米Mozillaは2月23日 (現地時間)、Webブラウザ「Firefox 86」の安定版の提供を開始した。「Total Cookie Protection」を導入、Firefox 85から実装されているSupercookie対策と合わせてクロスサイトCookieによる追跡からの保護が大幅に強化された。また、ピクチャインピクチャの複数配置をサポート、印刷機能をアップデートしている。
Total Cookie Protectionは「Dynamic First-Party Isolation」または「State Partitioning」として知られているプライバシー保護機能。ドメインごとにCookieを分離し、Cookieをドロップしたドメインのみにアクセスを制限する。それによって、複数のサイトがCookieを共有してユーザーの行動を追跡するような広告利用が困難になる。このプライバシー保護の強化でブラウジング体験が損なわれないように、サードパーティの信頼できるログインプロバイダーなど、追跡目的ではないクロスサイトCookieは制限から除外する。
Total Cookie Protectionは、ブラウザープライバシー設定の強化型トラッキング防止機能で「厳格」モードを選択した場合に有効になる。
ピクチャインピクチャ(PiP)はYouTubeなどで再生中の動画をプレイヤーだけ分離して配置し、動画を視聴しながら同時に別の作業も行えるようにするマルチタスク機能。これまでPiP再生は1つのウインドウのみだった。Firefox 86からmulti-PiPを利用できるようになり、PiP再生中に別のタブで再生している動画もPiPに切り替えられる。
印刷機能はクリーンなデザインに改良され、PCの印刷設定との統合が改善された。
これらのほか、リーダーモードがローカルのHTMLページでも動作するようになり、Linux版とAndroid版でスタッククラッシュ攻撃を緩和するための保護機能が有効になった。canvasドロウイングとWebGLドロウイングがGPUプロセスに移行し、パフォーマンスと安定性が向上している。
Firefox 86では計12件の脆弱性が修正された。このうち5件については危険度が上から2番目に高い「高(high)」に位置付けられている。