MicrosoftはWindows Subsystem for Android(以下、WSA)の公式ドキュメントを更新し、2025年3月5日でサポートを終える旨を発表した。WSAは、Amazonアプリストアで配布されているAndroidアプリを、Windows 11上で動かすものだ。Amazonからも、2025年3月6日からAmazonアプリストア経由のダウンロードが終了するとのメールが届いている。

  • 公式ドキュメントに加わったWSA終了のメッセージ

  • Amazonから届いたメール

「もう諦めるのか!?」というのが筆者の正直な感想。日本市場でWSAが利用可能になったのは2022年8月。この連載でも何度か取り上げてきた。米国市場では2021年6月からWSAを提供しているから、約4年で終了に至ったことになる。

いま現在もWSAはプレビュー段階だが、Windows Subsystem for Linux(以下、WSL)と異なり、大きな盛り上がりを見せていない。GitHubを見ても開発プロジェクトに対する参加ユーザー数は少なく、WSLのような活況は見られなかった。

Amazonアプリストアに並ぶアプリ数は、本稿執筆時点で512。以前より増加してはいるものの、筆者としてはWindows 11でWSAを実行してまで使いたいアプリは見当たらない。筆者もFireタブレットを所有しているが、NTP対応のデジタル時計として購入したため、Amazonアプリストアを参照する機会は皆無だ。AmazonアプリストアはAndroid向けのGoogle Playと異なり、アプリの選択肢が少ない。この土壌もWSAのサポート終了につながった一因だろう。

  • Windows 11上のAmazonアプリストア

MicrosoftはWSAを通じてAndroidのアプリ市場を取り込むことを見据えていたはずだ。Windows 11の魅力を高める要素としてWSAの実装に取り組んできたが、協力関係を結んだのはAmazonであり、Googleではなかった。Android市場を確立しているGoogleがMicrosoftと協力する利点は少ない。その結果がAmazonとの協力体制であり、WSAのサポート終了である。

AndroidアプリをWindowsへ移植可能とするProject Astoriaから始まり、開発課題を経てWSAに至ったが、MicrosoftによるモバイルOSおよびモバイル市場への挑戦は再び幕を閉じることとなった。WSAに期待してインストールしてきたユーザーは公式ドキュメントを一読してほしい。基本的には、WSAをアンインストールするとAmazonアプリストアとAndroidアプリも削除される。筆者は2025年3月5日のサポート終了日まで様子を見つつ、変化を観察するつもりだ。