渡辺明棋王への挑戦権を争う第47期棋王戦(主催・共同通信社)の挑戦者決定トーナメントは、12月21日に挑戦者決定戦第1局の永瀬拓矢王座―郷田真隆九段戦が行われています。永瀬王座は挑戦者決定トーナメントで稲葉陽八段、木村一基九段、豊島将之九段、佐藤康光九段を破り、無敗で挑戦者決定戦に進出しました。

一方郷田九段は屋敷伸之九段、瀬川晶司六段、久保利明九段、斎藤慎太郎八段を破って準決勝に進出した後に佐藤康九段に敗れ、敗者復活戦で豊島九段、佐藤康九段を破っての挑戦者決定戦進出となります。永瀬王座が勝てばすんなり渡辺棋王への挑戦が決まり、敗者復活戦を経た郷田九段が勝利した場合は28日に行われる挑戦者決定戦第2局に持ち越されます。過去の対戦成績は永瀬王座の5勝4敗です。

両者は共に1度ずつ、棋王戦での挑戦経験があります。永瀬王座が挑戦したのは第43期で渡辺棋王をカド番に追い込みましたが、あと1勝が届きませんでした。郷田九段が挑戦したのは第37期で、当時の棋王は久保利明九段です。久保棋王から3勝1敗で奪取を果たしましたが、その翌年に渡辺竜王(当時)に敗れ、失冠。渡辺棋王の棋王戦連覇はこの時から現在に至るまで続いています。

リベンジマッチの権利を得るのは果たしてどちらか。12月21日の午前10時に東京・将棋会館で始まった本局は、先手番を得た郷田九段がガッチリとした金矢倉に構え、一方の永瀬王座は中住まいを選択しました。攻め駒と守り駒が自然に配置されて美しく格調高い先手陣に対し、スピーディでスキがなくいかにも現代調な後手陣。駒組みが始まったばかりの段階ですが、早くも両者の個性が感じられる展開になっています。年の瀬の大一番に注目しましょう。

相崎修司(将棋情報局)

2021年12月21日12時40分、訂正:12月15日→12月21日  上記訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

本局を勝てば挑戦が決まる永瀬拓矢王座(写真は第69期王座戦第2局のもの 提供:日本将棋連盟)
本局を勝てば挑戦が決まる永瀬拓矢王座(写真は第69期王座戦第2局のもの 提供:日本将棋連盟)