米Mozillaは4月7日 (現地時間)、Webブラウザ「Firefox 76」の安定版の提供を開始した。Webサイトへのログイン情報を保存する機能を改善。多くのFirefoxユーザーが求めていたパスワード表示のセキュリティが強化され、より安全で実用的な機能になった。また、Audio Workletをサポートする。

FirefoxはLockwiseというパスワード管理機能を備えており、「ログインとパスワード」を有効にすると、Webサイトにログインした際にログイン情報をFirefoxに保存し、再ログインが必要な際にユーザー名とパスワードを自動入力できる。

便利な機能だが、保存されているパスワードが盗み見られる可能性を指摘する声がユーザーから上がっていた。保存したログイン情報を管理する「ログインとパスワード」(ハンバーガーボタンからアクセス)でパスワードは隠されているが、目のアイコンをクリックするだけでパスワードが表示される。つまり、Firefoxを開ける状態のパソコンでは、ユーザー以外の誰かが簡単に保存されているパスワードを知ることができる。

パスワード表示を保護する方法としてマスターパスワードが用意されているが、マスターパスワードはセッションごとにパスワード入力を求める。パスワードの表示は保護したいけど、Firefoxの起動時などにまでマスターパスワードを入力したくはないというユーザーからログイン情報の保護の改善が求められていた。

Firefox 76では、マスターパスワードを設定していないFirefoxで「ログインとパスワード」のパスワードを表示しようとすると、Windows版とmacOS版ではOSのアカウントのパスワードが求められる。マスターパスワードを設定してある場合は、OSのアカウントではなくマスターパスワードを使用する。

  • Firefox Lockwise

    保存しているログイン情報のパスワードを表示する際に、OSアカウントのパスワード入力が求められる

Lockwiseは、Webサイトからの情報流出のデータベースに照らし合わせ、ユーザーが使用しているログイン情報が含まれていたら「ログインとパスワード」に警告を表示してパスワードの変更を促す。Firefox 76では、流出したアカウントと同じパスワードを他のWebサイトのログインに使用している場合も「脆弱なパスワード」として警告を表示する。

  • 脆弱なパスワードを警告

    流出したWebサイトとは異なるサイトでも、流出したのと同じパスワードを使うのは危険!

これらのほか、強固なパスワードを生成・提案する機能をより多くのWebサイトで利用できるようになった。対応サイトでは、アカウント作成でパスワードを設定する際に、Firefoxが推測されにくい複雑なパスワードを提案、それを使用すると自動的に「ログインとパスワード」に情報が保存される。

Audio Workletはオーディオ生成や音声処理をオーディオスレッドにおいてJavaSctiptで実行し、VRやWebゲーミングといった複雑なオーディオ処理を可能にする。これによって何も追加することなくFirefoxのみでZoomの通話に参加できるようになった。