放送開始20周年を迎える特撮テレビドラマ『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)の特別上映&キャストトークショー『19年目の緊急捜査会議』が18日、東京・一ツ橋ホールにて開催された。上映されたのは2015年にリリースされたビデオオリジナル作品『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』。ステージには、宇宙警察地球署のユニフォーム姿でメインキャストが結集。最新作となるVシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20thファイヤーボール・ブースター』(2024年公開)の情報もこの場で解禁され、かけつけたファンを歓喜させた。

  • 左から伊藤陽佑、菊地美香、さいねい龍二、吉田友一、林剛史

『特捜戦隊デカレンジャー』は2004~2005年に放送されたスーパー戦隊シリーズ第28作。地球の警察では手に負えない異星人犯罪者(アリエナイザー)が巻き起こす奇怪な犯罪を捜査し、事件を解決に導く宇宙警察地球署の個性的な刑事(デカ)=スペシャルポリスたちの活躍を描く本作は、怪事件勃発~デカレンジャー出動~地道な捜査と推理によって事件の全容が明かされる~アリエナイザーとデカレンジャーの戦い~事件解決という「刑事ドラマ」のフォーマットをスーパー戦隊に当てはめたシリーズ屈指の人気作。敵レギュラーとして悪質な武器商人エージェント・アブレラが暗躍するものの、毎回のアリエナイザーが巻き起こす事件の発端はさまざま。弱い者の生命を踏みにじる憎むべき犯人をデリート(処罰)するエピソードもあれば、やむにやまれぬ事情で犯罪に手を染めた者が登場し、事件が解決してもデカレンジャーたちの心が晴れないエピソードもあった。バラエティにとんだSF犯罪ドラマが繰り広げられ、2006年の日本SF大会ではスーパー戦隊シリーズで初の「星雲賞」を獲得するなど、高い支持を集めた作品である。

最初にデカレンジャー10周年記念作品『特捜戦隊デカレンジャー10YEARS AFTER』がスクリーン上映され、終了後にキャスト陣が宇宙警察地球署の役衣装で現れた。

火の玉野郎の異名を持ち、四字熟語で感情を表す熱血男・デカレッド/バンこと赤座伴番を演じるさいねい龍二。さいねいは超満員の客席を見つめて感慨深げに「これだけの方が観てくださって嬉しい限り。広島から来た甲斐がありました」と語り、現在の活動拠点である広島からファンの方々に会うためかけつけたことを明かした。

すべての物事をクールにこなし、隠れた努力家でもあるデカブルー/ホージーこと戸増宝児を演じる林剛史は、興奮気味のファンからの「相棒!」コールに笑顔で応えつつ「相棒って言うな!」というホージーの決めゼリフを放ち、場を大いに盛り上げた。

マイペースだがここぞというときには頭脳の冴えを見せるデカグリーン/センちゃんこと江成仙一を演じる伊藤陽佑は今回、MCを兼任しており客席のファンを驚かせた。流麗なトークと癒しの笑顔で、見事な進行ぶりを披露した。

天真爛漫、素直な心が難事件攻略の突破口になることもある自称リーダー・デカピンク/ウメコこと胡堂小梅を演じる菊地美香。

宇宙警察のエリート部隊「特キョウ」出身のデカブレイク/テツこと姶良鉄幹を演じる吉田友一。

吉田と菊地は2018年に結婚し、現在は共に高知県で暮らしている。吉田は挨拶の際「たいへんご報告が遅くなったんですけれど、これを逃すと皆さんの前でお話する機会が……」と前置きしつつ、改めてファンの前で結婚を報告した。

『デカレンジャー10YEARS』では、菊地演じるウメコと伊藤演じるセンちゃんとの仲むつまじい様子が強調されたが、これについて菊地は「ビジネス夫(伊藤)とリアル夫(吉田)です!」とはじけるような笑顔で説明し、周囲の笑いを誘った。

劇中での熱い関係を「ビジネス」と菊地に表現されてしまった伊藤が、実に悲しそうな顔を浮かべて客席を大いに沸かせた。

MCの伊藤から、『10YEARS』の感想を問われたさいねいは「テレビシリーズの最終回がすごくいい終わり方だったので、あれを超えられるかどうか心配していたが、しっかり超えてきた作品で面白かった」と、約10年前に作られた「その後のデカレンジャー」の出来栄えに満足していたと語った。

菊地は、この日に備えて『10YEARS』を観返し「予習」をしてきたと言い「センちゃんとウメコが、とてもキュンとする描かれ方をしていて尊い! ドキドキしながら観ていました」と、劇中でのセンちゃん・ウメコの関係性にときめいていたことを打ち明けた。

と、ここまで来て伊藤がいきなり「そろそろお時間がやってきたようです。さいねいさん、最後の一言を……」とイベントを「締め」にかかったので、菊地が「本気で言ってる?」とうろたえるなど、空気が一変。いくらなんでも早すぎるだろうと観客も戸惑う中、「みんな、さすがに早すぎないか。もう少しサービスしたらどうだ?」と力強い声が会場全体に響いた。

