俳優の市村正親が主演を務める、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』が6日に東京・帝国劇場で初日を迎えた。

市村正親

市村正親

同作は1964年にブロードウェイで初演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞など7つもの賞を獲得、日本では1967年に森繁久彌により初演を迎えた。帝政ロシア時代の寒村で酪農業を営むユダヤ人一家の父親・テヴィエ(市村)と、妻・ゴールデ(鳳蘭)、そして娘たちの結婚をめぐる家族の物語が描かれる。市村正親、鳳蘭、凰稀かなめ、唯月ふうか、屋比久知奈、上口耕平、植原卓也、神田恭兵、ブラザートム、他が出演している。

ユダヤ教のしきたりを守って暮らすテヴィエは妻・ゴールデとの間に5人の娘をもうけたが、親たちの希望をよそに長女・ツァイテル(凰稀)は仕立屋のモーテル(上口)、次女・ホーデル(唯月)は学生のパーチック(植原)、三女・チャヴァ(屋比久)はロシア人のフョートカ(神田)と恋に落ちてしまう。

しきたりと娘かわいさの間で板挟みにになり、妻・ゴールデにもどやされるテヴィエの姿がコミカルに描かれ、市村と鳳が息ぴったりのやりとりで観客を笑わせる。凰稀演じるツァイテルのウエディングドレス姿や、結婚式の様子、3人の娘の恋模様なども見所だ。

一方で、エスカレートしていくユダヤ人排斥の様子も軸となっており、現代にも通じる問題に思いを馳せる内容となっている。初日のカーテンコールで、市村は「コロナで世界のエンターテインメントが苦しんでおります。ブロードウェイもウエストエンドもまだ再開の見込みが立っていない。そういう中で、今日『屋根の上のヴァイオリン弾き』初日を迎えられることは奇跡でございます」と感謝する。

さらに市村は「稽古場から昨日の通し稽古まで、ずっとマスクでした。今回新しいメンバーも迎えて、どんな顔をしているのだろうかと、昨日ようやく拝見することができました。非常に嬉しかったです」と明かす。「本当はお客様の顔も見たいんですけど、ここはもう少しということで、頑張っていきたいと思っています。また劇場で顔と顔をつきあわせて、お芝居を観てもらえたらなと思っています」と希望を語った。

写真提供/東宝演劇部