カスペルスキーは13日、2019年1月1日に代表取締役社長に就任した藤岡健氏の社長就任記者会見を開催した。合わせて事業戦略を説明。今後の目標として、3年後の2021年までに、全体で2.5倍の売上増加(2018年の実績比)を目指すとした。

  • カスペルスキー代表取締役社長の藤岡健氏

藤岡健氏は、日本アイ・ビー・エムやチェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、ソニックウォール・ジャパンなど、セキュリティ関連の企業で執行役員や取締役社長を努めた経歴を持つ。カスペルスキーでの社長就任にあたり「改めて日本内でカスペルスキーの良さや、ブランドを訴求していく」と話した。

コンシューマ事業では、3年後で2倍の売上増を目指す。具体的な施策のひとつとして、2019年夏頃に新製品を投入し、ラインナップを拡充する。また、ブランドマーケティングも強化し、ユーザー目線で情報発信の頻度を上げ「カスペルスキー製品を使って入れば安心」という認知を広げていくとした。

サブスクリプション(定額制)ビジネスも推進する。藤岡氏は「他社ではやっているところもある」と前置きし、「使ったことがないが一度使ってみたい、というユーザーの需要に沿う形で、低価格な月額料金で使えるようにする」と説明。これにより、新規ユーザーが試す機会を提供し、利用体験を通じてブランド価値の浸透を図っていくと紹介した。サブスクリプションは「(同社製品を)使ったことがない人の体験版」という位置付けで「長く続けて欲しい、というものではない」(藤岡氏)。サブスクリプションによる売上は、コンシューマ向け製品全体の20%~30%を想定する。

これら施策を通じ、コンシューマ事業分野では3年で約2倍(2018年売上比)の売上を目指していく。

このほか、製品の「透明性」も重要なポイントのひとつだと強調した。同社は2018年5月にデータの保管と処理を担うサーバをスイスに設置。ここでは第三者組織の監督のもと、ソフトウェアのコンパイル・デジタル署名が行われており、2019年以降、日本を含む他国のデータ移転を開始するという。合わせて、パートナーや政府のステークホルダーが、同社製品のソースコードや、同社が使用するツールをレビューするための施設「Transparency Center」を、2020年までにアジア・北米に開設するとした。

なお、カスペルスキー製品は、2017年末に米政府機関での使用が法律で禁止された。”安全保障にリスクがあるため”とされているが、今回、就任会見の質疑応答で、藤岡氏はこの疑いを改めて否定した。

  • 今後の事業戦略

  • コンシューマ事業の主要戦略