声の主は、宇宙警察地球署の署長ドキー・クルーガー(声:稲田徹)だった。ドギーの号令により、スクリーンにはこの瞬間から情報解禁となる『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』の特報映像が映し出され、ファンのどよめきと歓声を集めた。

『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』は2024年初夏より期間限定上映。そして同年11月13日よりBlu-ray&DVDが発売されるという。菊地は「『10YEARS』や『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(2017年)のときはできなかったので、こうしてみなさんを前にして直接「新作が出来ますよ」と発表できて、嬉しいです。生で「キャー!」が聞けて、感動しました!」と、直接ファンの声を受け止めながら作品を発表することが叶った喜びをあらわにした。

ここで、今回登壇することが叶わなかったデカイエロー/ジャスミンこと礼紋茉莉花を演じる木下あゆ美からの「手紙」が菊地によって読まれることになった。エスパー能力を持つクールビューティでありながら、古典的なギャグを好む一面を備える魅力的なジャスミンを演じたことは、木下にとって「人生の宝」であるという。20周年記念作品でもジャスミンは活躍しているそうで「節目の年に新しい作品を生み出すことができて、心から嬉しく思っています。精一杯、生命を吹き込みましたので、完成を楽しみにしてください」と締めくくり、強いパワーを持つジャスミンという役を新たに演じられたことへの喜びを示した。

『デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』の撮影は、2023年6月から始まった。撮影の舞台は東京ではなく、高知県高知市と東映京都撮影所が選ばれている。これには、現在高知市の地域活性推進課の職員でもある吉田の働きが、非常に大きかったという。ここより吉田から、デカレンジャー20周年企画がどのような経緯で出発し、高知市が撮影場所に選ばれたのかの推移をパワーポイントによるプレゼン形式で発表された。

そもそものきっかけは、2022年10月に高知大学学園祭(黒潮祭)に吉田、菊地、さいねいが出演したことだった。その際のトークテーマは「地方・Uターン、Iターンを考える」。これについてさいねいから「地方創生は、映画製作で盛り上げるのがいちばん分かりやすい! 想いが届く!」、そして菊地から「人はたのしい・美味しいに惹きつけられる。もぐもぐ…」といった言葉が飛び、これを受けた吉田がその翌日から行動を開始。高知市と東映の両方に働きかけ、「高知市を舞台にした、高知の町おこしにもつながる映像作品」を作る方向へと話を進めていったそうだ。

吉田はさらに、上司から「高知には、デカベースがあるよ!」という頼もしい言葉を受けたという。それはいかにも未来的な巨大要塞風の建物「海洋堂スペースファクトリー」のことだった。その強固かつスタイリッシュな外観は、まさに宇宙警察地球署が誇る「デカベース」のイメージにピッタリ。そして緑に囲まれた美しい「高知県立牧野植物園」などもロケ地候補に挙げられた。そういった地元の協力もあって、2023年3月には渡辺勝也監督、脚本の荒川稔久氏たちスタッフ陣によるシナリオハンティングが行なわれ、5月にはロケーションハンティングが行なわれた。こうして『デカレンジャー20th』のプロジェクトは動きはじめたのだという。

最後に吉田は、高知城でポーズを取るデカレンジャーの写真を映写しつつ「特撮映画で高知市を盛り上げたい! ガバメントクラウドファンディング」の実施を説明。10月19日よりスタートするこの企画は、出資金額に応じて「出演者のサイン色紙」や「映画のエンドロールにお名前掲載」といった数々のリターンが用意されている。

続いて、ステージには高知市副市長の中澤慎二氏が登場。中澤氏は「東京から高知までは、地図上では遠く感じるかもしれませんが、羽田空港から飛行機に乗り、高知の町へたどりつくまで2時間かかりません。高知といえば鰹が有名ですが、ほかにも美味しいものがたくさんございます。ぜひ高知にお越しくださって、デカレンジャー20thのロケ地めぐりなどを楽しんでください」と、高知在住の吉田による「ロケ地案内」もリターンに含まれていることを明かし、大いに高知の良さをアピールした。

中澤氏を囲み、全員でデカレンジャーの敬礼ポーズ「ロジャー!」を決める。

『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』の公開にあたって、どんなことをやってみたいかを問われた林は「可能かどうかはわからないですけど、47都道府県すべての劇場で舞台挨拶をしたい!」と壮大な夢を明かし、日本全国のデカレンジャーファンにできる限り直接会いたいと言って目を輝かせた。

さいねいは「今回のデカレンジャー20thでは、ファンのみなさんも僕らと同じ『チーム』だと思うんです。みんなで一緒にデカレンジャーの20周年を盛り上げていきましょう。ひとりひとりの力を合わせ、大きな作品に成長してくれたらいいなと思っています。これから公開まで約半年くらいの期間がありますので、その日が来るまでいろいろと楽しめるように工夫をしていきたいです!」とコメント。作品を盛り上げ、ヒットに導くためにはファンの応援と協力が大事だと、力強い言葉を客席へと投げかけた。

Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』は2024年初夏、全国劇場にて期間限定上映。

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