ポータブルオーディオの界隈では左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンが人気となっていますが、ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンもまた、1万円前後の面白い製品が目白押しです。今回はアメリカのブランド、SOUL(ソウル)から発売となる新製品「EMOTION MAX」をレポートします。
バッテリー切れを心配せずに使える24時間連続駆動
EMOTION MAXは、ゆったりサイズのイヤーパッドで耳を覆うアラウンドイヤースタイルのBluetoothワイヤレスヘッドホンです。SOULのオンライン直販価格は12,800円と、アクティブノイズキャンセリング機能(以下、AMC)を搭載するワイヤレスヘッドホンの中でも大変にお手ごろ。カラーバリエーションにはブラック・ブルー・ベージュの3色があります。8月16日の時点では8月末近くの発売予定となっているようです。
最近はANCを搭載する1万円前後の完全ワイヤレスイヤホンも徐々に出そろってきましたが、あえてイヤホンではなくヘッドホンを選ぶ理由があります。それは内蔵バッテリーによる長時間駆動性能に優れていることです。
ANC搭載の最新完全ワイヤレスイヤホンでも、一度のフル充電から連続して音楽再生やハンズフリー通話に使える時間は5~7時間前後。一方でEMOTION MAXは約24時間の連続使用に対応しているので、使用する日の前日に充電しておけば、屋外を移動しながらの音楽再生やリモートワーク環境でビデオ会議に参加している最中、不意にバッテリーが切れる心配もありません。充電コネクタはUSB Type-Cで、充電ケーブルも付属します。
蒸れないイヤーパッドに交換可能
とはいえ、夏だとエアコンを効かせた涼しい部屋ならともかく、暑い屋外でヘッドホンを使うとイヤーパッドが触れる耳元が蒸れたり、汗に濡れて不快なもの。EMOTION MAXは本体が約209gと軽く、さらに付属する2種類の素材が違うイヤーパッドをユーザーが簡単に交換できるようになっているので、暑い季節にも快適に使えるヘッドホンといえます。
そもそも暑い季節にヘッドホンは使いたくないという意見も多いと思うので、暑いときは完全ワイヤレスイヤホン、過ごしやすい日や寒い日はヘッドホンと使い分けるのもおすすめです。
イヤーパッドは遮音性の高いプレミアムプロテインレザータイプと、通気性と保湿性に優れるメッシュタイプが左右1ペアずつ同梱されています。着脱は4カ所のピンを小さな孔にはめ込むスナップ方式で、ヘッドホン本体を傷つけず簡単に着脱できます。
1万円台前半のヘッドホンなのに、パッケージには大きめサイズのキャリングポーチも付いてきます。ヘッドホンと2種類のイヤーパッドを常に持ち歩きながら、場面に応じて付け替えながら使うのもアリ。ヘッドホンはアームを折り曲げるとサイズがとてもコンパクトになるので、ポーチへの出し入れもスムーズです。
厚みとインパクトの豊かな重低音
では、EMOTION MAXのサウンドをチェックしてみましょう。EMOTION MAXは40ミリ口径のダイナミック型ドライバーを搭載しています。BluetoothのオーディオコーデックはiPhoneやiPadの音楽再生で実力をフルに引き出せるAACのほか、音質に定評あるaptXもサポートしています。
Google Pixel 5でAmazon Musicのストリーミング音源を再生、aptX接続によるサウンドをチェックしました。EMOTION MAXはパワフルで厚みのある低音を特徴としています。ベースやドラムスといった低音楽器のリズムが身体の芯にズシンと響くような、インパクト豊かな低音です。ピアノやボーカルのメロディには心地よい温かみと柔らかさも感じられます。
EMOTION MAXが最も得意な音楽のジャンルは、やはりEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)やアップテンポなロック、ポップス系だと思いますが、クラシックも小編成による弦楽器の演奏などが艶やかに感じられました。
しっかりと効くノイズキャンセリング機能
ペアリングしたスマホによる音楽再生、ハンズフリー通話の受話・終話などは、本体左側のイヤーカップにまとまったボタンで操作します。ノイズキャンセリングと外音取り込みモードも、側面のボタンから切り換えられます。
EMOTION MAXのANCは、甲高いアラーム音や人の話声、持続的に低音が響き続けるロードノイズ、ファンノイズのような雑音もまとめてしっかりと消してくれます。機能をオンにしたとき、鼓膜を突かれるような不快感もありません。飛行機による旅や、賑やかな場所でのビデオ通話などに長時間使い続けても、苦にならないと思います。ANCはオフにもできますが、基本は音のまとまりがベターな「オン」の状態で使うべきヘッドホンと感じました。
通話中に本体の電源ボタンをダブルクリックすると、再生している音楽・動画コンテンツの音声ボリュームを下げて、周囲の環境音を聞こえやすくする外音取り込みモードもあります。この機能については、音楽を聴きながら使えるモードもほしかったところです。
コロナ禍の中で、ビデオ通話など音声付きコミュニケーションにヘッドホンを使うユーザーが増えました。SOULのEMOTION MAXはノートパソコンとスマホなど、最大2台までの通信デバイスと同時にペアリングできるマルチポイント接続に対応するワイヤレスヘッドホンです。例えばパソコンで映画を観ている最中に、Android OSのスマホにビデオ通話の着信があったようなときも、すばやく切り換えて参加できます。なお。EMOTION MAXはパソコンにケーブルで接続して有線でも使えます。
EMOTION MAXは本体をコンパクトに折りたためるので、可搬性能にも優れています。コストパフォーマンスについては文句なしに高いワイヤレスヘッドホンなので、あとはサウンドとデザインの好み。店頭に展示されている実物にも触れて確かめながら、購入を検討するとよいでしょう。
5,000円を切るワイヤレスヘッドホン「ULTRA WIRELESS」
SOULからは同時期にBluetoothワイヤレスヘッドホン「ULTRA WIRELESS」も発売されます。ノイズキャンセリングや外音取り込みの機能は搭載していませんが、40ミリ口径のドライバーによるパワフルな重低音再生が楽しめます。SOULのオンライン直販価格は4,980円と、こちらも大変にお手ごろ。
カラバリはブラック・シルバー・ブルーの3色。内蔵バッテリーで最大約37時間の連続再生に対応し、コンパクトに折りたためる本体は約197gの軽量設計です。音楽リスニングからリモートワークにまで、幅広く器用に対応できるエントリーモデルにも注目してみてください。