――お互いの演技で、刺激を受けたり、すごいなと感じた部分はありますか?

吉高:刺激は受けます。どんなに私が転がり落ちていこうとしても拾い上げてくれて、頼もしいというか、安心感というか。丸投げしてしまうところもありますし、初共演と思えないくらい気持ちいい感覚でいてくれる方です。

妻夫木:吉高さんは変幻自在なところがあり、楓という得体のしれない謎の美女を自由に魅力的に演じてほしいので、どんなことでも受け止められるようにしたいと思って現場にいます。見ていて楽しいですね。昔から受け芝居は好きだったので、特に今回は受け芝居に徹しようと思っています。

――会話劇でセリフがとても多いですが、会話劇の面白さや大変さはいかがですか?

妻夫木:こんなにト書きがなくセリフばっかりの台本は初めてで、最近ちょっと年を感じます。セリフが入らなくなってきて(笑)

――会話劇の面白さも感じられていますか?

妻夫木:ポンポンポンとテンポよく会話劇でやり合うのはすごく面白いですし、“どっちが先に間違えるか勝負”みたいになっているところもあって。そこに小日向(文世)さんが入ってくると、また勝負が難航してくるので面白いです(笑)

吉高:セリフ量も多いですが、キャストの人数も多いので、会話を追うのも楽しいですし、伯朗の1人演説が毎話毎話あるのもすごく刺激的です。私はすごく噛みやすいので、そういった会話の中で一言挟むときに絶対に間違えないようにしなきゃという謎のプレッシャーに襲われたり、伯朗さんの名ゼリフが終わって私がしゃべるときにつまずかないようにしなきゃとか、怯えながらやっています。

妻夫木:彼女、自分で間違えても勝手に仕切り直しますからね(笑)。監督の指示を待たずに勝手に仕切り直して。

吉高:なかったことにしてくれという感じで(笑)

――とても大変そうですが、会話劇を繰り広げる相手が、吉高さん、妻夫木さんでよかったという思いはありますか?

吉高:それはもちろん、尊敬もしてますし、安心もしてますし、まず信頼してます。楓と似ているかもしれませんね。会って間もないけど絶対大丈夫だって。

妻夫木:僕も同じような気持ちです。当然真剣にやっていますが、変な気を使わず楽しんでやれていてうれしいです。

――1話では吉高さんが妻夫木さんにビンタするシーンがありましたが、いかがでしたか?

妻夫木:痛かったです(笑)。でも、気を使われる方が多く、ちゃんとやってくれる人ってなかなかいないんです。僕は役の感情でやってほしいので、ちゃんとやってくれてすごくうれしかったです。痛い芝居をするのって嫌じゃないですか。「い(痛い)」と言うくらいの感じが良かったので。

――吉高さんはいかがでしたか?

吉高:撮影に入って3日目とかで、まだコミュニケーションとり始めみたいな感じだったので『うーん』と思いながらも、何回もやるのは嫌なので1発で思い切りいかせていただいたら、思ってる以上に力が入ってしまったみたいで、(妻夫木さんが)「い」と言った瞬間、私は「やばい」と思いました!

――そのシーンのあと、どんな会話をされましたか?

妻夫木:すぐに「ごめんなさい」と言ってきてくれました。でも、思い切りやってもらいたかったのでよかったです。

吉高:今後、またあるんですよ。ああいうシーンが。

妻夫木:僕、よく役で女性に叩かれるんです。プレイボーイだったらわかるんですけど、プレイボーイの役なんか1回もやったことないのに。プレイボーイではなくて叩かれるのはなんなんだろう(笑)