AMDは米国時間の12月6日(日本時間で12月7日朝3時)に、"Advancing AI"イベントを開催する。このイベントはLivestreamでも配信されるほか、YouTubeでも公開されるが、ここでAMD Instinct MI300シリーズに加えて、新しくクライアント向けにもAI性能を強化したHawk PointことRyzen 8040シリーズを発表する。このRyzen 8040シリーズについて、事前説明をもとにご紹介したい。

  • AMD、Ryzen 8040シリーズを発表 - AI性能を強化、Meteor Lakeに対抗か

Ryzen 8040シリーズは、今年5月に発表されたRyzen 7040Uシリーズの延長上にある。つまりZen 4 CPUとRNDA 3 GPU、それにXDNAという組み合わせ(Photo01)で、このレベルで言えば7040Uシリーズと差はないという事になる。では何が最大の違いか? というとAI性能で、7040Uシリーズと比べてXDNAエンジンを利用してのAI Inference性能が40%程度向上したとされる(Photo02)。加えて、競合製品であるCore i9-13900Hと比較しても十分優位性がある、とする(Photo03)。

  • Photo01: 後でスペックが出てくるが、U SKUとHS SKUがあるあたりも同じである。

  • Photo02: Llama 2はMetaがリリースした、ローカル環境で動作するLLM。Vision Modelの方はResNet-50とInception V4をONNX Runtimeの上で動作しての結果とのこと。

  • Photo03: ただRyzen 8040シリーズが投入される2024年第1四半期にはMeteor Lakeが既にあるわけで、このあたりの比較は本来はMeteor Lakeと行うべきである事に注意。

製品のラインナップがこちら(Photo04)。ちょっと判りにくいので、既存のRyzen 7040/7045シリーズのMobile Processorと並べてみたのが表1である。流石にHX系のDesktop流用製品は省いた。正直言えばTop End、つまりRyzen 9 7940HS vs Ryzen 9 8945HSあたりは性能差が殆ど無いように思える(ただしcTDPで35Wまで落とせるのは便利かもしれない)。続くRyzen 7に関してもほぼ同じだ。ただ製品ラインナップが増えるとともに、TDPが下がっているのが判る。これはRyzen 5も同じである。要するに全体的にTDP枠を少し下げており、より使いやすくなった格好だ。さらに、Ryzen AIを搭載するSKUが5つから7つに増えている。

  • Photo04: 現時点ではBase Frequencyが不明である。

  • ■表1

ちなみにAMDによれば、このHawk Pointに加えて、2024年中にはXDNA 2を搭載するStrix Pointを投入予定とされる(Photo05)。このXDNA 2は生成AIでRDNA比で3倍の処理性能を実現する、としている。

  • Photo05: total TOPSはCPUやGPUも併用した場合の演算性能で、NPU TOPSがNPUだけでの演算性能である。NPUそのものは60%の処理能力強化が図られ、その結果Photo02の様に40%の性能改善が実現したという訳だ。

  • Photo06: XDNA 2エンジンの中身などは現時点では不明である。

これは12月17日のMeteor Lake発表に対応したAMDからの先制ジョブといった感じである。本格的なカウンターは、次のStrix Pointが担う事になるだろう。とりあえず事前資料での説明はこの程度である。イベント開催後に判明した情報などは、また改めてご紹介したい。