TOKIOの国分太一がMCを務める東海テレビの情報バラエティ番組『タイチサン!』(毎週日曜12:00~、東海ローカル)が、福島で進めていた「ツリーハウスプロジェクト」が完成した。10月29日の生放送(※名古屋の民放5局で作る情報・配信サービス「Locipo」で11月5日まで無料配信)でお披露目され、SNSでは「感動してウルっときた」「職人さんたちの力が集結して胸熱」といった声が寄せられている。

東海地方の職人たちが次々に参加するこのプロジェクトが実現した背景には、国民的グループのメンバーでありながら職人気質な人柄を持ち合わせた国分の存在、そして地元に根付いたローカル局の果たす役割が大きかったようだ。番組プロデューサーの嶋崎悠介氏(※崎は立つ崎)と、同プロジェクト担当ディレクターの澤田淳平氏に舞台裏を聞いた――。

  • ツリーハウスに立つ国分太一 (C)東海テレビ

    ツリーハウスに立つ国分太一 (C)東海テレビ

■偶然の出会いで意気投合

このプロジェクトは、国分が“東海地方の頑張っている人”に出会う『タイチサン!』のロケコーナー「こくぶんフレンズ」で、名古屋市中区のフラワーショップオーナー・奥村一繁さんを訪ねたことがきっかけで始動。かねてから、TOKIOが福島県西郷村で手に入れた約8万平方メートルの土地「TOKIO-BA」にツリーハウスを作りたいと考えていた国分が、フラワーショップにあるツリーハウスの模型に気付き、奥村さんがツリーハウスを作りたいという夢を持っていたことから意気投合し、一緒に「TOKIO-BA」で実現を目指すことになった。

スタッフ側は国分の構想は前から聞いていたものの、「奥村さんが『ツリーハウスビルダー』の資格を持っていることは知らなくて、お花屋さんとして取材する予定だったので、本当に偶然の出会いでした」(嶋崎P)と、仕込みは一切なし。その後、国分は株式会社TOKIO-BAの社長として奥村さんと直接やり取りして話を進め、番組の企画として動き出すことになった。

TOKIO-BAのワークショップ「フクシマBAルシェ」(10月21日・22日)での完成披露を目標に、今年8月上旬から現地で作業を開始。ただ、ツリーハウスは木の形を生かしながら、現場で木の部位の強さを判断して“アドリブ的”に作っていく工法のため、「基本的に工期通りにはいかないと言われていたんです」(嶋崎P)という。モデルとして作った模型と比較すると、実際に完成したのものと形状が変わっていることが分かる。

さらに、那須連山からの強風が吹いたり、雨が降ったりすると作業が止まる上、台風に見舞われたことも。それでも、樹形に合わせて地面と平行を取るのが、作業の中で特に難しく、「2階のフロアの位置を決めるだけで、1日半くらいかかりました」(澤田D)と、慎重に行わなければいけないのだ。

  • モデルとして作られたツリーハウスの模型

■来場者が遊んでいる顔を見て「やっと完成だな」

そんな苦労を重ねただけに、完成にたどり着いたときは喜びもひとしおだった。

「最初に奥村さんから『こんなふうに作ります』と模型を見て聞いたときに、正直『ここまでできるのか?』という思いもあったんですけど、日に日に組み上がっていくのを見て、模型以上のものができたと思います。細工やデザインも、国分さんが会話しながら作っていったので、実際に行って細かいところまで見てほしいです。映像で見るよりもすごいです」(澤田D)

「完成したのを見て、僕が『グッとくるなあ』と言ったのが放送したVTRに乗っちゃったんですけど(笑)、大げさじゃなくウルッときましたね。腰より高い雑草ばかりの場所が、みんなの憩いの場になっているのに、感動しました」(嶋崎P)

TOKIO-BAの中でもひときわ大きな構造物で、遠くから見るとツリーハウスがまるで木から飛び出し、浮いているような感覚で見えるといい、「実際に上ると、結構怖いくらいの高さなんです」(嶋崎P)と迫力を感じるそうだ。

夢がかなった奥村さんの喜びは、もちろん番組スタッフ以上。澤田Dは「奥村さんは、ツリーハウスを作る夢はあったけど作る場所がなかったのと同時に、自分のためではなく、誰かのために多くの人が楽しんでもらえるものを作りたいとおっしゃっていたんです。なので、福島の地元の方や、東京や愛知からもいらっしゃった方がツリーハウスに上って遊んでいる顔を見て、『これでやっと完成だな』と、つぶやいていたのが印象的でした」と振り返る。

そして国分については、「『すごい!』『ヤバい!』をめちゃくちゃ連呼して、子どもみたいに喜ばれていました(笑)。まさに、大人が子どもに戻れるツリーハウスだと思います」(澤田D)。国分は「TOKIO-BAの宝」とまで言っていたが、その言葉に嶋崎Pは「本当にうれしいです」と感激しながら、「TOKIOの皆さんが出演している『鉄腕DASH』(日本テレビ)のような、長期でスケールの大きい企画をローカル局として挑戦できたという意味でも非常に大きくて、このプロジェクトが始まってから愛知・岐阜・三重の視聴者の方以外にも、全国から『配信で見ました』という声が増えて、番組の認知度も上がったと思います」と手応えを語る。