ソニーは、4本のワイヤレススピーカーだけで最大12個のファントム(仮想)スピーカーを生成し、360度のサラウンド空間を楽しめるホームシアターシステム「HT-A9」を8月7日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は22万円前後を見込む。
ワイヤレススピーカー4本と、HDMI入力などを備えた小型のコントロールボックスで構成。それぞれに電源ケーブルを接続する必要はあるが、スピーカーケーブルが不要なため、室内の電波の届く範囲に自由に配置し、テレビと組み合わせてサラウンドコンテンツを楽しめる。
本体カラーには、リビングに調和するライトグレーを採用。「ライフスタイルを重視しつつ、サラウンドも楽しみたい」といったユーザー層を想定した、新機軸のホームシアター製品となる。
各スピーカーはA4サイズのノートをクルッと丸めたくらいの大きさで、1本あたりのサイズ/重さは各160×147×313mm(幅×奥行き×高さ)/2.7kg。内部には、正面向きの19mmソフトドームツイーター、フルレンジの70×82mm X-balanced Speakerユニットに加え、斜め上向きのイネーブルドスピーカーとして46×54mm X-balanced Speakerユニットを搭載。音場生成のための測距に使うマイクも内蔵する。この4本で4.0.4chのスピーカー構成となり、総合出力は504W。
独自のモノポールシンセシス技術と音場最適化技術を採用し、壁や天井に反射させた音を利用して、最大12個のファントムスピーカーを理想的な位置に生み出し、サラウンド空間を作り出せるのが特徴。ソニーではこの技術を「360 Spatial Sound Mapping」(サンロクマル スペーシャルサウンドマッピング)と名付けている。
設置時は、テレビの両脇に2本、ユーザーの背面にあたる場所に2本のスピーカーをそれぞれ配置する。通常のホームシアターでは各スピーカーを適切な距離や角度で配置していくが、HT-A9は左右の位置や高さがバラバラでも構わない。セットアップ時に自動で補正を行い、理想的なサラウンド空間を生み出せるのが大きな特徴だ。
スピーカーを設置するときのポイントとして、ソニーでは3~4m四方(フロント間は2~3m)を推奨。オススメのスピーカー間の距離は、フロントが最大3.5m/最小1m、フロント〜リアが最大5m/最小2.5mとしており、天井までの高さは1~4mに対応するとのこと。サラウンドの音場が下がってしまうため、床置きは推奨していない。
なお、各スピーカーのサイズや搭載ユニットは共通だが、4本を適当にどこにでも置いて使うわけではなく、フロントの左右などはあらかじめ割り振られている。
各スピーカーに音声を送出する、コントロールボックスを同梱。背面にHDMI入出力を各1系統装備し、HDCP 2.2/2.3に対応。8Kや4K/120Hz、HDRの映像信号をパススルーできる。eARC(Enhanced ARC)もサポートし、ドルビーTrue HDやDolby Atmos、DTS-HD MasterAudio、DTS:Xなどの音声をHDMIケーブル1本で、eARC対応テレビからサウンドバーへ伝送可能だ。圧縮音源をハイレゾ相当に変換して再生する高音質化機能「DSEE Extreme」にも対応する。
コントロールボックスの本体サイズは150×150×52mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは730g。Ethernet端子を備え、有線LAN接続に対応するほか、無線LAN機能も搭載。Spotify ConnectやChromecast built-in、AirPlayをサポートする。音声アシスタントのGoogleアシスタントやAmazon Alexaにも対応する予定。Bluetooth受信に対応し、スマートフォンなどの音声を受信してワイヤレス再生可能だ。コーデックはLDAC、AAC、SBCをサポートする。NFCには非対応。本体前面にはディスプレイを搭載し、各種情報を文字表示できる。
薄型テレビ・BRAVIAの2021年モデル「BRAVIA XR」(A90J/A80J/X95Jシリーズ)とHT-A9を付属のアナログオーディオケーブルで接続し、テレビのスピーカーをセンタースピーカーとして使う「アコースティックセンターシンク」機能を装備。画面の中央に音を定位させ、映画やドラマなどの台詞を聞き取りやすくする。
また、BRAVIA XRのA90J/A80J/X95J/X90J/X85Jシリーズと連携すると、テレビの「クイック設定」にサウンドバーの各種設定メニューを追加。音質モードやボイスモード、ナイトモード、Immersive AE(IAE)といった各種音質調整が、グラフィカルに切り替えられるようになる。
なお、8月7日に同日発売となる、別売のワイヤレスサブウーファー「SA-SW5」(店頭予想価格:83,000円前後)、または「SA-SW3」(同44,000円前後)を追加すると、システムの低音を強化することもできる。