第36期竜王戦6組昇級者決定戦(主催:読売新聞社)は、島朗九段―山本博志五段戦が6月26日(月)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、120手の熱戦を制した島九段が次回戦進出を決めました。

三間飛車対銀冠の対抗形

6組昇級者決定戦は30名弱からなるトーナメントを勝ち抜いた2名が5組に昇級するもの。島九段は1回戦で松本佳介七段を破っての2回戦登場となりました。振り駒が行われた本局、先手となった山本五段が得意のノーマル三間飛車に構えたのに対し、後手の島九段は銀冠の作戦を明示します。

持久戦調の駒組みが続くと思われた最中、山本五段が動きを見せます。玉を4筋に待機させたまま2筋の歩をぶつけたのが山本流ともいえる作戦で、美濃囲いの右桂を積極的に跳ね出して銀冠攻略を目指す狙いがあります。実戦は島九段が穏やかな桂跳ねで応じた結果、大乱戦は回避されて角と桂の総交換に落ち着きました。

連続の桂捨てで島九段が制勝

局面が一段落したところで後手の島九段は決断の一手を着手します。美濃囲いの銀めがけて桂を打ったのがそれで、仕掛けによって先手の美濃囲いが弱体化しているのをとがめています。形勢は互角ながら、首尾よく飛車をさばいた島九段が主導権を持って中盤戦が展開します。夕食休憩が明けたころ、負けじと山本五段も反撃を開始しました。

角を切っての猛攻を見せる山本五段に対し、島九段も攻防の二枚角を自陣に放って応戦。角取りに金を打たれた局面で島九段は決め手を用意していました。2筋の歩頭に桂を捨てたのが先手玉を弱体化する手筋。さらに再度の桂捨てによって山本五段の美濃囲いを崩壊に追い込みました。終局時刻は21時35分、最後は先手玉を即詰みに討ち取った島九段が勝利。田中悠一五段の待つ次回戦へと駒を進めました。

  • 島九段は今年度4勝1敗と好調をキープ(未放映のテレビ対局を除く)

    島九段は今年度4勝1敗と好調をキープ(未放映のテレビ対局を除く)

水留 啓(将棋情報局)

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