カルテックは2021年12月2日、食品保管庫「フードフレッシュキーパー」やバッテリー内蔵の除菌脱臭機など、光触媒によって空気をキレイにする機器の新製品(4モデル)を発表しました。ラインナップと発売日、公式オンラインサイトでの価格は以下の通りです。

  • 光触媒搭載の食品常温保管庫「FOOD FRESH KEEPER(フードフレッシュキーパー)KL-K01」:12月15日発売、21,780円
  • 光触媒除菌脱臭機「MULTI FRESH AIR(マルチフレッシュエアー)KL-G01」:12月15日発売、21,780円
  • 光触媒除菌脱臭機 スポットタイプ「SPOT AIR(スポットエアー)KL-S01」:12月17日発売、46,200円
  • 光触媒除菌脱臭機 ダウンライトタイプ「DOWNLIGHT AIR(ダウンライトエアー)KL-L01/L02」:2022年1月中旬発売、38,500円(センサー付き)、35,200円(センサーなし)
  • カルテックが2021年12月2日に発表した光触媒搭載の新製品(4モデル)

  • 光触媒搭載の食品常温保管庫「FOOD FRESH KEEPER(フードフレッシュキーパー)KL-K01」

  • 光触媒除菌脱臭機「MULTI FRESH AIR(マルチフレッシュエアー)KL-G01」

  • 光触媒除菌脱臭機 スポットタイプ「SPOT AIR(スポットエアー)KL-S01」は照明用のレールに装着するため、基本的には店舗や飲食店などへの導入を想定

  • 光触媒除菌脱臭機 ダウンライトタイプ「DOWNLIGHT AIR(ダウンライトエアー) KL-L01・L02」は法人向け販売となります

カルテックは独自の光触媒技術を基にして2018年に創業した会社で、2019年には据え置きも可能な壁掛けタイプの除菌脱臭機「ターンド・ケイ KL-W01」を発売。LED電球タイプや首かけタイプ、大型床置きタイプなど、光触媒技術を活用した除菌脱臭機のラインナップを広げてきました。今回、有害物質を分解することで「食品の鮮度を長持ちさせる」という新しい切り口の製品が加わりました。

  • カルテック製品のあゆみ

発表会に登壇したカルテック代表取締役社長の染井潤一氏は「弊社のビジョンは『水・空気・食の安全をデザインする、人と地球の未来のために』としており、光触媒の技術を通して地球上の人が生活するためのすべてのものを安心・安全な環境にしたいと考えています」と語ります。

  • カルテック代表取締役社長の染井潤一氏

「光触媒技術は最近の『SDGs(持続可能な開発目標)』においても、『空気の浄化』、『食品廃棄ロス(削減)』、『水の浄化』のところで貢献できると思っています」(染井氏)

カルテック製品に使われている光触媒には「酸化チタン」が用いられており、そこに可視光を当てることで分解エネルギーが発生し、菌類、ウイルス、悪臭成分などさまざまな有害物質を水と二酸化炭素に分解する仕組み。汚れた空気をキレイにして排出するという、空気清浄機と同じようなものです。

  • 光触媒の効果

食パンやフルーツなどを常温でより長持ちさせる「フードフレッシュキーパー」

フードフレッシュキーパーは「昭和の調味料入れみたいなデザイン」(染井社長)という食品常温保管庫で、フタを閉めることで奥に設置した光触媒ユニットによって庫内の除菌・脱臭を行うというもの。

  • フードフレッシュキーパー KL-K01

「この中に入れておくと、カビ菌やニオイを除去することで長期間保存できるようになります。パンや果物、そのほかに調味料や作りおきの料理なども、上からの『落下菌』を防げるので常温で保鮮できます」(染井社長)

  • 常温で室内に9日間保存したパンには、カビがびっしりと生えています

  • 常温でフードフレッシュキーパーに9日間保存したパンには、見たところカビは生えていません

  • 庫内奥に配置した光触媒で除菌脱臭

  • 光触媒は取り出して水洗いすることで効果が持続

製品作りにはSDGsを意識。奈良県の吉野でスギやヒノキの間伐材を使ってお箸を作っている、吉辰商店の吉野ヒノキをハンド部分に採用。「段ボールも印刷を極力少なくして、CO2削減に向けた梱包にしています」(染井社長)とのことです。

