回っているダイコンですが、収穫時期によって「春ダイコン」「夏ダイコン」「冬ダイコン」に分けられます。3月~5月に出回る春ダイコンは、水分量が多くみずみずしく、冬ダイコンと比べてやや辛みがあるのが特徴です。やわらかくサッパリとした食味を生かしてサラダなどの生食に向いています。栄養は、ビタミンC、食物繊維に富み、消化を助けるジアスターゼを含んでいます。使いかけを保存するときは、ラップで包んで冷蔵庫の野菜室で3~4日。

調理例:ダイコンステーキ鶏そぼろあんかけ、ダイコンと豚肉の煮物、キャベツと厚揚げのみぞれ(ダイコンおろし)煮

ニラ

一年に何度も収穫できるニラですが、旬は春。3月~5月にかけてが出荷の最盛期です。冬に養分を蓄えた春ニラは、葉肉が薄めでやわらかく風味がよいのが特徴。栄養は、カロテン、ビタミンB2・C、カルシウム、カリウムが豊富で、香り成分の硫化アリル(アリシン)はビタミンB1の吸収を助ける働きがあり、根元に多く含まれています。保存はキッチンペーパーで包み、冷蔵庫に立てて2~3日。

調理例:ナムル、ニラ玉スープ、豚肉とニラの焼きビーフン

花ワサビ

通常すりおろして使うワサビは根茎の部分で、花茎・葉茎を食用とするのが花ワサビ。つぼみをつけた状態で収穫します。出回り時期は産地によって異なりますが、1月から5月初旬まで。爽やかな辛みとシャキシャキとした食感が持ち味。栄養はビタミンCのほか、殺菌作用のある辛み成分を含みます。食べ方は、下処理として花茎・葉茎に熱湯をかけ、辛みが飛ばないように密閉容器に入れて蓋(ふた)をしておき、おひたしやしょうゆ漬けにします。保存はすぐに下処理をするか、湿らせたキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

調理例:白だし漬け、しょうゆ漬け、天ぷら

まとめ

春の短い間しか店先に並ばない野菜もあれば、一年中出回っている野菜にも、春ならではの味わいがあります。4月が旬の野菜には、独特の香りや辛みを持つものもたくさんあります。風味がよく栄養価が高い旬のうちに、酢やしょうゆ、オイルに漬けて保存食にしてみてはいかがでしょう。箸休めや料理のアクセントに長く使えます。

手前は島らっきょうの塩漬け。奥左から、島ラッキョウの酢漬け、タケノコのオリーブオイル漬け、新ショウガの甘酢漬け(上)、花ワサビのしょうゆ漬け(下)、島ラッキョウの茎の薬味しょうゆ(上)、シャンツァイの薬味しょうゆ(下)

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)