  • ハンドル部分にはヒノキの間伐材を使い、梱包も印刷を極力減らすなど、SDGsを大いに意識しているとのこと

バッテリー内蔵の「マルチフレッシュエアー」は冷蔵庫内でも活躍

マルチフレッシュエアーはバッテリーを内蔵し、約12時間の充電でNORMALモードなら約1.5週間、ECOモードなら約3週間の連続運転が可能なポータブルタイプの除菌脱臭機です。こちらも「花柄」と「魚柄」という「昭和のデザイン」(染井社長)が特徴です。

  • バッテリー内蔵で最長約3週間連続使用できる「マルチフレッシュエアー」

「冷蔵庫にはいろいろなものが入っているので、ジャマにならなくて安定性がいいようにこのような形になっています。冷蔵庫内の壁にくっつけても空気を吸い込む道を確保できるように、このような形状にしています」(染井社長)

  • どのように設置しても空気の通り道が確保できるような形状になっています

想定する利用場所は冷蔵庫内のほか、ペットの近く、トイレの中、下駄箱の中など。「脱臭の用途はたくさんあるので、移動させながら気になるところで使ってもらいたい」(染井社長)

おもに業務用途を想定している「スポットエアー」と「ダウンライトエアー」

スポットエアーは、スポットライトなどを設置できる天井の配線ダクトに設置できる除菌脱臭機。一方のダウンライトエアーは、除菌脱臭機能を備える天井設置型のダウンライトです。

  • 天井の配線ダクトに設置できる「ダウンライトエアー」

スポットエアーは天井に設置することで、除菌された空気を上から吹き付けることができるため、エアーカーテンのように使えるとのこと。

「マスクは必要かもしれませんが、接客業の受付のアクリル板を外してスムーズな接客ができたり、飲食店のカウンターの上に置くことで菌が落下するリスクを大幅に下げたりできます」(染井社長)

有効範囲は1つのスポットエアーにつき「直径2~2.5m程度」(染井社長)とのことでした。

ダウンライトエアーについて染井社長は「一般家庭や店舗にたくさんあるダウンライトの3つのうち、1つくらいをこれに替えてもらうことで、廊下空間の除菌ができます」と話します。

  • 除菌脱臭機能を備える天井設置型ダウンライト「ダウンライトエアー」(写真右側)

植物工場や河川の浄化、陸上養殖などでも活路を見いだす

カルテックでは現在、光触媒を使って室内の空気を除菌する植物工場や、輸送用の特殊コンテナ、河川の浄化、陸上養殖用の水の浄化、災害用トイレの水の浄化など、さまざまな研究に取り組んでいるそうです。

  • カルテックでは光触媒のさらなる応用に向けて研究開発を進めています

水を光触媒で分解すると水素が発生することから、太陽光発電に代わる技術として大学との共同研究も進めていると染井社長は語っていました。

光触媒というとあまりなじみのない人も多いかもしれませんが、搭載する冷蔵庫があります。日立の「新鮮スリープ野菜室」や東芝の「摘みたて野菜室」など、野菜から出るエチレンガスなどの成分を酸化分解したり、そこで発生した二酸化炭素によって野菜の呼吸を抑制して野菜の劣化を防ぐ冷蔵庫です。パナソニックの「スモーク&ロースター けむらん亭 NF-RT1000」では除煙・脱臭に触媒が用いられていたり、自動車の排気ガスの分解にも触媒が用いられているなど(これらは「光触媒」ではありませんが働きは同様)、実はかなり身近に使われているものなのです。

コロナ禍で空気清浄や除菌、ウイルスの不活性化が注目されるようになりましたが、なかなか効果やメリットが目に見えないため、そうした機能をうたう製品を導入しても不安が拭えない人も多いことでしょう。その点で今回のフードフレッシュキーパーやマルチフレッシュエアーは、食品の鮮度を長持ちさせることができるため(マルチフレッシュエアーはほかの用途にも活用可能)、「食品ロスを減らしたい」と考えている人にはぴったりの製品ではないでしょうか。

ここ数年ブームの高級生食パンを安心して楽しみたい人にはフードフレッシュキーパーもいいですが、筆者としては設置場所を選ばないマルチフレッシュエアーの使い勝手の良さに魅力を感じました。特に最近の冷蔵庫に搭載されている鮮度保持機能が欲しくて買い替えを検討している人は、まずマルチフレッシュエアーを冷蔵室やチルドルーム、野菜室などに設置してみるといいかもしれません。